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クレープって花束

久しぶりにクレープというものを食べた

学生時代はよく食べていた
それは多分、当時はクレープ屋がある場所によく赴いていたのでクレープ屋をみるとクレープが食べたくなる仕様になっていたからで、学校を卒業してしまえば自然とそういう場所に行かなくなり、そうなると必然的にクレープも遠のいた

なので、本当に久しぶりにクレープを携えたのだった
片手にスマホではなく、クレープ
なんだか平成を思い出した

そしてふと、クレープって花束だな。と思った
円すいが逆さまの状態になっているから持ちやすくなっていて、円の部分がなにやら彩られている
その見た目が花束そのものだと、今更気付いた
学生時代はそんなこと一度も思わなかったのに。
ここにきて急にそんなロマンチックなことを、この私が…?
という驚きもありつつ、甘い花束を食らう

甘い花束の正体は、生クリームである
クレープってほぼ生クリームだ
人間のおよそ70%は水分でできているように、クレープの90%は生クリームでできている
薄皮の生地が、90%の生クリームをせき止めているのだ
クレープとは、人間とほぼ同じ構造でもあったのである
花束兼人間だったのだ

歳を重ねると感受性は衰えるものだと思っているけれど、意外とそうでもないようだ
多角的に物事を見られるようになったという方が近いかもしれない
それゆえ、余計な構造に気づく時もあるけれど

それはそれとして、片手にクレープを持つ文化だけはいつまでも続いてほしい
生クリームの花束が片手を彩ってくれるのは、人生の中でもその瞬間だけだから

おわり

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