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末っ子は診察券が少ない

「末っ子は写真が少ない」というのは、有名な「きょうだいあるある」だ。

うちの子は三人きょうだいで、やはり三人目ともなると、一人目の驚きは少なくて、写真に残さなくては!という熱意は、どうしたって減るものだ。

そして、私がもう一つの仮説というか、あるあるなんじゃないかと思うこと。診察券も少なくないですか。

いやいや、うちは三人目が一番体が弱くて、すぐ風邪をひくし、肌は弱いし、三人目が一番診察券を持っています!という人もいると思うので、「写真が少ない」に並ぶようなあるあるではないだろう。体質は個人差が大きい。

我が家に関しても、一番上のいっちゃんと、二番目のニンタは、同じくらい診察券がある。ニンタは生まれ持った病気があり、障害があり、たくさんの病院のお世話にならざるを得なかったから。

じゃあ、どうして元気いっぱいのいっちゃんが、ニンタと同じ、いや、むしろ少し多いかもしれないくらい、診察券を持っているのか。

それは、試行錯誤の歴史だと思う。一人目は、ちょっと体調をくずしたら、親として初心者の私は、顔を青くして病院に駆け込んだ。どの病院が良いかもわからなかったので、とりあえず飛び込み、後々近所のママ友から「あそこの先生はこういう薬を出してくれるよ」「駐車場があるから雨の日も便利だよ」などという情報を得て、病院を変えていく。小児科、皮膚科、歯科、耳鼻科、整形外科、眼科、それぞれに試行錯誤があった。

そして三番目のミコ。ミコはもう、その情報をすべて網羅して、万全の体制で産まれてきた。子育ても慣れたもので、ちょっとした風邪なら、鼻水は家で吸引して様子を見ることもできる(電動吸引器も買ってある。一人目から買えば良かった)。

必要なときに必要な病院へ、無駄なく通うことができたその結果、ミコの診察券はスカスカなのだ。

良かったね!ミコ!…と言われても、ミコは「別に嬉しくないし」と思うだろう。ごもっとも。

でも、これは診察券に限った話ではない。上の子は、体を張って道を切り開いている。この先も。

進学、就職、結婚。年齢順に行くとは限らないけれど、親の興味と関心を背負いながら、いっちゃんは切り込み隊長を務めていく。ミコは、最後にその轍を眺めて、どこへ進むか決めれば良い。それはずいぶんと、なんというか、かなり恵まれているような。

産まれた順は選べない。いっちゃんがかわいそうなわけでも、ミコがずるいわけでもない。ただ、これはどうしようもない事実だ。

それぞれに一長一短もあるだろうし、どちらが良いとか有利とかは、一概に言えないにしても。

もう少し大きくなったら、ミコは自分の写真が少ないことには気付くと思う。家の中で一番下っ端なのが嫌な日もあるだろう。洋服だってお下がりばかり。

そして、ミコが、自分の診察券が一番少ないことに気付くのはいつだろう。自分が親になった時かもしれない。もしかしたら、一生気付かないかもしれない。

写真がどうのとか、診察券がどうのとか、そんなこと、一生気が付かなければいい。きょうだいでどっちが有利かなんて、比べなくていい。恵まれているから感謝しなければ、なんて思わなくていい。

ただ親は。親はいつもいつも思う。そして、ちょっと手心を加えて、その不公平感をなくそうとする。

出来ることなら、三つ子のように、誰も何も立場の違いに気付かずに育ってほしいけれど、それはなかなか難しいのだろうな。






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