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フィナンシェ

お金、金塊を意味する小さなフランス菓子。そのため、四角い金塊や小判形のものが多いです。今となっては、多くの方が存在を知っているお菓子かもしれません。マドレーヌと同じくらいの大きさでつくられることが多く、同じように販売されていることも多いと思いますが、つくり方の作業というよりも、味の構造は大きく異なります。焦がしバターでつくるのがフィナンシェです。ほぼ同じ配合で、焦がしバターを溶かしバターでつくるフランス菓子もありますし、焦がし具合で、かなり印象が変わってくる、表現の幅があるお菓子。言い換えると、毎回、変わってしまいかねないお菓子とも言えます。大きく影響を受けるのは、混ぜ具合(混ぜるか混ぜないかよりも、結果、空気がどのくらい入っているか。)と焦がしバターの焦がし具合。焦がし具合は、慣れることで好みにできるようになりますが、混ぜ具合は、やり方も意識しないといけません。混ぜないとつくれないのに、混ぜないわけにもいかない中で、どうやって目的にあった作業をするのか。なんとなくでも、フィナンシェにはなりますが、意図した味にするには、なんとなくではできませんので、よく理解してもらえたらと思います。マドレーヌ 同様、型破りなことをしますので、新しいお菓子づくりを愉しんでください。生地のつくり方は、すべて、動画で載せています。



フィナンシェの魅力は、二つ。
① 焼いた日(冷めたて)の周りは少しカリッとしていて、中はジューシーな対比を楽しめること。
② 熟成させてこその全体にアーモンドの味が染み渡り、しっとりと解ける口当たり。

私は、お店では、必ず、焼いた日にお出しするか、3日以上熟成させてからお出しするか、どちらかにしています。焼いた翌日、二日目くらいの中途半端に湿気た状態が、どちらの魅力も引き立たないからです。今回は、両方の魅力を愉しめるよう、配合を2つに分けてご紹介します。「 カリッとフィナンシェ 」と「 しっとりフィナンシェ 」の2種。「 フィナンシェ・ショコラ 」にしたい場合のレシピや意識すべきことも載せています。いつも通り、深い論理性のある記事ですが、できるだけ、一般の方もつくる気持ちになる手軽さを考え、量は、家庭用オーブンで焼くことができるフィナンシェ6個分です。技術は、文章と動画でわかりやく説明しています。

ぜひ、ご覧ください。


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