愛の夢とか

川上未映子さんの『愛の夢とか』を読んだ。

川上作品を読んでいて、正直意味がわからないこともあるのだが、文のリズム感や世界観や言葉の紡ぎ方がとてつもなく好きで、感性にズドーンと突き刺さるような、93個のピースの中からそれに合うものを見つけた時の幸福感に似たなにかがドバッと押し寄せる。
そして何よりも、日本語っていいなぁと思わせてくれるから定期的に読みたくなるのだと思う。

「お花畑自身」はその奇妙さに江戸川乱歩を彷彿させられたけど、何かに執着してしまうことや専業主婦になること、その果てを見たような気がした。
別にどうにかできることじゃないけど。
飼われているという表現は少し棘があるように感じたけれども、私は自分で稼いで男の人に頼らず生きていきたいと考えてしまう人間なので、なんだか共感した。
でも、それはある意味“保険”で、男に振られても男が倒産しても死んでもお供しますよ。なんていう覚悟がないのかもしれない。もちろんそれだけではないが少なくともそういった類の自己防衛が私にはあるのだと思った。

「十三月怪談」はまずタイトルが秀逸すぎる。
死ぬことについて。
死んだことはないけれど死後の世界についてすごくリアルに入り込める。
死後はこの世界を俯瞰で見るのではないかとか考えるあたいにはこの世界観が、なんか嬉しかった。
死んだ後の時子がみる潤の人生と実際の潤の人生が違うくて、(時子がみている潤の人生を読んでいるときは失恋した気分で、気を抜くとあたいの心臓が溶けて、ベッドの淵に落ちてしまいそうなほど、とてつもなく胸が苦しかった)死んだ後は世界が何個かあるし、それはなんかパラレルワールドみたいなことのような気がして、死んだ後のことはわからないけど、ただわかることは、生きている人間だけが生きている人を救えるし、悲しいのも、寂しいのも、嬉しいのも、辛いのも、全部、生きているから持てる感情であるということで、それがいいとか悪いとかそういうのはわからないけれども、やっぱり私は生きていることに対する責任とか義務?なんて言えばいいのかわからないが、生に対する真剣さみたいなものを少しは真面目に果たしたいと思って深夜にカップラーメンを啜る。(チリトマト)

#川上未映子
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#死生観
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