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おにぎりは魔法がかかってると思う

祖母をまだ、自宅で介護していた頃の話です。

私は仕事に出るし、
父も仕事なので、
日中の見守りが誰も居ませんでした。
まだ認知は進んでいませんでしたが、
ベッドから降りてトイレまでの歩行やお茶を飲む、など1人でも出来なくはないが見守りが欲しいという状態の時に、地域の福祉課へ相談し、週3日、30分から1時間程度でヘルパーさんが入って下さることになりました。

当時の祖母の状態から言うと、かなり頻度が高いので、手出しも多かったのではないかなと想像します。
とにかく毎日、昼に1時間だけでも誰かが来て祖母の状態を見てくれるという事は、私や父にとっては物凄い安心感でした。

当時の祖母はちょっと”赤ちゃん返り”ではないけれど、麻痺が酷くなって、出来ていた事が出来ない事になるという事実の多さに不満をぶつけていて、それが「拗ねる」という行動になっていたんです。

まず朝ごはんを食べてくれません。
食欲が湧かない、食べたくないの1点張りでした。

私も父も出勤時間があるので、気にはなりつつ「じゃぁ、食べたい時に食べられる様にしておくね」と準備している昼食と一緒に置いてくるのですが、夜に帰ってみると、どちらも全く手を付けていないなんて事が何回もありました。

昼間のヘルパーさんは名目上は
「家事手伝い」という事で来て頂いていました。なので、来られたら、部屋の掃除やトイレの掃除などをしてくださっていました。
身体介助は含まれていません。
余った時間は祖母の話し相手をしてくださっていましたが、あくまでも「家事手伝い」

同じ方が2人くらいでローテーションで来られ、
年齢も叔母くらい。
祖母もすっかり仲良くなって、私もたまにお会いする事がありましたが本当に良くしてくださいました。

そんなサービスを受けるようになって、
1年近くが経ち、祖母の麻痺は進み、認知も少しずつ進み、週3日のヘルパーさん訪問と、別の曜日にはディケアに通うようになっていました。

私はその日だけは昼食の準備が不要になったので楽になりました。
でもやっぱり祖母の食べないという日は時々発生しており、私も父もどうしたものかなぁと考えていました。

ある夜、帰宅すると、いつものように残して行った朝食も昼食も食べてある。
しかも皿まで洗ってある。

これはヘルパーさんだなと思いました。

祖母に聞くと何故かはぐらかすように話してくれません。
申し送りのノートを見て、私は顔見知りになっていたヘルパーさんと話がしたくて直接電話をかけてみました。

「あぁ、お昼にね、掃除をしていたら呼ばれてね。何かと思ったら、食卓の上にあるご飯をおにぎりにして欲しいって言われたの。朝ごはんを食べていないと申し送りのノートにあったので、お腹空きましたかって聞いたら、空いたっていわれるのでね。ご飯を温めて塩むすびをつくったのよ。そしたら、人の握ったご飯ってなんて美味しいんだろうねって言われて、ぱくぱくと3つ全部食べられてしまったのよ」

そう教えて下さいました。

私はそれを聞いて、
祖母の寂しさや悔しさ、そして本当に祖母が欲している事が少し見えた様に思いました。
3食きちんと食べなさい、
それからこれとこれを摂りなさい、
そんな事ではなく、祖母が食べたかったもの。

私は本来なら生活介助は含まれていないのに、
祖母の気持ちを汲み取っておにぎりを握って下さったヘルパーさんに本当に感謝しました。

それからも時々、祖母はヘルパーさんにおにぎりをねだったそうで、申し送りのノートに書かれていました。


今、夏休みの間の昼食は子ども達が2人で作ってくれているのですが、時々、息子は「姉が作るおにぎりが食べたい」と言うそうです。

聞くと「美味しいから」って。
姉に甘えてるなぁ( ´ ▽ ` )

何も無い、
米と塩だけのおにぎりがとっても美味しいんだと話してくれる時、私は祖母の事を思い出さずにはいられません。
相手を信頼しているからこそお願いが出来る事。そして自分を想いながら握ってくれるおにぎりの美味しさ。

私はこれが食の原点と言うか、基礎じゃないかなと思っています。

おにぎりって、握った人の愛情や気持ちを1番感じられる食べ物。
"血の通った人"とか表現がありますが、
おにぎりって
血の通った食だなって思うのです。

そう思って、
今朝は張り切って2人におにぎりを作ってみました( ´ ▽ ` )❤️

「お!母が朝ごはんを作ってるぞ」
なんていわれながら(*‘∀‘)(笑)


9月のTHE COOL NOTER賞のテーマは
『子育て、食育、おいしいもの』です✨

✨募集要項✨

■「食育・子育て・おいしいもの部門」
 料理や子育て、食育など生活に根ざした記事が対象です。
・食育等部門募集期間 ―― 9月15日まで
・審査期間     ―― 9月1日~募集で、末日付近に部門賞発表


✨応募方法✨
その1
応募記事に、以下ハッシュタグを必ずつけてください。
#第3回THE_NEW_COOL_NOTER賞_  9月参加

①ご応募いただけるのは、お一人様月に1作品までです。
②月をまたいで、他のテーマに複数応募することは可能です。
※つまり、7月の文芸部門や8月のエッセイ部門に参加いただいている方でも、別記事で9月のエッセイ部門にご参加いただくことは可能です。
③有料記事は応募不可です。
その2
応募の際は、応募記事とは別に、第3回THE NEW COOL NOTER賞9月分へ参加したことについての紹介記事を投稿してください。
紹介記事には、THE NEW COOL NOTER賞の以下のロゴを使用していただくようお願いいたします。

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 審査員の
❤️これでも母さん
 同じ子育て同志と言う事で、子ども達に向き合う視線や想いの記事は、いつもあたたかくて優しいです。


もうお一人は
❤️ゆうのうえんさん
私、家庭菜園でさえダメなので、そこからまず尊敬します。食を土から考える方って凄いプロフェッショナルだと思います。


そして、頼りない感満載ですが、
私も審査員を務めさせて頂きます( ´ ▽ ` )
どうぞよろしくお願いします✨


皆さんの子育てを
皆さんの食育を
皆さんのおいしいものをたくさん書いて頂けたら嬉しいです。
ご応募、お待ちしております❤️



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#第3回THE_NEW_COOL_NOTER賞


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