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【ポエケット25】ポエケットレポート

  • ※「POEKET NEWS 24」(23.9.17 第25回TOKYOポエケットinにこわ新小岩)に掲載された記事の再掲です

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 起きて半畳寝て一畳、渡辺八畳ですどうもどうも。
 新型コロナウイルスの影響で2回の延期を経てのポエケット、2022年10月1日当日は最高気温が30度近く、夏に戻ったかのような晴れ日でした。
 私のポエケット歴は2018年に一般参加、2019年・2022年にサークル参加という具合なのですが、実はこの3回すべてで会場が違うのですよ。ポエケットと言えば江戸東京博物館というイメージが強いらしいですが、私が初参加した2018年は大規模改修工事で江戸博が使用不可。そこで白羽の矢が立った北千住の「BUoY(ブイ)」はなんと元銭湯! コンクリートとタイルで囲まれた不思議な地下空間での開催となりました。
 2019年は元の江戸博に戻り一安心、かと思ったら同年冬からコロナパンデミック。その状況下でもなんとか開催しようと運営の方々が奔走してくだったものの、江戸博から入場制限を突き付けられ、2020年は無念の中止となりました。さらに翌年2021年もコロナの影響で中止と、泣きっ面に蜂の状態が続いてしまいます。そのような時期を経ての久しぶりなポエケットなわけですから、今年の開催を待ちわびていたら方は多いでしょう。
 待望の、3年ぶりのポエケットですが、江戸博がまた大規模改修工事に入ったため、今回は「にこわ新小岩」での開催となりました。BUoY→江戸博→にこわ新小岩と参加の度に開催場所が変わった身として率直な感想を言うと、今回の会場が一番しっくりきています。BUoYはスペースとしては非常に魅力的ではありますが、即売会の会場という点から見るといささか癖が強い。ステージなんか湯船の中ですからね。江戸博は「博物館の会議スペース」というあまり一般的でない場所だから、「ほんとに入場料無しで入って大丈夫なの……?」と戸惑った記憶があります。さらに会議室自体が施設内でもかなり隅のほうだから非常に分かりづらい。対してにこわ新小岩は落成したてのピカピカ、立地も陽気な商店街を抜けた先だから移動が辛くない。施設の規模感もポエケットに丁度よくて、これはもう申し分ないです。私個人としては今後もにこわ新小岩で開催していただきたいと思っています。

 これは持論ですが、ポエケットしかりコミケットしかり文学フリマしかり、あらゆる同人即売会の肝は「予想外の出会い」にあると思うのですよね。あらかじめ決めていたものしか買わないのであれば通販と何ら変わらない。そうでなく、わざわざ現地に赴くことではじめて得られる「予想外の出会い」を尊び楽しんでいくべきなのです。私におけるそれは伊藤竣泰(ex伊藤晋毅)氏の『面白くない話図鑑vol.1』と佐藤yuupopic・笹谷創氏の『CASSET TAPE FAN CLUB』でした。
 前者はタイトルが示す通り「面白くない話」ばかりを集めた冊子。伊藤氏が面白くない話マニアとしてたびたびメディアに取り上げられているのは知っていたものの、その話を能動的に聞くことはしてこなかった(だって面白くないし)。しかし今、面白くない話は冊子となって物理的に私の目の前にある。存在するのだから無視できない、面白くなくとも読まざるを得ない、ゾワゾワする。これは奇書だと即買いしました。もちろん帰宅後にペラペラめくってみましたが、まあ、書名に違わず……この面白くない話をした人物がいると思うと共感性羞恥が刺激される。
 後者は佐藤・笹谷両氏によるカセットテープ。実は最近カセットが流行ってるんですよね。かく言う私もカセットに惹かれて時々楽しんでいるタイプでして。音質はキャンプ時に聴くAMラジオのようで、そのノイジーさがかえってうま味となっている。世はハイレゾですが、なんでもかんでもクリアにすればいいってもんじゃないんですよ。「掠れ」が含む情報量はピシッと引かれた線よりも多い。それをすべてすべて濾過してしまうのはもったいない。詩人によるカセットテープはこれで2本目(1本目はカニエ・ナハ氏と青柳菜摘氏の『CT/CT』)、もっと欲しくなってくるなこりゃ。てか私も作ろうかしらん。

 感染拡大防止のため、ここ数年は人と人の接触が大きく制限されました。しかしその期間を経たからこそ、実際に出会うことの重要性を改めて認識できたのではないでしょうか。幸いにコロナの影響は少しずつ収まりつつあります。これからの出会い、特に「予想外の出会い」は以前のそれよりも楽しく・刺激的に感じるはず。禍福は糾える縄の如しです。ポエケットが今後も出会いの場になってくれることを願いつつ筆をおこうかと思います。それでは、寝て一畳。


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