たくさんの白
電車の中で、百合の香りが流れてきた。
礼服姿の人たちが抱える紙袋の中からのぞく、白い花束。
私は、日常で生花を飾る生活に憧れる。
だけれども、花屋の前で立ち尽くす。庭?プランターで簡単な野菜さえ、実がならない。だから、葬儀場という特殊な状況でいただいたものでも嬉しい。
祖父の葬儀で持ち帰った花束も百合だった。
花瓶に挿したその百合は長持ちした。山吹色の花粉を巻き散らかしながら。
花は全身が生殖器だから綺麗だとは思わない。という話を見かけたことがある。
たくさんの白い生殖に彩られた1つの死。
なんだか、シュール
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