見出し画像

制作と営業、外注をめぐる葛藤

広告制作雑感 その5 
 広告代理店の場合は、営業がクライアントに関わる事のほぼ全てを取り仕切っていると言って良いだろう。時と場合によっては、または会社によっては、営業がクリエイティブの領分を侵食して来る事もある。恐らく、この辺りの問題は昔も今も変わらずに存在するだろう。
 どのような外注(協力会社および個人)を選択するかは、基本的にクリエイティブの領分だと思っている。しかしお金が絡むだけに、営業が侵食して来る事が実に多い。もっともらしい理由をつけてくる場合もあるが、明らかに「キックバック(裏金)」を求め、「懇意(癒着とも言う)の外注」に発注するように迫って来る場合もある。
 それでも、その外注がクリエイティブの求めるモノをしっかりと提供してくれるのであれば(決して気分は良くないが)、一応は「よし」としよう。しかし営業との癒着度が高ければ高い程クリエイティブの意向を疎かにし、なおかつレベルも低いという傾向にあったように思う。そうなると満足な成果は得られないばかりか、最悪は責任を負わされる事も無いとは言えない。
 また、逆の場合もあった。ある会社に入社し、営業から指定された外注会社と取引を始めるのに際し「必要ならいつでも言って下さい」と外注側から裏金の提供を示唆された。
 そんな事で小金を稼ごうとは思わないし、弱味を握られるのも嫌なので「その気持ちがあるなら、その分良い仕事をして下さい」と、まるで優等生のような返答をしておいた。ある意味、リスクヘッジでもあった。
 恐らくその外注会社は、営業やクリエイティブから裏金を要求されるのが、当たり前になっていたのだろう。私のいた、その代理店はそういう社風の会社だったという訳だ。
(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?