見出し画像

「治療のおしまい」の始めかた

抗がん剤治療のカードは何枚目だろう。
ジェムザールは、少し効いているようで
正直油断していた患者の肩を
ある日、そっと誰かに叩かれた感覚。

主治医
「(血液検査の)肝臓の値が‥
 この数値ではちょっと‥」

ああ、この薬もまた落第になったのか。
と思ったらそうではなかった。
もう、抗がん剤も新薬も、
すべての治療を打ち切ろう
いや、打ち切ってくださいと
主治医は言いたかったのだ。
主治医がいちばん辛そうな表情をしていた。

ぼんやりと聞いている患者に向かって
こんな質問が投げかけられる。
「このあと、どこでどのように過ごしたいと
 考えていますか?」

患者は大きく深呼吸をした。
ほかに、いざというときの
蘇生について本人の意思を尋ねられたり。
今の病院は終末医療を
やっていないから転院手続きについて
説明を受けたり。
↑がんセンターで「緩和ケア」
謳っているの嘘だったのね‥

あれよあれよと
具体的な終い支度について
話題が進んでいく。

つい数日前は、「ジェムザール効いてるかもね」
なんて話だった気がするんだけどなあ。
こんな短期間で気持ちを切り替えるのって
ちょっと難しくないですか。

まあでも、これまで何度となく
覚悟しろと言われていたのだから、
驚く話ではない。
あと、泣いたりわめいたりしているヒマはない。

そんなわけで、だいぶ端折ってしまったけれど
まずはそこから話を再開しておきます。
大切なことは、今日もエリィが
機嫌よく生きておるということ。

普通に正月太りしました‥
2018年もよろしくお願いします。