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【ネタバレ注意】私のはなし、部落のはなし

渋谷ユーロスペースにて。

部落問題について、差別側・被差別側両方の立場に立つ方々のインタビュー(ほとんどが被差別側の視点ではあります)を中心にしたドキュメンタリー、なんですが、まだ上手く消化できておりません…想像より遥かに色んな要素が組み合わさってて、呆然としているのが正直なところです。あと3時間オーバー(途中休憩あり)は長かった…。

特に印象に残ったところをかいつまんで書きます。鑑賞後の勢いで書いてるので、映画の内容と解釈が違ってるかも知れませんが、おいおい訂正します。また、映画では具体的な地名、人名が出てきますが、素人が無神経に扱うと差別を助長する事になりかねないので、ここでは極力、省きます。ネタバレありです。

・「部落問題は天皇制と表裏一体」って意見には腑に落ちる所がありました(とは言え、出演者の学者さんが言ってたように、天皇制を廃止すれば部落問題がなくなる、と言う訳ではないのだと思う)。すなわち、日本人の文化として「貴い血筋を讃える」思いと「賤しい血筋を蔑む」思いは、どちらもフィクションに基づいてる言う意味では同じ。だからこの問題を解決するには「血筋は貴賤を決定づける」と言うフィクションからの脱却が必要なのだと思う。私自身を含め、すごく難しいけど、でも脱却したいと思った。

・明治政府になり、四民平等が謳われ、部落解放運動が始まり、これまで差別されていた人々への支援が公的に行われるようになる。それは良い事には違いないのですが、副作用として「支援する対象は誰なのか」を明確に定義しなければならない為、「支援される対象=差別される対象」となり、勿論、生活は豊かになったものの、住処を隔離される事は変わらず、差別は残ってしまった。しかも「あいつら支援して貰って楽してる」と言う妬みと共に。じゃあ支援は必要無かったのかと言うと、それは絶対にない。行政に出来ること、出来ない事を冷静に見極めないといけないんだと思う。

・横道にそれますが、これって、「公が支援対象を明確に定義する事によって、これまでグレーにしてた事が明るみになり、別の問題を生み出す」と言う意味で、最近Twitterで賑わってる「AV新法」問題と似てる気がする。※私の意見は、この映画でも印象的なシーンで出てきた大事な言葉

 Nothing About us without us
 私たちの事を私たち抜きで決めてくれるな

に尽きます。

・差別側がえげつない。5ちゃんねるのヘイト丸出しファクト皆無のレスは問題外として、部落探訪と称して観光地のように部落を回るユーチューバーおじさんや、「自分の娘の婚約者には必ず弁護士に調べさせる」と意気込む武家出身のお婆さん、米騒動のデマ記事、部落一帯を最寄り駅から「見えないように」植林する行政などなど。

・ブルーハーツの「青空」が出てくるシーンが良かった。こんな良い歌が若者にも浸透して無性に嬉しい。

・ある登場人物の「あんたらは部落問題から離れる事が出来る。俺は一生つきまとうんだ!俺の痛みがあんたらに分かるのか!」と言う叫び。これが一番辛かった。映画館を出てもずっと響いている。胸の内には「勉強になりました」では済まされないずっしりとした重み。

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