気づいたら、お花屋さんでビールを飲んでいた。
ちょっと不思議な日常の1ページ。
このあいだの6月7日のくりこ誕生日パーティー(じぶんでパーティーひらいたのね)のときに、ひまわりをたくさん買って、来てくれたみんなに配った。その花を買ったお気に入りのお花屋さんに「こんど寄りなよ」というようなことを言ってもらって、昨日の夜に寄ったのだけれど。
訪ねると、店主さんがお店のなかの席に呼んでくれた。
「なに飲む?やっぱりビールだよな」
気づくと、わたしはお花の入っている大きなガラスの冷蔵庫(?)から取り出されたビールを飲んでいた。しかもおつまみに殻つきのピスタチオも出してくれる。
店主さんは、テーブルの向こうに座って、アコースティックギターを弾く練習をしていた。ふつうに上手だ。ギターにはいっぱいマジックでなにかが書いてある。
ちょっと店主さんと世間話でもして帰るのだろうな、とうっすら予想していたので、じぶんの筋書きと違う状況に、わくわくしてくる。
飲みはじめてすぐ、もう1人の来客。デザインをやってるというお兄さん。
店主さんは「どうぞ話してて」とギターの練習を続け、ときに花を買いにお客さまが来ると立ち上がる。
はじめて会うお兄さんでも、いつものお花屋さんだからか、ビールを飲んでるからか、話がそこそこなめらかに進む。
彼はここのお花屋さんにはお世話になっていて、店主さんのおかげもあってお花を使ったアクセサリーのブランドを立ち上げたのだと教えてくれた。よく遊びにきているらしい。
わたしも、このお花屋さんでお花を買うようになって、花びんをつくりたいのだと話す。そんな話を、店主さんは涼やかでチャーミングな顔で聞いていた。
はじめて、店主さんの名前も知った。
「こんどインタビューをしたい」と話すと、「いいですよ」と言って、過去にインタビューされた20年くらい前の雑誌を見せてくれた。いまと同じような雰囲気のことを言っているけれど、なんだか大きな規模で会社をやっていたみたい。いま、ここのお花屋さんは、店主さんがほぼひとりでやってるのに。
デザインをしているお兄さんが帰ってからも、店主さんとふたりポツポツ話をした。
どうやら、このお花屋さんで一緒に新しいこと、できそうな気配。お手伝いしたいな。
まだなにもわからないけれど、動き出した感じ。わくわくが、どんどん膨らむ。
もらったビールを飲み終わって、ピスタチオの袋も空になって、家に帰った。
月が綺麗な、いい夜だったな。
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