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【映画感想文】すずめの戸締まり ※ネタバレ注意!

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※この記事はネタバレを含みます。
※「Filmarks」でも、空き缶の名前でレビューを書いています。似通ったレビューが見つかる場合がございますが、同一人物ですので悪しからず。

記録

鑑賞日:2022年12月6日
鑑賞方法:映画館
評価:4.0/5.0


「猫好きにはしんどい」というちょっとしたネタバレを食らった状態で観た

公開から1ヵ月ほど経っているものの、なるべくネタバレを食らわないように注意していたので、見出しタイトルに記載の内容以外はほぼ知らない状態で観ました。
予告すらまともに見ていなくて、新海誠さんの作品ということだけで観るのを決めていたのです。

中盤くらいまでは、「こんなに猫が憎たらしく感じるなんて…!これは猫好きにはしんどい!」という意味かと思って観ていたのですが、最後には”猫好きにはしんどい”の本当の意味がわかって、「なるほどこれはしんどい。」と大号泣してしまいました…。ダイジン…!!!

帰ってから愛猫を抱き締めました。

ダイジンの一連の言動についてですが、最後にすずめが言っていたように、ダイジンが扉を開けていたわけではなくて、場所を教えてくれていた。
でも、すずめといっしょにいたいから、自分が要石になるのは嫌=草太を要石にしたい・草太は邪魔、だから結果としてダイジンは嫌なやつに見えたってことだよね…。
ダイジンは良くも悪くも純粋だったゆえに、”すずめといっしょにいたい”を叶えるために、手段を選ばなかったというか、選べなかったんだよね…。そう思うと切なすぎて…。

良い意味で、もう観たくない映画です。(笑)

迷わず草太ではなくダイジンを選びたくなる理由がある

星1つ減らした最大の理由はここにあるのですが、単純にわたしが猫好きだからとか、恋愛に興味がないからとか、そんな理由ではないのですが。
たしかにかなりの猫好きだと自負しているし、でも恋愛に興味ないどころか、むしろ良い歳してかなりの恋愛脳であると、恥ずかしながら思っています。

しかし、すずめと草太の恋愛には、どうも感情移入できませんでした。
すずめが年上のイケメンなお兄さんに惹かれる気持ちはわかるし、出会って間もない自分の手伝いを命を惜しまずにおこなう少女が、健気で愛しいと感じるのもわかる。
それが、イコール恋愛で繋がるのか?と言ったら、キッカケには十分なり得る。

ただ、あまりにも出会ってから日が短すぎると感じざるを得ませんでした。

他の作品と比べるのはナンセンスだということも承知のうえで書くのですが、『君の名は。』や『天気の子』においても、出会ったばかりの相手に対して取る行動としては、あまりにも大胆でドラマチックだった。
けれど、この2作においては短い月日の中でも、確実に絆を深めていき、次第に惹かれ合っていった過程が見てとれる描写が、要所要所に散りばめられていたと思っています。

恋に月日は関係ないと思っているけれど、でも、「なんか違う。」と思ってしまったのでした。

環さんとの関係性

この作品を語るうえで、環さんとの関係性についても忘れてはいけないと思っています。
環さんはすずめの本当のお母さんではなくて、亡くなったお母さんの妹…つまり叔母なわけですが。

実母でも叔母でも、いきなり未成年の女の子が何日も帰ってこなくて、しかも行き先は他県で、しかもしかも男といっしょに行っている疑惑が浮上すれば、そりゃ心配する。(笑)

それはさておき。すずめを連れ戻しに行った帰りに、互いに互いの気持ちを無視したような酷い言葉をぶつけあってしまうわけですが…。これは、実の親子ではないゆえの互いの複雑な感情が、爆発してしまったところですね。このシーンも、見ていてすごくつらかったシーンです。
ただ、時間を置いて互いに冷静になって、いわゆる仲直りをするシーンでわたしがグッときたのは、環さんが、「ほんとはあんなこと思ってない」と言うのではなく、「そう思ったこともある。でも、それがすべてではない。」ということを素直に打ち明けたことです。

どう予想しても、「あんなの、ついカッとなって勢いまかせに言っただけだから!本心じゃないから!」って、弁解したくなるところじゃないですか。
でもそうじゃなくて、「そう思ったこともある。」って、ほんとの気持ちを打ち明けるなんて、相手のことを信頼していないとできないことですよ。

わたしは、すずめと環さんの間にたしかに強い絆を見た気がしました。これからもっと、”家族”になっていけるんだろうな、と感じました。


空き缶


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