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太平洋岸自転車道を走ってみた話。 #13

13日目

予定通り朝3時に起きられた。いい感じ。
荷物をまとめて、宿を出る。まだ外は真っ暗。

一昨日あたりにハヤブサのドラマを見たところで、田舎の暗い山が怖い。

昨日の宿は何故か一軒家を一人で貸切で、有難いが少し怖かった。お化けでそう。
すぐ寝てしまったのであまり怖くなかった。

朝になっても、日が出ていないとやはり怖い。
まずは近くのコンビニへ向かう。朝ごはんを調達し、食べる。
今日も1日頑張るぞ。

昨日もよく星が見えたが、今朝も晴れていてよく見える。
しかし自転車を漕いでいるのであまり見ることが出来ない。
しかし走りながら、前方で流れ星が落ちた気がする。気のせいか。

しばらく走ると、また落ちた感じがした。
うーむ。
さすがに無いか。

そして最後。かなり明るいのがくっきりと落ちるのを完璧に捉えた。
流れ星を見たのは、6年ぶりくらいで、すごくテンションが上がった。

昨日の疲れでクッタリしていたが、今日はこれを見たというだけで頑張れそう。ラッキーだぜ。

まだまだ夜が明けないので不安な気持ちを抱えながら、しかし道はまっすぐシンプルなので迷わず進む。

と思いきや、自転車道の水色矢印を追っていくと、恒例のよく分からない山道に連れて行かれてしまった。
嫌なら無視すれば良いのだが、たまに行きたい方向が自転車通行不可な場合があったので無視し辛いのだ。

しかし今回は悪手だった。
真っ暗で前は見えないわ、草やら木の枝やら落ちてるわ、横から雑草はボーボー。いつ獣が出てきてもおかしくない雰囲気。
なんせめちゃくちゃ怖い。

とにかく何も考えずに脱出する。
途中鹿っぽいのがいたのと、最後出る直前、右後ろでカサカサした音が付いてきていたのがとにかく怖かった。

慌てながら出口につながるトンネルへ向かう。
ここで襲われたら死、という恐怖。
昔住んでいた実家も山道だったためか、暗がりや獣がいそうな場所はトラウマだ。

もう安易に自転車道を信じるのはやめよう。
何とか元の通りに出た。
寿命が縮んだ心地がした。

真っ暗なので、疲れてきてはいるが休憩するのも怖い。
これまでは定期的に、トイレ、水分、食料、足を休める、とそれぞれ目的に応じて1時間に1回程度休憩をしていた。
トイレはいくつもあったが、暗い中外のトイレも怖い。

朝チャリいいと思ったが全然だめ。
ビビリマン発動しまくり。やっぱ日の出ている間が安心でいいな。

休憩したいな、疲れたな、と思っているうちに、だんだん空が白んできた。
綺麗に瞬いていた星が姿を消していく。
細い月だけがかろうじて姿を残す。

この、夜から朝に変わる時間が好きだ。
特別な感じがする。
ずっと太平洋沿いに漕いできて、なんだか当たり前のように感じているが、海や山、全ての景色が美しい。

昔の人が絵や歌に残すのも分かる。これは心動かされる。
日本を北から南まで、全て回ったわけでは無いがざっくり回っていく中で、日本の景色の趣深さに心を打たれた。

この地域に住む人にとって当たり前の風景かも知れないが、自然と人が調和し、生活していること、四季や時間の移り変わりによって姿を変え、それぞれの時期や時間に美しい姿を見せる。

いつまでも眺めていられそうな、悲しい気持ちの時には悲しい景色に、嬉しい気持ちの時には嬉しい景色にも見えるような、気持ちに寄り添ってくれるかのような効果もある。

人は見たいものを見るというが、こういうことなのかもしれない。

とかく、日本は美しいところで溢れている。
特別な観光スポットでなくても、歴史ある漁港や、手入れのされた田んぼ、昔ながらの家が並ぶ姿、当たり前のようでいて、当たり前では無い、そんな景色がたくさん見られた。

海外の方にとって、日本が美しい、素晴らしい国と思うのもよく分かる。
こんな田舎の景色を守っていくために、私たちにどのようなことが出来るのだろうか。

仕事に戻った時に、みんなでじっくり考えてみたい。

橋杭岩。マグマが固まって出来た地形


と、そんなことを考えていたら、道の駅の橋杭岩というところに来た。

知らなかったが、今日はこの辺りで花火大会があるらしい。
だからか、道の駅で車中泊をしている人がたくさんいる。
ホテルも満杯だ。
有名な花火大会なのだろうか。

久しぶりのコロナ明けで、みんな見に来るのかもしれないな。もちろん花火を見ている余裕はないので退散。

橋杭岩は、前に家族でもちらっと見に来たが、ここの道の駅は初めて。
前に見たのは、もっと小さい岩だったが、ここのはでかい。

人がいっぱいいた道の駅


弘法大師と天の邪鬼の伝説も可愛くて良かった。
マグマが溶けて固まったものが、周りの層が流されることによって飛び出しているように見えるらしい。
そういう目で見ると、面白い。

走りながら、幾つもの層が同じ方向に向かって飛び出ているのがよく分かる。


海がとっても綺麗

いい景色を少し堪能して、出発。
ただひたすらに、漕いでいく。
スマホの地図の示す最短ルートと、自転車道の残りの距離があまりにもずれているので、どちらを信じれば良いのか不安になる。
結局その中間くらいの距離を走った。
まぁ要は大体やな。

和歌山は三重に比べれば少しコンビニがあるか、とも思ったが、地域によるな。
無いところはやはり無い。

暑いし、へこたれて死にそうになりながら進む。
分かっていたことだが、やはり三重・和歌山もそれなりに坂がきつい。

ヒーヒー死にそうな顔をしながら何とか上がる。
昨日の、全くあがれない程では無いので安心。
距離が長すぎたのだろうな。
今日はこのくらいの距離にしておいて良かった。

明日の天気が保ってくれるといいが。
明日行き切れなかったら絶望的すぎる。
何とかなりますように。

道の駅すさみというところは、かなり広くて賑わっていた。
ベビーカステラ屋さんからいい匂いがしていたが、18個入りはちょっと無理…と断念した。
また複数いる時にでも食べれたら良いな。

みかんジュース最高


せっかく和歌山に来ていたので、みかんジュースを飲む。
これこれ。
いつだって美味しいみかんからは元気を貰えます。

ありがとうみかん。愛してるよ。

お腹が空いているが、まだ10時前で昼を食べるには早い。

仕方ないのでもう少し走る。
しばらく走るが、なんせ暑い。
休憩していたら、腹が減っている!ということに気がついた。

お昼が食べられそうな店を探す。
開いてそうな店を見つけたので向かう。

道中、また自転車道と分岐するところがあった。
地図上では、今日の宿も最終ゴールの和歌山市も、42号線に乗っていけば着ける筈なのだが。

とりあえずご飯優先ということで、自転車道を無視して進む。
しかも途中で橋が通れません、とかいう不吉な看板もあるし。
目的地に着く。

ええですやん


適当に探していたが、どうやら道の駅の中にある店だったらしい。
人がたくさんいて、賑わっている。
花火と、さすがにお盆の時期というのもあるのだろうか。

自分が全くお盆の時期を感じたことがないので、その感覚がよく分からない。自分の家族も、自分も、お盆休みがあまり関係のない仕事だからだろうか。

でも周りの人の休日スケジュールを見ていると、今はどうやらお盆らしい。

店は2階にある。1階は売店になっている。
パンの美味しそうな匂いで頭がおかしくなりそうだ。
買いたいところだが、今から昼ごはんだし、そのあとはお腹いっぱいで食べられないんだろうな。
朝ごはんにするにしても、保存、持ち帰り出来ない。
諦めよう。

2階に上がる。
食券を買う。
何がいいのかよく分からないので、海鮮のセットにする。
明日はこういう店には入れないかもしれない。

散々海沿いに走って、数え切れないくらいの海鮮を食べてきたが、これで最後ってこともあるのか。
なら王道でいこう。

カップル絶賛の景色

ちなみにどこのご飯も美味しかった。
世の中には、田舎で美味しいものがたくさん取れること、それを美味しく調理し、提供している店がたくさんあることが改めて分かった。これからも大切にしていきたい。
ご飯を待っている間、食べ終わった帰りであろうカップルが、「見て〜!めちゃくちゃ綺麗!!」と海を見てはしゃいでいた。

ずっと海沿いに走りすぎて、海を見るとかそういう概念を失いつつあったので全く気にも止めていなかった。

聞こえてきたので見てみると、確かに、鮮やかな水色でとても美しかった。
綺麗な景色を教えてくれてありがとう、と心の中で感謝する。

外にはテラス席もあったのか。それもいいね。

後ろの席は、ライダーたちの集まりのようだ。
リターンライダーほどの年齢の男女4人組が、ツーリングの話をしている。
食べ終わった後、海を見に行っていた。
楽しそうで何より。

注文していたものが来た。
刺身と天ぷら、少し少ないか?と思ったが、食べてみるとやはり丁度良い量だった。
天ぷらは温かくてとても美味しい。
いい景色と、美味しいご飯。幸せ。

砂浜の横に、さっきとばした自転車道が現れていたので、せっかくだから通ってみる。
少しいくと、「この先行けません」と書かれている。何だよそれ。

ガックシして来た道を戻る。
ほんとこの自転車道信用できないな。

42号線沿いに走る。
日没までに間に合えば、と思っていたが、かなり余裕を持って到着できた。

かなり早めの晩御飯をファミレスにて。
店のバックヤードがよく見える席に通される。
新人バイトくんが、気の強そうなお姉様にビシバシしごかれているのを見ると、胃がキュウってなる。
慣れるまでは大変だよな。
頑張れよ。

とにかく今日は、余裕を持って進めて良かった。明日も無事完走できることを祈って。