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私が白老でアーティスト・イン・レジデンスを始める3つの理由

白老町の地域おこし協力隊となって約半年が経過し、着任当初からやろうと思っていたアーティストインレジデンスを2023年1月ついにスタートします!(実はこれを書いている時点で、第一弾は終了しているので、それはこの次の投稿にて)

アーティスト・イン・レジデンスとは何か?

日本全国のアーティスト・イン・レジデンス総合サイト「AIR_J」にはこう説明されています。

アーティスト・イン・レジデンス(Artist in Residence、「AIR」)とは、国内外からアーティストを一定期間招へいして、滞在中の活動を支援する事業です。日本においては1990年代前半からAIRへの関心が高まり、地方自治体やアートNPOがその担い手となって取り組むケースが増えてきています。

(出典:AIR_J)

全国だけでなく世界でもさまざまなAIRが行われており、思っていた以上に実践者らのネットワークがあるようです。

実は、私がAIRどうしようと悩んでいた最高のタイミングで、別府にある(私がロールモデルとして目標にしている)お化けNPO法人「BEPPU PROJECT」が、アーティスト・イン・レジデンスのオンラインレクチャーを開催するとあって、速攻で申し込み、昨年11月から全5回のレクチャーを受講しています。(ベップロの皆さま、本当に素敵なレクチャー企画でした。大感謝です)
内容は、その成り立ちから、今行われているAIRの最新事例まで、私の求めているドンピシャな内容でした。
ここでの一番の学びは、AIRに正しい形などなく、それぞれの目的やゴールの設定によってやり方はそれぞれであるという確信で、自分が理想とする形を追い求めていけば良いのだと腹を括ったところがあります。

アーティスト・イン・レジデンスオンラインレクチャーの内容をメモしたノート

「目的は何か、そのためにどんなアプローチをするのか?」
全てにおいて、これに尽きますよね。

AIRの実施は、協力隊になり5LDKの家をお借りする時から決めていました。
せっかく協力隊として移住するのだから、お家もただ住むだけの場所ではない、拠点となる場所にしたかった。

上記の説明にもあるように、基本的にアーティストの支援制度としてあるAIRですが、なんといっても受け入れる側・地域にさまざまな刺激が得られるのが醍醐味!
ということで、今回私がAIRをスタートしたかった理由を整理しておこうと思います。

本編とは関係ないですが、社台の海で撮影した奇跡の一枚

理由1:白老町のリサーチを一緒にやりたい!

2021年にスタートしたアートプロジェクトをきっかけに、昨年白老に移住しているわけですが、協力隊としてもっともっと白老町を知る必要があると思っています。
海・山・森・河・湖、産業、暮らし、江戸末期に北方警備のために建てられた陣屋のこと、アイヌのこと、さらにもっと昔のこの土地の成り立ち…そういうものの出会いや掛け合わせから、魅力的なコンテンツや事業は生まれてくると、前職のリゾート時代から思っています。
そのリサーチを進めていく中で、自分ひとりだけで人に会ったりお話を聞くのは勿体無い!一度で何度も美味しい状態が望ましいなと考えていました。
アーティストの面白さは、視点を開くこと、視野を拡げること。自分にない全く違う感度で情報をキャッチしてくれるアーティストと一緒の方が絶対面白い!!
気づきの重層化と、自分だけでは得られなかった接点をつくりながら、次のリサーチの糸口を一緒に探していきたい、これは私がAIRを実施する目的であり一番の理由です。

旧森野小中学校にリサーチに行った時に見たアルバム。歴史の積み重ねを感じる

理由2:継続的にアーティストとの関わりを持つ、持ってみること

さまざまなアートプロジェクトを通して体験していた、アーティストたちの視点。アーティストたちが町を地域をリサーチしていく中で、歴史的な資料はもちろんのこと、今を生きている人同士の出会いと偶然の掛け合わせによって有機的に生まれていく作品。住んでいた私自身も知らなかったようなことが炙り出され凝縮されていく作品は、ただ歴史や文化をなぞり学ぶだけでは見えてこない、歴史・文化、その土地との出会い方の一つとして大変エキサイティングな体験です。
一番面白いのは、アーティストと伴走しながらそのプロセスも含めた作品づくり(アウトプット)に関わることだろうと思っています。いわば作品鑑賞の一番の特等席。
これまでのアートプロジェクトでは、私は基本的に広報担当として、アーティストが滞在している時間を少しだけ体験する、プロセスを共有してもらう、または最後の完成した作品を知ることしかできません。そしてそれをもとに情報発信するのが私の役割です。
実は、アーティストと一から関係をつくりリサーチに同行したりアウトプットについて話し合ったりするような、特等席にいるプロジェクトマネージャー(プロマネ)に憧れていました(笑)

そしてもうひとつ、アーティストとの継続的な関係づくりによって生まれてくるものとは何かについて知りたいということ。いわゆる「関係人口」としてアーティストが地域に関わってくれることで生まれてくる化学反応を実体験してみたいという気持ちがあります。
アートプロジェクトの場合、助成金ベースの活動になると次年度の計画が立てられないことやフィーをどう捻出するための財源の確保など、なかなか課題が多いことを感じています。アーティストとの関わりも、超短期集中で、嵐のようにリサーチと作品制作をして、地域を去っていくパターンになってしまう傾向にあります。

規模は小さいながらも、協力隊の立場なら活動費を有効活用して出来ることがあるのではないか?  リサーチと合わせて、長期的に作品化していくようなそんな関係づくりのトライアルがもう1つの理由にあります。

理由3:町の人たちと気づきを共有したい

アーティストが町に関わってくれる最大の利点は、地域になかった新しい気づきが得られることだと思っています。
滞在中のアーティストの視点や気づきをできるだけ町の人たちと共有したい。そうすることで、どこかで何かのきっかけで、その気づきが町の新しい資源として活かされていく可能性があると思っています。

が、この共有ってやつが一番難しい…。
私が取り組むAIRの中では、その共有できる人数は多くないですが、ワークショップを実施することは積極的にやっていきたい!
どういう形で共有していけるのか、その方法はこのnote含めて、色々考えていきます。

かっちょ良すぎる、白老海岸から見た漁火。

ってことでアーティスト・イン・レジデンス、やっちゃいます!

この、「やっちゃいます」モードに入れるのは、地域おこし協力隊の制度のおかげでもあります。
協力隊には活動資金が用意されており、(地域や所轄にも寄ると思いますが)その裁量はある程度協力隊側に任されているので、私がこの人呼んでみたいとなれば私の裁量で決められてしまうこと(もちろんその結果が求められるわけですが)。
このトライ&エラーができる活動資金を持たせてもらえていること、これは本当素晴らしい!!なので、アーティストの招聘に関わる宿泊や旅費交通費、活動に関わる経費や謝礼はこの活動費から出させていただきます。ありがとうございます!

ただ、ここでひとつ重大な問題が。
実は、私、結構人見知りであり、人とずっと一緒にいるのが得意な方ではないのです(AIRでは致命的かw)。
私のお家に滞在しながらのリサーチ&制作なので、双方一緒にいることが苦になるなら、それはあまりよろしくない。ということで、まずはお試し期間から…という気持ちで、おおよそ1週間のリサーチ期間でやってみることにしました。

旅費・交通費、宿泊費、滞在日数に応じての謝礼、プラス随時発生する経費については相談しながら支払う形で、まずは第一弾スタートします。
ちなみに、"アーティスト・イン・レジデンス"としていますが、アーティスト(=美術作家)に限らず、クリエイターやエンジニア、その他幅広く実施理由に当てはまる可能性があればトライしていく予定です。

SHIRAOI PROJECTS = SHIPS 

ちなみに、任意団体ではないですが、これらの活動名を「SHIPS」にしようと思っています。私が海や水辺が好きで、特に今の興味関心が海の魅力化であることもあり、白老の魅力の底上げの切り口に考えているところがあります。
ということで、「SHIPS アーティスト・イン・レジデンス」 として活動を開始することをここに宣言します!(笑)

ここも大好き、白老漁港。お近づきになりたい!
奥にうっすら見える山は活火山の「樽前山」。

さらに、このAIRの先にやってみたいこともあるので、それはまたの機会にお話しできるところまで行けばいいな。ぜひご注目ください。

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