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石畳えり
2019年6月13日 01:11
おにいちゃん、と呼んでいたことは覚えている。田舎の、父親の実家、近所の家だ。 俺が小学生の頃は夏休みになるといつも三、四日ほど、父親の実家に帰省していた。田舎は見渡すかぎり田畑でなにもなくて暇だったが、父の祖母はスイカやらアイスやら子どもが喜びそうなものをしこたま用意してくれていたので、俺は父の実家が好きだった。 田舎では大人は大概ずっと大人と話しているから、スイカやアイスを食べたあと、俺は
2019年6月10日 22:53
打ち上がる花火を背に、私は自転車をこいで家路をたどる。視界をそよ風のように浴衣姿の女性たちが通りすぎていく。 横断歩道のところで信号待ちをしながら、ふと、大きな音にふり返った。遠くの空で色とりどりの花が咲いては散っていた。そういえば、最後に実物の花火を見たのはいつだっただろうか。幼い頃は永遠に続くと思っていた時間が、今では一瞬で過去になる。 この時、この瞬間も、まばたき一つで消えていく。平成