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サンチャゴへの道 巡礼プロローグ 【2023年夏】

サンチャゴ巡礼のきっかけ

発端は今は亡き父と一緒に聖地エルサレムを訪れたこと。父の退職後、一緒に海外旅行に行くことを提案すると、「イスラエルなら行ってみたい」との返事。百科事典のように分厚い旅行雑誌「エービーロード」の中から見つけたツアーに参加した。エジプトのギザのピラミッド、シナイ山、紅海と旧約聖書の世界、イスラエルではベツレヘム、ガリラヤ湖、エルサレムとキリストの歩いた地を巡った。この父との旅行は生涯忘れられないものとなった。

エルサレム 岩のドーム

結婚後に何度か旅行したイタリアではバチカンも毎回のように訪問した。聖ペトロの墓所の上に立つカトリックの総本山のサンピエトロ大聖堂もまた聖地だ。忘れ難いのは、新婚旅行の際、バチカンでの教皇謁見に申し込み参加したこと。そして、大勢の観衆が詰めかけている中、運よく時の教皇ヨハネパウロII世と握手ができたことだ。

サンピエトロ大聖堂

サンチャゴ巡礼のことを知ったのはいつだっただろうか。歌人の黛まどかさんの巡礼本を読んで、漠然と行ってみたい気になったのを何となく覚えている。それはかなり昔のことで、自分もまだ若く、現役の身で1ヶ月以上の長い休みを取れるわけもなく、引退後にいけたらなぁと考えていた。

サンチャゴ大聖堂

昨年、定年を迎えた時に、再雇用を断り短時間のアルバイト勤務をすることを選んだ。これで長期の休みは取れることになった。ただ昨年はまだコロナもあり、海外に出ることも容易ではなかったので、準備に時間を注ぐことにした。そして、エルサレム訪問後36年となる今年、ようやくサンチャゴ巡礼に挑む。エルサレム、バチカンに続き、サンチャゴでキリスト教三大聖地をコンプリートだ。

巡礼の準備

退職後の1年余りはまずは体力作りと、自宅近くの六甲山系の低山を歩いて足腰の強化に励んだ。また、長距離の街歩きも心がけた。1年かけての山歩きと街歩きで1000キロ以上は歩いて巡礼に備えた。

それから持ち物の準備。ザック、トレッキングシューズ、レインウエア、寝袋といった巡礼の基本用品から、洗面用具、洗濯用具などの生活用具にいたるまで、一つひとつの重さを確認してぎりぎりまで迷いながら持っていく物を絞った。

更には外貨預金クレデンシャル航空券や最初の数日間の宿泊の予約スマホのアプリなどの準備も行なった。勿論、情報収集も。映画やドキュメンタリー、紀行や体験記の本、ガイドブック、noteを始めネット上の情報も漁って読んだ。先日は巡礼経験者から直接話を聞いてアドバイスをもらった。また3月にはサンチャゴ巡礼仕様の荷物を背負って熊野古道を歩いたりもした。振り返れば、そんな諸々の準備を重ねてきた1年余りであった。

熊野古道 2023年3月に中辺路を2日かけて歩いた

Buen Camino!

今は「膝が痛みませんように。痛風発作が出ませんように。」と祈るのみだ。今回たとえ途中でリタイアしてしまっても、また続きを歩こうと思っている。でも、できれば1回で成功させ、次はまた別の巡礼路、ポルトガルの道なんかも歩いてみたい。

父はイスラエル旅行後にかなり詳細な旅行記録を書き、手製の小冊子をワープロで作っては身内に1冊ずつ配っていた。今ではそれが、とても良い記念品になっている。と言うのも、時がたてば写真を見てもその当時のことを思い出せないことがあるが、文章を読むとその時の情景や気持ちまでがまざまざと蘇ってくるからだ。私も父に倣って、毎日の記録を出来ればリアルタイムでnoteに記そうと思う。

さて、巡礼を果たした折にはどんな風景が待ち受けているだろうか。不安も期待もめいっぱい。そろそろ出発の時間となった。出発にあたり、まずは自分自身に向けて、Buen Camino!

Buen Camino!  (良い巡礼を!)が巡礼者への挨拶

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