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メラニンスポンジに取り憑かれている。

水まわりの汚れがとても気になる。
ちょっとでも汚れていると落ち着かない。
一日において、たぶん普通の人の3倍くらいの時間、水まわりのことを考えている。

洗面台やキッチンを製造するメーカーに勤める人に劣らないくらい、毎日、水まわりに思いを馳せている。

そんな私に欠かせないのがメラミンスポンジ(激落ちくんなどの商品名で売られているあれ)である。
メラミンスポンジに出会った時は驚いた。

軽くこすっただけで嘘のように汚れが落ちるのである。それどころかそれまでは「落ちない種類の汚れ」と思っていてきれいにすることを諦めていた汚れさえ落としていくのである。

「まさかメラミンポンジさんとはいえ、この汚れは落とせませんよねぇ」とやけに挑戦的な気持ちで、落ちない種類の汚れだと思っている汚れに対して使用しても、必ずきれいになるのである。
何度「メラミンスポンジさん、みくびって申し訳ありません」と謝ったことか。


これはもう当時の私にとって汚れの革命であった。今まで落ちなくてしょうがないと思っていた汚れもどんどん落ちる。汚れという概念が変わった瞬間である。


明治維新によって、日本人の意識や考え方が大きく変わったように、メラミンスポンジを手に入れたことによって、私の汚れについての新時代が幕を開けた。


メラミンスポンジ時代に入った私は水まわりをメラミンスポンジで磨きまくった。
蛇口などの金属の部分は効果が特に顕著で、ピカピカになる。
まるで新品である。


もともと水まわりの掃除は頻繁にしていたのだが、メラミンスポンジを使い始めてから、水まわりを掃除した後に蛇口のきれいさを見てニヤニヤするという作業が加わった。
いつまでも見ていられる水まわりである。
無限水まわりである。


メラミンスポンジを知った日から、家からメラミンスポンジを欠かしたことはないし、もうメラミンスポンジなしでは生活を営めないような体になってしまった。


子どもが産まれてからもメラミンスポンジは絶大な存在感を示している。
子どもが家にいると家が汚れることがかなり多くなる。

床にシールを貼ってしまう、油性のマジックで机に書いてしまう、などかなり気をつけていても何かが起こってしまうことがある。

シールがうまく剥がれなくて黒いネバネバが残るのは厄介であるし、油性ペンの落書きも嫌なものである。

しかし私は動揺しない。シールの汚れや油性ペンはメラミンスポンジ時代に入っている私にとって「落ちない種類の汚れ」ではまったくないのだ。

旧時代の前メラミンスポンジ時代の私だったら慌てふためいた汚れにも、今は涼しい顔で対応できるようになっている。

メラミンスポンジのおかげで子ども由来による汚れにもクールに対応できるのだ。
子どもに対してどっしり構える父親のふりができる。


しかしここまでメラミンスポンジを持ち上げておいて今さらではあるが、実はメラミンスポンジには大きな弱点があることを明かさないわけにはいかない。

メラミンスポンジとて神ではなく、所詮は掃除道具の一種なのである。

メラミンスポンジの弱点とは壁紙の汚れに対して、有効性が低いということである。

メラミンスポンジは汚れを削りとることで、きれいにしている。
この削りとるということが壁紙にとって致命的なのだ。
壁紙は柔らかい素材なので、メラミンスポンジでこすると壁紙自体がぼろぼろ剥がれてきてしまう。

優しく壁紙が剥がれないように、汚れだけを削るという技も身につけたが、壁紙は凹凸がありへこんだ部分の汚れは落とせない。


だから他の場所ならいくら汚してもいいよとばかりに子どもに対して鷹揚な私も、壁紙が汚されそうになると「ダメ!ダメー!やめてー」と威厳がこれっぽっちもなくなってしまう。
私とメラミンスポンジの唯一の弱点であり急所である。
 

私とメラミンスポンジを倒したい時はぜひ壁紙を狙ったらいいと思う。

壁紙がきれいになる方法を知り、汚れに対しての弱点を克服したいなとずっと考えているが解決には至っていない。
壁紙はこれからも私を大いに悩ます存在でいつ続けるだろう。


しかしいつか壁紙問題が解決して、壁紙の汚れにも鷹揚でいられる新時代がくることを夢みている。

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