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今一度「日本半導体凋落の真因を考察」④~まず先行研究を調べてみた【1】~研究から導かれた通説とは?

四半世紀にわたって非常に多くの研究がなされてきた


1990年代半ばから4半世紀にわたって、大変多くの研究がなされ報告されている。
以下のような「通説」に収束しつつあるようだ。
・経営者の能力(投資戦略、マーケティング、タイムリーな判断)不足。
・国の産業政策の失敗。(各種コンソーシアム他)
・日米半導体協定により逸した多額の利益。
・半導体の主要ユーザーであった日本の家電産業の衰退。
・過剰品質体質
・横並び体質

等々。
どれも当時の実際のデータやインタビューに基づき当時の実体を整理されたしっかりした研究であり、間違ってはいないと感じる。

以下に代表的な先行研究を挙げる。
・伊丹敬之(一橋大学) ら
なぜ「三つの逆転」は起こったか 1995年9月
・金容度(法政大学)
日本IC産業の発展史 共同開発のダイナミズム 2006年6月
・津田建二(元日経マイクロデバイス)
「半導体入門講座」36 /みんなの試作広場 2022年11月
・吉岡英美(九州大学、熊本大学)
韓国の工業化と半導体産業 2010年3月
・岸本千佳司(アジア成長研究所)
台湾半導体企業の競争戦略 2017年9月
・青島矢一(一橋大学)、武石章、マイケル・A・クスマノ (5章は中馬)
メイド・イン・ジャパンは終わるのか 2010年8月
・牧本次生(元日立、元ソニー)
日本半導体復権への道  2021年11月
・湯之上隆(元日立、元エルピーダ)
日本型モノづくりの敗北  2013年10月
「電機・半導体」大崩壊の教訓  2012年10月
・機械振興協会経済研究所 下東(元日立)ら 
「わが国半導体産業の競争力凋落の究明」調査員会」報告 2014年3月
・藤村修三(元富士通)
半導体立国ふたたび   2000年9月
・日本政策投資銀行設備投資研究所
イノベーション経営研究会報告書(事務局:渡辺孝、藤川信夫)2003年3月
宮川公男、宮原諒二、禿節史、牧本次生、青島矢一ら


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他多数

参考文献
垂井康夫監修(東京農工大学)、日本半導体製造装置協会編
「半導体立国」日本 独創的な装置が築きあげた記録 
1991年11月(日刊工業新聞社)

金山俊彦監修(工業技術院)、日本半導体製造装置協会編
半導体立国 製造装置の明日を語る 1996年11月(日刊工業新聞社)



しかし、どうも腑に落ちない。

・1980年代、90年代の日本の半導体デバイス事業の経営者は、それほど無能だったのか?
日本を代表する(当時は世界を代表するレベルの)大企業で選ばれ、多くの知見・経験を持ち、優秀な経営スタッフを有した 10社にも及ぶ経営陣が揃いも揃って無能揃いだったのか?
・研究により原因が明らかになり、その重要要因であった日米半導体協定も25年前に終了し、世界の半導体市場は発展・拡大の一途なのに、なぜ
なぜ日本に半導体再興の旗手・担い手が現れ、再興の動きが進まなかったのか?
腑に落ちない!

現在、国を挙げて半導体再興の動きが盛り上がってきている。
Rapidus社設立。TSMCの熊本での工場設置。
心から応援したいと思う。

そのためにも万人が納得できる凋落の真因(本当にそれがあれば)は大切だと思う。
私は、先述した仮説を検証してそこから現在にフィードバックすべきことが無いかを見極めたいと思う。



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