2022冬アニメ『平家物語』は絶対に面白い
早速、新年早々に立てた目標を破り、久しぶりの投稿となりました。本年、2本目の記事です。今回はアニメの話をさせてください。
2022年1月12日よりフジテレビ「+Ultra」にて放送されている「平家物語」。「平家物語」とは、「祇園精舎の鐘の声~…」でお馴染みの日本が誇る大古典ですね。その大古典を古川日出夫先生の訳本を原作にアニメ化した作品です。1話を見た後、あまりに良すぎて古川先生のではないですが『平家物語』の古典を買いに行きました。
何と言っても、豪華すぎる
声優陣はもちろん豪華です。ただ、それと同等にすごいのが制作スタッフの強さ。『リズと青い鳥』『聲の形』などヒット作のメガホンを取った山田尚子監督、『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』などの脚本を書いた吉田玲子さんのコンビが目を引きますし、『るきさん』など多くの作品を手掛けた高野文子さん初めてキャラクターデザインを担います。また、OPは羊文学が歌います(このOPが良い、という話はまた後程…)。
これだけの名前を抱えても負けることなく、燦々と輝く『平家物語』というタイトル。アニメ界で名を馳せた猛者たちが『平家物語』をどう描くのか。視聴者が持つ先入観をどうぶち破ってくれるのか。今からワクワクしますし、既に第1話でこれは我々がイメージする「平家物語」ではないことは、はっきりわかりました。
「女性」という立場から、武士の世の中を見る
本作の主人公:びわは、実は女性であるが父から男性を名乗れと言われ、平家のなかで(少なくとも個人の意識としては)男性として生きていく選択をします。こうした点を始め、本作は「女性」という立場性の描き方が非常に面白く、個性があると感じました。
現代では、ジェンダーレスの視点が世の中に広まっていますが、武士の世界では強さこそ全て。身体的な力でどうしても劣る女性にとって、選択肢は非常に少ないでしょうし、びわの父が抱えた想いも察することができます。第1話のなかで、びわと平徳子が話すシーンからも、何らかの意図を感じます。
おごれる者久しからず…
『平家物語』の冒頭、
と始まります。いわば、平家一門の凋落を描いた物語。「平家」は世界史選択だった僕にとって、あくまで源氏にとっての「悪役」で、調子に乗った末路として壇ノ浦で悲惨な最後を迎えた一門というイメージでした。
アニメ『平家物語』も、おそらく平家の凋落と壇ノ浦の悲劇が物語の中心になるのでしょう。観る前から、何となく胸が詰まる思いがする。では、平家が勢威を振るうようになるまでの過程はどこで知ることができるのでしょうか。古典も購入しましたが、それ以上にオススメしたいのが、NHK大河ドラマ『平清盛』です。
平清盛、そして平忠盛という男
アニメ『平家物語』では、清盛の語りのなかで忠盛がほんの僅かしか描かれていません。しかし、この忠盛こそ平家の土台を作り、そして清盛という男を育てた人物です。大河ドラマ『平清盛』はその平忠盛がいかにして、平氏一門の繁栄の礎を築いたのかが克明に描かれ、その胆力の強さに感嘆すること間違いないでしょう。
勢い盛んなものは、必ず衰える。
ただ、その渦中にいる人々は、自分がどこにいるかなんてわからず、終わりの見えないような苦しみと一瞬のような儚い喜びのなかで生きている。彼らの終わりを知る僕らが見る平氏一門の隆盛のさまは、終わりを描く以上に切なく、そして強く、たくましい。僕は平氏一門の始まりから終わりを追い「人生」というものへの理解を深めているような気がします。
まだ視聴途中ですが、アニメ『平家物語』と合わせることで何十倍も平家を理解し、楽しむことができるでしょう。
『平家物語』から「生きること」を学ぶ
僕らは、一生かけて輝いていたい。
誰だって、そんな理想を希求しているのではないか。しかし、人生というものは、果てしないほどに長い。苦しみの方が長いかもしれない。理想通りに行かず、歯がゆい思いを抱えながら多くの人が生きている。
ただ、人生とは刹那のように短くもある。
実は僕らが抱える苦しみも一瞬であり、そう考えると僕らの人生は同時にちっぽけなものにすら見えてくる。では、僕らは何のために生きるのか?
それはきっと、苦しみ以上に短い、刹那の喜びのために僕らは生きるのだ。平家は凋落したことがことさら語られるが、凋落を含めてこそ人の生き様である。一瞬の苦しみと、それ以上に一瞬の栄華。平家一門は、僕は人生の縮図のように見える。
まだ、アニメは1話しか見ていない。大河ドラマは半分も見ていない。古典も買ったけどほとんど読めていない。それでも、大学4年、新たな世界に飛び出し、生きるということについてより深く考えることが必要な今、素晴らしい物語に出会うことができた。アニメ『平家物語』には感謝をしたい。これからが楽しみですな…!
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