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silentから学んだこと

この物語は、思いやりのある優しい人たち同士だからこそ起きてしまう、苦悩や葛藤が描かれた作品だと思う。
湊斗の紬が話し出すまで待つ姿や真っ直ぐ相手の顔を見て話す紬の姿勢だったり、優しい人特有の言動が様々なところから、全話を通して見て取れた。

優しいだけじゃなくて、悩んで背けたくなるようなことでも、ちゃんと向き合いわかり合おうとする姿に何度も胸が熱くなった。
それが、この物語の素敵なところです。

お互いの思いやりが強いからこそ、すれ違い傷つけあってしまう。
思いやりはプラスにもなるし、マイナスな方に行ってしまうこともある。
だから、人間関係は難しい。
大丈夫じゃなくても大丈夫と言い聞かせたり、大丈夫を多用すると逆にそれが相手を心配させることにもなる。
「好きな人がいるから、別れて」と悲しませたくない理由ではあるけれど、その優しさは一方的なようにも感じた。

苦悩や葛藤だけではなく、聴者と聾者のお互いの関わり方や聾者が聴者のことをどう見て感じているのかを知れた。
近くで音楽を聴いたり、手話を軽い気持ちで覚えようとしているのを不快に思わないかと考えたことがある。
YouTubeなどで聾者の方の話を見ると、そういうことに関して全く気にしない人は結構いるらしい。
それと、生まれつき聞こえない人からすれば「聞こえないことは、怖いことではない。寧ろみんな怖がりすぎだと思う」という意見もあった。
偏見で聾者は可哀想だと思ってしまうのは、考え方がとても稚拙だった。

こんなに人の思いが詰まった物語に触れられたことが幸せで、みんなが納得した幸せな方に歩んで行けるといいなと、自分もその物語の中の一人かのように感じた。
でも、そう感じるのは杞憂なんだと思う。
人と向き合うことに全力な人たちの人生が、悪い方向に居続けることはないと思う。
わからないことや分かり合えなことでも、わかろうとする努力やその姿勢は必ず良い方向へつながると信じたい。

相手との向き合い方、伝えるということ、言葉の重みの大切さを学ばせてもらい、自分を形成する部分が一つ、また増えた。


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