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ジブリ映画を観ている娘を見るのが楽しい

先月から、Netflixでジブリ作品が順次公開されている。ニュージーランドに住む私は、娘とジブリを堪能する絶好のチャンスだ。

「となりのトトロ」からはじまり、「魔女の宅急便」「天空の城ラピュタ」。この辺りは6歳の娘でも楽しめる定番で、とてもよい反応を見せてくれた。

「もののけ姫」と「千と千尋の神隠し」は13歳以上の年齢指定になっている。ためしに、「千と千尋の神隠し」を一緒に観てみたけれど、千が湯屋で働いてカオナシが出てくるあたりで娘は明らかに飽きていた。ストーリーの複雑さの問題なのかな。

ほかに娘が目を輝かせてみていたのは、「借りぐらしのアリエッティ」と「猫の恩返し」。これらは、かわいいよね。何回も観たくなるのも無理はない。

家事をしながらの流し見だけど、まあまあ付き合う。仕事で頭がショートした金曜日(つまりは今日)なんかは、iPadで流しながら食事中に観ちゃう。

テーブルを挟んで、私の斜め向かいに座る娘の表情がよく見える。ハクの手が光って千尋の足をなでた瞬間、「マジックだ……!」と娘が口を開こうものなら、私は一人にやけてしまう。

メイが引っ越し先のおばけ屋敷で叫ぶシーンに合わせて「まっくろくろすけ出ておいで―」と大きな声を出す娘に、おかあさんも子どもの頃そのセリフ叫んだわ、としみじみする。

アリエッティを見終えたあと、夫にこっそり「ねえ、小人はリアルなの……?ほんとにいる……?」と問いかけている娘をキッチンから眺めて、(あーーーーーっつ!)と心のなかで叫んだりする。

ラピュタを観ながら「空の上にお城はあったね!」と興奮気味に私に語ったあと、独り言のように「やっぱりリアルだったんだ……そうだと思ってた」とつぶやく娘の横顔を見て、またもや(あーーーーっつ!)と悶えたりする。

ジブリ、娘にかわいい想像の翼をくれてありがとう。

目にうつらない世界に足を踏み入れている娘を見て、子どもらしいなあ、とかはあまり思ったりしない。どちらかというと、私もそんな風に空を眺めてたなと、懐かしい気持ちになる。

雨上がりに空にかかった小さな虹に。夏の道路わきで風に揺れていたタチアオイに。雲の切れ間から緑の田んぼを照らす光に。物語の世界を探していた。

けっきょく、小人にも猫バスにも出会えないまま大人になったけれど。

娘は、ニュージーランドの芝生を裸足で駆け回って、トトロが落したどんぐりを探すのだろうか。もし、ファンタジーな生き物に出会ったら教えてねなんてお願いしても、きっと秘密にされるんだろう。

「大人にはナイショだよ」っていうのが、小さな子の心を躍らす魔法の世界の決まり文句だからさ。

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