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これからの「正義」の話をしよう①


お久しぶりです。もうすぐクリスマスですね。みなさんはどのように過ごすかもうお決まりですか?私はこの投稿をし続けるために読書に没頭するクリスマスシーズンになりそうです。(笑)


さて、前回までの投稿では ロバート・B・チャルディー二(1991)『影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか』 の本について紹介してきました。今回からまた新しい本に入っていきます。


皆さんは マイケル・サンデル(2010)『これからの「正義」の話をしよう ーいまを生き延びるための哲学』 を読んだことはありますか?


この本は、私達にとって「正義」とは何かを幅広い難しい視点から考えさせられる内容となっています。究極の選択をしなければいけない場面がたくさん例として挙げられていて、私自身思わず考え込んでしまう程面白い内容となっているので、ぜひ一緒に「私達の正義」について追及していきましょう。「政治」や「法律」、「道徳」や「哲学」などと聞いてもイメージしづらいしつまらないと感じる人でも、おもしろいと思ってもらえるような投稿をしていくので気軽に読んでください。



はじめに、みなさんは「正義」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。



「困っている人を助けること」「家族のために頑張って働くこと」「国を守ること」「お金を稼ぐこと」など、人の数だけ違った正義があると思います。様々な正義が存在するということは、同時に自分にとって正しいと思った行為が他の人が正義に反する行為として批判されることもあると言えますよね。例えばどのようなことか。究極の選択をしなければいけない場面を想定して考えてみたいと思います。


イギリス船漂流事件

1884年の夏、4人のイギリス人が乗っていた船が嵐によって沈没し救命ボートでなんとか漂流していました。持っていた食料はカブの缶詰2個のみで、飲み水すらありません。大西洋のど真ん中で他の船が通りかかり助けてくれると念じながら途方に暮れています。その4人のメンバーの内1人は雑用係で当時17歳の少年でした。

漂流してから8日目。なんとか餓死はせずのりこえていたものの、その少年は他3人の忠告を無視し海水をがぶ飲みして体調を崩していました。ほぼ死にかけの状態です。そんな状況が続きとうとう19日目、3人が生き延びれるようにくじ引きで1人死ぬべき人を決めようと船長が提案します。しかし他の1人が反対しくじ引きが行われませんでしたが、もう既に4人は限界を遥かに超えています。

翌日、船長は瀕死状態の少年を殺すべきだと目で身振りで合図し、少年に「最後の時が来た」と告げると、折り畳みナイフで頸静脈を刺して殺します。1人死ぬことを拒否していた1人の船員も、止めることはせずこの恵みを預かることを決めました。


4日間、3人の船員は雑用係の少年の肉と血で命を繋ぎました。


その後助けが来ます。3人は無事救出されイギリスへ戻るも、ただちに逮捕され起訴されました。殺害したとして裁判にかけられます。自分達は少年を殺し、命を繋ぐために食べたと素直に証言します。


あなたが裁判なら、どう裁くでしょうか。これは「正義」を考える上で非常に重要な分かれ道でもあります。


何が正義かを判断する際、多くの人が考えることとして「コスト」と「メリット」を天秤にかけることが挙げられます。簡単に言えば、1000人が一気に死ぬなら、だれか1人が死ぬ方が良いといったようなことです。今回の事例で言うと船員4人が全員餓死してしまうなら、衰弱していた少年を犠牲に3人は生き残ろうという方が失うものよりメリットの方が大きいと、天秤にかけた際判断するのです。

しかしこれを「道徳的」に考えた際、いくら3人が生き残れるという利点があったとしても、無抵抗の雑用係を殺して食べることは、コスト・メリットとかの計算どころではないもっと遥かに大きい、人間にとってふさわしい生き方に関わる問題に関わるのではないだろうかということです。


少し私達にとっては馴染みの無いシチュエーションでイメージしずらいかもしれませんが、自分にとっての「正義」を考える上で重要なヒントがここには隠されているのです。


私達が常に「正しいと思う行い」をする時、なぜ正しいと思うのか理由を考え、その奥深くにある根拠を持たなければいけません。「1人の命を犠牲にしてでも多くの命が助かるならそれで良い!」という自分にとっての「正義」があるとするならば、どの状況でもそう言えるのかを確かめなければいけない。その犠牲者が自分の家族だとしたら、それは正義とは思えなくなる人もいるのではないでしょうか。こういった自分が持つ正義に対する「混乱」と、正義を貫かなければいけないという「圧力」を感じた時こそあなたにとって「哲学」は身近になっていることでしょう。


ここまで読んで下さりありがとうございました。



追記))
私の投稿では「本で得た知見を具体的にどう生活に活かすことができるのか」を自分なりにアプローチしたコンテンツを配信しています。「本を読みたいけど時間が無い」方も読むことができるコンテンツを発信していくのでぜひともフォローの方よろしくお願いいたします。

ここからの記事では、マイケル・サンデル(2010)『これからの「正義」の話をしよう ーいまを生き延びるための哲学』 を参考に書いていきます。本の内容を通して一緒に考える時間を過ごしましょう。



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