しゃらしゃらと鳴るスカートをつかむ子がいないとなりを駆ける春風
大きくなったな、と思う瞬間は、どこにでも転がっていて。それは、テレビの裏に隠れていたビー玉みたいに、ある日に顔を出してなんだか光る。
子どもがもっと小さかったころ、具体的には歩き出しても前につんのめるような足運びをする頃、私は毎日ズボンをはいていた。子を追いかけ、目線を合わせ、抱き上げる生活に洋服の機能性が必要だったからだ。
でも私が今より若かったころ、具体的には社会に出たばかりで毎朝田園都市線にゆられ永田町まで通っていた頃、クローゼットのなかはスカートばかりだった。ゆれ