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映画のカスタマーレビュー&ネタバレ😱
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土曜日に迎えを待つぺピノ

2004年公開のフランス映画「コーラス」を制作したジャック・ぺランが、インタビューの中で「年をとるほど子供時代が身近に感じられるようになる。」と語っています。私もそんな歳になりました。 また、彼は「子供時代が美しければ大人の生活は切り開ける。非常に重大な時代だ。この時代の体験や試練、幸福や不幸、そして喜びの思い出が大人時代を決定づける。」とも言っています。 私の子供時代は二十歳の途中までで、とにかくボーとしていました。その期間に、ジグソーパズルのピースをため込んでいたように

残り27分33秒に込められた痛快劇

この記事は映画「サリー」のレビューです。邦題は「ハドソン川の奇跡」となっています。私が最初に疑問を抱いたのは映画の題名でした。 何故「サリー」なのか? 世界的に有名な航空事故の一つだったので「サリー」には 違和感を覚えました。でも起承転結の結の部分を鑑賞してから映画の題名は「サリー」でなければならないと確信しました。 それは残り27分33秒から始まります。 この映画の上映時間は本編のみで1時間36分46秒です。では上記の残りの時間を差し引いた1時間9分13秒は何を描い

ラストシーンのルイスの顔の表情に演技賞をあげたい!

映画「LOST IN THE SUN」のラストを飾るルイスの顔の表情にはこの映画の全てが集約されていて私達の感性を揺さぶります。必然的に引き継がれた各々の感性は各々の新しい物語へと発展して行くことでしょう。これがこの映画の醍醐味だと思います。 この映画の構成は現在→過去→現在の額縁型です。因みに あまんきみこ の「わらぐつの中の神様」も同じ額縁型でした。 最初の現在は一端途切れて、その続きを1週間前からの過去を経て現在に引き継がれるようにした額縁型の構成は素晴らしいアイデ

マイ・ハート 映画200選(追加中)

ずらっと並べた下記の映画200選は実際に私が視聴してスキ♡マークを付けた作品です。noteの記事を必ず読んでスキを付けるのと同じです。 感じ方に正解はないのでお気に召さない映画作品も中にはあるかもしれませんが、どの作品も脚本が秀逸です。 ・心に沁みる着想 ・見続けたい展開 ・印象に残る結末 私を唸らせた映画作品の数々は私の心の鏡であり自分らしさの証明でもあります。自分と出会う一期一会。映画の魅力は尽きません。 記 0

R.I.P. ANTON YELCHIN

2016.10.21に日本で初公開された映画「スター・トレックBEYOND」エンドクレジットの冒頭には悲しい文字が刻まれていました。 IN LOVING MEMORY OF LEONARD NIMOY for ANTON 哀悼の意を表す音楽で満たされたエンドクレジットは二人がどれだけ映画人に愛されていたかを物語っています。 アントン・イェルチンは27歳という若さで2016年6月19日に不慮の事故で亡くなりました。 彼の魅力は大きな瞳にあります。 彼の瞳はいつも私に訴え

完ぺきな家族

16歳のビンセントが皮肉っぽく言った「“完ぺきな家族”として」の台詞はパット家の抱える問題を浮き彫りにしている。映画「ディープエンド・オブ・オーシャン」を読み解く鍵はアバンタイトルにある。陽気で幸せそうなこのシーンで撮られた1枚の写真がすべてを物語っている。被写体は母親と3人の子ども達。はち切れそうな笑顔の中に独り不満を隠さない長男ビンセント7歳の顔があった。彼はママの同窓会の開催地シカゴではなくパパと一緒にパパの店に行きたかったのだ。その願いが叶っていたら次男3歳のベンの誘

権威主義は空想力を嫌う!

この記事は映画「ファニーとアレクサンデル」のレビューです。 この映画は始まりから芸術的で高級感が漂う。素晴らしいキャストに高級な絵画や調度品や衣装とその色彩の美しさが花を添える。それでは物足りないと言わんばかりに物で溢れ返る光景は異常だが整頓されていて妙に美しい。広々とした部屋に灯された蝋燭の数の多さには息を呑む。そんな環境に身を置く10歳のアレクサンデルは孤独だった。それは彼が自分の霊感の恐れから生死の探究を余儀なくされていたからである。空想家の彼を取り巻く裕福な俳優一家

映画レビュー短編集(更新中)

悲劇からの再生

この記事は映画『テラビシアにかける橋』のレビューです。 判断が人生を決める。後悔は悲劇そのもの。 主人公のジェスは自分を認めようとしない現実の世界に不満を抱いて毎日を過ごしていた。そこに転校生のレスリーがやって来る。二人には友達がいなかった。「君の楽しみは何?」とレスリーに聞かれたジェスは答えられない。そんな彼をレスリーは現実の世界とリンクした痛快な空想の世界「テラビシア」へと導く。そこには空想の世界で心弾ませる時間を共有する幸せな二人の姿に共感する私がいてこのままずっと

宝物探しゲームに託した願いに涙腺崩壊(フルバージョン)

この記事は映画「永遠のこどもたち」の内容を記したものです。 シモンが宝物探しゲームに託した願いは何だったのでしょうか?彼はママのラウラに6人の友達と宝物探しゲームをしていることを明かしました。友達に盗まれた自分の宝物を見つけられたら自分の願いが叶えらると言うのです。早速シモンの宝物が隠されました。このゲームにはヒントが与えられました。彼の宝物はコインで、コインを入れた缶には乳歯が入っていました。乳歯が入っていた場所を調べると砂が、砂のある場所からはボタンが、そして裁縫箱から

ミュージカルのお手本

この記事は映画「BILLY ELLIOT LIVE」のレビューである。 ビリーが一番最初に歌う歌詞には彼の未来が暗示されている。 プロローグにさりげなくこの歌詞を忍ばせるだけでなく、スモールボーイに🆒と言わせたところが脚本家にして作詞家リー・ホールの鬼才たる所以である。 この鬼才の歌詞に曲をつけたのが、もう1人の鬼才、エルトン・ジョン‼️ 歌曲のみならずダンス曲に至るまで、このミュージカルに相応しい楽曲は私達聴衆を魅了して止まない。 そこに躍動的なダンスが加わることで

人生はサヨナラから始まる!

この記事はイタリア映画「はじまりの街」の内容を書いたものです。 複数の登場人物は何らかの問題を抱えています。「はじまりの街」は新たな出会いをもたらし、そこから醸成されるWinーWinの関係が彼らの問題を次々と解決していきます。この映画はその過程を淡々と描くことで「人生はサヨナラから始まる」ことを教えてくれます。 一番問題を抱えているのは父親や友達から突然引き離されたアンナの息子13歳のヴァレリオです。その原因がパパのママに対するDVであることは理解しつつもママの取った行動

宝物探しゲームに託した願いに涙腺崩壊

この記事は映画「永遠のこどもたち」のレビューです。 ラウラの愛息シモンが失踪して9カ月が過ぎても何の手がかりも掴めない警察に業を煮やした彼女は霊媒師に捜索を依頼しましたが霊媒師は「ラウラ、私たちのように死の近くにいる者は死者のメッセージを受け取りやすいの。あなたは強い母親よ。導いてくれるわ。シモンのためにどこまで行くか、決めるのはあなた自身よ。」と意味深なことを言い残して去って行きました。 失踪前のシモンは海沿いの洞窟からトマスを家に招き入れました。その家はラウラが子ども

優秀なら成功はあとで付いてくる!

この記事は映画「きっと、うまくいく」のレビューです。 このフレーズは映画「きっと、うまくいく」の主人公ランチョーにぴったりのフレーズだとは思いませんか?ここで言う優秀とは教科書の丸暗記とは違います。目の前の問題解決に即座に対応し解決する能力のことです。機械工学好きで訳ありのランチョーは超難関の工科大学に入学しますが、そこは成績の結果が全てで教科書丸暗記が推奨されるような所でした。その原因は学長の頑な一番主義の思想にありました。学生の中には親の期待と学長の重圧に耐えかねて死を