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ロングスリーパーの苦悩

睡眠欲は人間の本能的な欲求であり、睡眠は生命の維持に必須である。
このことは人間に限らず、大抵の動物にあてはまることだと思う。

なのに、だ。
そんなに重要で必須な機能なのに、同じ人間という種族の中で、その「必要度合い」があまりにも違いすぎない?と感じるのだ。

1日に4時間の睡眠でもぴんぴんしていられる人もいれば、10時間以上眠らないとだめだという人もいる。
寝不足になった際、なんか体がだるいなあという程度で済む人もいれば、頭痛と吐き気でぶっ倒れてしまう人もいる。
同じ人間で、似たような形態の社会生活を送っているも関わらず、生活に直結する「生命維持活動」にこんなふうにばらつきがあるのは、なんというか、不平等というかあまりにも理不尽じゃない?と思ってしまうのだ。

私は子供の頃から、かなりのロングスリーパーだった。
平日でも1日10時間以上は眠らないと日中の活動に障りが出たし、休日は20時間程度ぶっ続けで眠っていることもあった。(目が覚めて時計が示しているのは5時、午前と午後のどっちだ?となるやつ。)

社会人になった今、1日10時間眠ろうとすると、仕事終わりの帰宅後にご飯も食べずお風呂にも入らず即就寝しなければならないことになる。
あるいは、ご飯を食べてお風呂に入って眠り、始業時間と同時に目覚めることになる。
そういうわけにはいかないので、短い睡眠時間で寝不足を抱えて生活しているわけだが、それでも最低8時間は眠りたいし、できれば9時間以上は寝ていたい。
休日は最低でも10時間は眠りたいし、そうではないと寝不足を原因とした体調不良が次々と襲い掛かる。
片頭痛に、吐き気に、精神不調(イライラや不機嫌など)。ひどければ何度か嘔吐する。たかが睡眠不足で、だ。

睡眠時間が7時間程度あれば、寝起きのヨガと筋トレとカフェインで無理やり起きることはできるし、日中の追いカフェインによりなんとか1日を乗り切ることができる。
睡眠時間が6時間をきると、その日の活動は絶望的だ。
逆に、10時間以上眠れた日は体が軽く、頭がすっきりとしていて、機嫌もよく晴れやかな気分で1日を過ごすことができる。

ちなみに、睡眠環境が劣悪だということもない。
適温で眠るために空調はずっとつけているし、布団は季節に合わせて多種多様持ち合わせているし、眠るとき部屋は真っ暗だし、騒音もないし、ベッドはクイーンサイズでそこそこ高いマットレス使用のため、のびのびと眠ることができる。
まあ、常に睡眠不足のような状態なので、劣悪な環境でも全然入眠できるのだが、普段の睡眠環境はかなり良い方であると言えるだろう。

とはいえ、自分でも気づかないようなことを原因として、眠りが浅くなってしまっているのではないだろうか?と思ったこともある。
睡眠を音や振動で観測する有料アプリを購入し、スマホを用いて長期間自分の睡眠を観測したこともある。
結果としては、睡眠の波はめちゃくちゃ綺麗で、レム睡眠もノンレム睡眠もいい感じに含まれており、快眠度合いは毎日100%に近かった。

幼少期から割とストレスの多い日々を送っていたので、そのせいで脳の疲労が強く必要睡眠時間が増加しているのだろうか?
いや、私は赤子の頃から、ご飯も食べずに延々と眠り続ける子供だったらしい。
となると、これはもう、生まれつきということになる。
生まれつきの、生粋のロングスリーパーだ。そう生まれてしまった。
そう結論付けるしかなくなってしまう。

ロングスリーパーの困ったところは、とにかく「活動できる時間が短すぎる」ことだ。
慢性的な寝不足やそれによる体調不良も苦痛ではあるのだが、極端な話、1日10時間睡眠は達成しようと思えばできない数字ではない。
睡眠が10時間、労働が8時間、通勤が往復で1時間、食事が1時間×3食で3時間、お風呂が1時間、その他に炊事や掃除や洗濯など家事の時間が1時間。これで24時間だ。
毎食15分で食事をとって5分で歯を磨く、というふうに時間を切り詰めることもできるが、女性の場合はここに化粧やヘアセットの時間などが加わることもある。

なので、最大限工夫しての、1日10時間睡眠だ。
達成できないことはない数字ではある。
ただし、お気づきだと思うが、これでは「寝て起きて仕事に行って帰って寝る」というだけの生活だ。それだけで1日が終わってしまう。
仕事をするために起床し、仕事が終われば就寝する。それをひたすら繰り返すだけの生活を送らざるを得ないことになるのだ。

これが、1日6時間睡眠の人だったらどうだろう?
いや、日本での平均的な睡眠時間、7時間半の睡眠でも構わない。
それでも2時間半の自由時間が生まれることになり、その時間は例えば趣味にあてたり、勉強にあてたりできるようになる。
平日にそんなふうな「自分の自由な時間」がとれることは、ロングスリーパーにとっては羨ましいことこの上ない贅沢なのだ。

仮にロングスリーパーが、1日に7時間半の睡眠で生活したとしよう。
そうすれば自分の自由な時間は確保できるが、今度は日中の活動時間の雲行きが怪しくなってくる。
ずっとうっすら体が重いし、頭はもやがかかったようだし、なんとなくイライラしていて、不測の事態には対応できず、傍から見れば「なんか無気力っぽくて機嫌の悪い人」が爆誕してしまうのだ。
そして、寝不足が重なると体調を崩し、頭痛で薬を飲んでゲロを吐き、「なんか不健康そうですぐ具合が悪くなる人」になってしまう。

例えばショートスリーパーであれば、自分の自由な時間を謳歌しつつ、日中も元気で機嫌がよく、さっぱりとした時間で生きることができるのではないだろうか?と考えてしまう。
まあ、自称ショートスリーパーの人は、高確率で「睡眠時間が足りていないが自分では気付いていない人」「重度の睡眠不足だがまだ死んでいない人」に該当するというデータもあるようだが・・・。

ともあれ、ロングスリーパーが(本能的に)健康的な生活を送るために睡眠時間を確保しようと思うと、平日に自分にかける時間を全て捨てるか、あるいは労働時間を減らすために非正規労働者になるしかない。
当然、配偶者や子供にかける時間なんてあるはずもなく。
1人でただ眠り続ける、なんなら眠るために生きる泥人形のようにならざるを得ないのだ。

あるいは、無理やり睡眠時間を削り、効率と精神衛生を悪くしながら常にデバフのかかった状態で生きていくしかない。
それって、言ったって仕方がないことは重々承知しているのだが、それってものすごーく、なんか、損じゃない・・・?

私がロングスリーパーでよかったことといえば、寝つきが異常にいいことくらいだ。
前述したとおり、常に睡眠不足の生活を送っていることが多いため、体は常に睡眠を求めている。常に、今すぐにでも眠りたいのだ。
なので、ベッドに横たわると、大抵1~2分くらいで眠りにつくことができるし、一度眠れば夜中に目が覚めるなんてこともない。
それはそうだ、食事も排泄もなしに20時間ぶっ通しで眠れるのだから。(仮死では?)

ちなみにだが、健康な人間はベッドに入ってから眠りにつくまでに10~20分くらいはかかるらしい。そして、それよりも早く眠りに落ちる人のそれは、入眠ではなくほとんど気絶に近いらしい。
睡眠不足の人は、毎日、入眠ではなく気絶している。
湯船で寝てしまって溺死してしまうような人たちも、「なんで気付いて起きないの?」と周りは思わざるを得ないのだが、それが入眠ではなく気絶だからだそうだ。

そんなわけで、ロングスリーパーは
・フルタイムで働いていると、自分のために使える時間が全くない
・社会に適応しようとすると慢性的な寝不足になり具合が悪くなる
・家族のために時間を使おうとしようものなら更に寝不足になる
・起きて動き、夜は気絶して仮死状態みたいになる謎の生命体と化す
といったふうな毎日を送ることになる。

一度でいいから、自分の趣味を深夜まで楽しみ、日中も寝不足を感じることなく元気に活動してみたい。
寝不足によるイライラや不機嫌を消し去り、「満ち足りて体が軽い!」という状態で生活してみたい。

体質の問題なので、無理なのはわかっているのだが。
ただの無いものねだり、他愛もない愚痴のようなものだ。
いや、子育て大丈夫か?私・・・。

まあ、有るものでこれまで生きてきたし、これからも、有るもので生きていくしかないのは確かである。
自分をショートスリーパーだと思い込んで寝不足で具合を悪くするよりは、たっぷり眠って(眠れていないわけだが、それを目指して)限られた時間で工夫してやっていくしかない。
お昼寝の習慣でもつけてみようかな。お昼寝はたったの15分で効果があるらしい。

どうでもいいが、筆者は愚かなので、「ロングスリーパー 頭が良い」で検索をかけた。
睡眠時間と頭の良さの関係性は・・・残念ながら、あまりないようだ。
あーあ。愚かなり。

そんなわけで、今回はちょっとした愚痴編でした。
ではでは、今回はこのへんで。






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