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ぴーまん

私は高校時代にぴーまんと呼んでいた男子がいる。

私は特性的に自分からみて恋愛対象に入らずに友達の関係でいることのできる人を見極めて仲良くする。
その中の1人がぴーまんだ。
彼は各教科高得点を常時維持しているのにも関わらずひけらかすことがない思春期にしてはかなり大人の心を持つ人だった。また冗談やお笑いも受け入れてくれる。中には年齢が同じだというのにぴーまんのことをお兄ちゃんと呼んでいた子もいた。

私はそんな彼と高校3年のうち2年間同じクラスだった。かなり親しいというか、私が彼になついていたように思う。親しいとは少し違う関係であった。目が合ったら話すし席替えで席が遠くなったら話す機会も減る、分からない問題があったら聞きにいくし近い場所にいなかったらわざわざ聞きにいくこともない、適度な距離感の関係だった。

高校を卒業してからはぴーまんに会わなくなった。どこに進学したのかも知らない。

最近ぴーまんと会う機会を得た。久しぶりに会ったぴーまんは何も変わっていなかった。手に持っているコップの中にアルコールがあるなんて思えないくらいに。帰るとき使う路線が私とぴーまんだけ同じになった。ぴーまんは顔のあたりに差し出した両掌に何回かハイタッチをしてから降り、電車が走りだし私の顔が見えなくなるまで大きく手を振ってくれていた。高校時代にこんな行動はお互い行わなかった。会ったときの喜びと別れるときの寂しさを噛みしめるために時間をおいて会おうと思った。

異性で適度な距離の友達が高校で途切れることはかなりの痛手だと考えた私は大学で次期ぴーまんを探そうと思い立った。
意外と早く候補は見つかった。
しかし「ぴーまんだなあ」と本人に言ってしまったことにより少し引かれたかもしれない。

初代ぴーまんを超える仲になるのはまだまだ先になりそうだ。

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