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三島由紀夫


 三島由紀夫にはそれほどハマらなかったというのは本棚の本がそれほどないので
わかるが、「剣と寒紅」があったとは。出版差し止めになった本だったが、今は手に入るようですね。

本棚の「日本の文学」全集に入っているのは、仮面の告白、金閣寺、午後の曳航、近代能楽集、芙蓉梅雨大内実記。

文庫本の「花ざかりの森」は16歳の時に書かれたものと知り、やはり天才なんだなと思った。高校生の頃「婦人公論」連載の「音楽」も読んだと思う。

映画になった「午後の曳航」を'70年代後半に見た。セーラ・マイルズが出ていた。記憶では〜海辺に住んでいる未亡人とその恋人〜船乗りだったか〜と、少年の話だった。
少年は仲間と一緒に猫を捕まえて、解剖?するのだった。あの猫はその後
ちゃんと生きるようにしてもらったのかと気になった。動物虐待ではないのか。映画の演出で巧みに見せていたのなら許せるが。
そして少年たちは母の恋人の男も猫のように殺したのだったか。全般になんとなく奇妙な感じがして〜喜劇またはメルヘン〜赤頭巾ちゃんのような〜として見てしまった。(記憶の中の映画と小説の筋がどう一致しているのかは確かめません〜。)

近代能楽集は新宿の紀伊國屋の劇場(違うかもしれない)で見たような気がする。
「綾の鼓」だった。宮廷はどこかの会社となり、女御が女社長で、老人は老社員だったのかな。若い私はわざわざ現代劇にする必要があるのかと思った。能と付いて
いても形式性というのはなく、普通の現代劇だった。作品のテーマ(この場合は叶わぬ恋)が同じということで近代能楽と付けられているらしかった。受けた感じは地味〜だった。

1970年のある日新聞に三島由紀夫の文が出ていた。「昔の武士は, 藩に不平があれば諌死しました。さもなければ, 黙って耐えました。なにものかに属するということはそういうことです。もともと自由な人間が、なにもの かに属して美しくなるか醜くなるかの境界はこの危うい一点にあります。」
そうですか。死ぬか黙って耐えるか? それ以外だと醜いのね。 どうも自分が醜いと思っていたけど、 そもそも武士じゃないからどうする、と’70万博のホステスをやめようかどうしようかと考えていた。

三島由紀夫と能楽堂で遭遇したことがあった。大学2年の時だった。クラブから月に一度能を見る会があった。私はその日大曲おおまがりの能楽堂に遅れて行った。  二階への階段を上がっていくと、上がったところのスペースにあるテーブル席で、三島由紀夫が夫人とふたりでお茶を飲 んでいた。正面から悠然と微笑んでいるようで、大きな目で瞬時に観察された感じがあった。それから私は 二階で見ていたが、一階の席から二階を振り向いた三島由紀夫と目が合った(ような気がし た)。

'70の 衝撃の事件は京都の郊外を散策していたときにどこかから流れてきたニュースで知りました。


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