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『おちょやん』1 ええの始まったわ!

 とざい、とーざい! えー、まずは第一回! 舞台上で、わちゃわちゃと本作の紹介が始まります。

NHK大阪、本気出す

 もうこの時点で、「好きにやらせてもらいますわ!」という、いい意味での開き直りかんがあってええですね。
 思えばNHK大阪には、鬱憤があったとは思う。なんやねん、あの2010年代半ばの京阪神企業宣伝シリーズは。めんどくさいところの顔たてなあかんから、酒を売るあの会社だの(北海道に行ってないほうやで)、食品を売るあの会社だの、お笑いを牛耳っとる顔しとるあの企業だの、そういうモンのあれやこれやを誤魔化さなあかん、めんどくさいことばかりで。
 そういうんは、ラジオドラマ発のこれにはない。『スカーレット』もええもんではあった。それでもあれは京阪神やない。全力で好きなようにやらせてもらう。そこが黒子も出てくるノリ、八百八橋がわかるオープニングからも伝わってきました。
 ええの始まったわ!

近代日本の暗黒部……貧困、児童労働、そして最低の父

 時は大正5年(1916年)、大阪は南河内の小さな村から始まります。おっ? 竹林ええなぁ。と思っていると、のっけから貧乏です。しかもヒロインの千代は、いきなり鶏を追いかけ回して捕まえる。捌くところまではいかんけど、いきなり児童労働をしております。
 
 おっ、河内弁? 関西弁でも一番キツいという、あの河内弁! 本作は方言指導に気合いが入っているらしく、スタンダードな関西弁(大阪府の梅田あたりのイメージ)とは違います。細かいなぁ。
 前作のアレと比較したらあかん。といいつつ、しますと。あれは福島弁と標準語のイントネーションが、セリフの途中ですら混ざっているわ。演者によって濃淡もあるわ。真面目に指導していない、そもそもやる気がない、昭和のコントで使っている【田舎者をイメージしたライトなんちゃってズーズー弁】状態。聞いていて耳が割れそうになって、見るのを早々にやめました。
 なんでNHKはそこまで福島県に嫌がらせをしたいのか本気で問い詰めたくなりました。『八重の桜』の方言指導はどこさ行った? まあ、会津弁と福島弁では違うけどさぁ。
 方言指導は、ネイティブが現場にいるかいないかでも変わります。『なつぞら』はそこが巧みだったのに。本作は関西弁ネイティブがいるから、うまくええもん聞かせてくれることでしょう。

 いや、だって、このトータス松本さんのテルヲがすごいじゃないですか。

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2020年度下半期NHK大阪朝の連続テレビ小説『おちょやん』をレビューするで!週刊や!(前身はこちら https://asadrama.com/

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