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『ふたりは同時に親になる』産前感想

はじめに

現在、第一子妊娠中で、32週。話題の書籍『ふたりは同時に親になる』を読みました。

私は現在36歳、夫はひとつ上の37歳。夫のことは大好きですので、いわゆる「産後クライシス」に陥るのは避けたい。そこで私は、先手を打とたんとこの本を手に取りました。

第一章の感想

夫婦二人で過ごしているうちは平和で仲良かったのに、子どもが生まれるとこういう場面でこういう関係になってしまう…という具体例が多数掲載されています。

正直「産後母はこんな状態になるの?」という疑問+不安=恐怖と、「こうなりそう…」という予測による共感が3:7くらい。出産、育児の厳しさは覚悟してるつもりだけど、まだまだ甘いんだろうなと。「見通しが甘すぎる」と知れただけでもとても価値があったと思います。内容も客観的な描写や数字が多いので、フムフムと読み進められます。夫にも「こういうところがスイッチなのか」と理解しておいてもらいたいところ。

第二章の感想

第二章では、産後母に訪れる甚大な変化が、いくつかの項目に分けて書かれています。

育児が楽しくできない原因を「ママ個人の資質」ととらえがちです。でも、実はこのイメージと現実のギャップの背景にあるのは、産後の女性が放り込まれる「劇的な環境変化」なのです。

育児に時間をとられ、家事が思い通りにいかないシーン、たとえば部屋が散らかっているとか食事が雑になるとか、を想像すると、今の私は「もう少し要領よくやらないとな…」と考えてしまいます。そう落ち込んでいる私を見た夫は、おそらく「そんな頑張らなくていい、ご飯くらいコンビニで買ってくるよ(=完璧を目指さなくていいよ)」と言ってくれるでしょう。
まさに私が想像する未来の私たちは、育児が楽しくできない原因を「私個人の資質」ととらえています。

本文の中では、その「劇的な環境変化」とは何なのかが4つの項目に分けて書かれています。丁寧な文章で綴られているのを読むと「なるほどな」と納得できますが、実際自分がそのような環境に放り込まれると、この「なるほど」が頭に入ってこないのではないかと想像しました。ですので、産前の今はこの「劇的な環境変化」を客観的にみられる方法を準備しておくべきだと考えています。

「新生児の育児は大変!」というイメージがありますが、おそらく私は夜にその1日を振り返ると「これだけしかしてないのにこんなにできてないの?」と感じてしまうことでしょう。夫はもっとだと思います。ですので、「これだけをするのが、いかに環境変化を強いられているか」を客観的に見て「これは確かに大変だ!」と夫婦二人であわあわしたいと思います。二人であわあわすることは何の解決にもなりませんが、一人で「なんでこんなにできないの?」と思い悩むのとは天地の差があるのではないでしょうか。これだけで「育児が楽しくできる」かは甚だ疑問ですが、「これは大変だ!」と二人で笑い飛ばせたらなと夢を見ています。

「パパに期待するのはこんなこと!」といろいろ書いてありますが、そのように対応してもらうために私=母親はどのようなアプローチをすればよいかも考えておくべきだと思っています。

第三章の感想

第三章は、父親の立場からの内容です。仕事やお金を稼ぐことの重圧から、なぜ家事育児に参加できないかという話。これに関しては、夫と職場が同じだったこともあり、とても具体的に「その通りだ」と共感できました。

となると、私が考えるべきは『いかに夫が仕事を休みやすい環境で休み、効率よく家で活躍してくれるか』です。週に何日は定時退社し買い物をして帰宅してもらう、代わりに何日はしっかり残業してでもやるべき仕事をして食事も外で済ませてもらう(ワンオペ育児を頑張るから夫のご飯は作らない)等。これがどれだけ効果的か分かりませんが、想像上ではメリハリができて気持ち的に楽になりました。甘いかな…、そして夫の負担も大きすぎるかもしれない…。出産育児は初体験ですので、トライアンドエラーしていくしかないでしょう。二人に合った上手い方法を早く見つけられるように、たくさんの選択肢を事前に考えておこうと思います。

第四章の感想

母親の「こんなに大変/ツライのに何でわかってくれないの?」の具体例がたくさん記載されていて、笑ってしまうくらい育児中の友人からよく聞く、あるあるの連発でした。ここはもう、父になる男性に読んでいただいて、自分の問題として意識してもらうしかないなと思いました。(読むだけで実感できて変われるような人なら、読まなくても理解できているのではないかという不安も感じました)同時に、いかに夫に分かってもらうか、冷静なアプローチも大切だと思います。そんな余裕がない状況がほとんどだとは思いますが、少しでも余裕のある時に「次からはこうしてほしい/こうしないでほしい、なぜなら~~」と伝えられるようにしたいと思いました。何事も理由があったほうが伝わりやすいと考えています。その理由で納得してもらえるかは別問題ですが、夫には家事育児は自分の役割でもあるという自覚と、共感はパワーになるという事実を理解しておいてもらいたいです。

第五章感想

いくつかのパターンの夫婦の「こういう問題点があったけどこう解決した」具体例が挙げられています。正直ちょっとキラキラ完璧な夫婦すぎるのでは…と思ってしまいました。この「キラキラな夫婦」になるために重要なポイントも書かれているので、それを心掛けていこうとは思えたのですが、なんだか自分の問題として頭に入ってきませんでした。

重要なことは「心の並走感」、「役割の満足感」、「柔軟性」だということは納得です。「キラキラな夫婦」になるために不足しているのは何か、それを得るためにはどうすればよいかを知ることが大切で、それを知るには自分の本心を理解することが必要です。自分の「本当はもっとこうしたい/こう感じたい」があるから、パートナーに「もっとこうしてほしい」と思うはずで、その自分の本心を知ることは容易ではないと思います。もちろんそれを知るための手法についても書かれていますが、私はこの本に書かれている内容で、実践するのに一番難易度が高いのはここだと思いました。今の段階では、夫は私やお腹の中の子どもを相当大切に思ってくれているので、それさえ分かれば協力してくれるだろうと期待できます。

素朴な感想

ここまでは、これからやってくるであろう出産・育児について、こんなふうな姿勢で取り組もうとポジティブな私の意見と感想を記してきました。しかしそれだけではなく、あれ?と思うこともありました。これは少し、書かれている内容の本質からズレた点だと思いますので恐縮ですが、どうしてもひっかかってしまうので記します。

この本には一貫して、女性は妊娠・出産・育児によって『激変を余儀なくされる』『人生の軌道修正を迫られる』『強制終了させられる』という旨が書かれています。その通りだと思います。

しかし、これはただの私の卑屈っぽい性格からくる感想かもしれませんが、不妊治療でなんとか妊娠にたどり着いた私にはツライものがありました。自分でこんなに必死にこぎつけた妊娠出産なら、激変も軌道修正も強制終了も自分で望んだことだし、不平も不満も愚痴も弱音も言えないね…という圧力に似たものも感じました。妊娠に至るまでの経緯は違えど、妊娠中の体調不良や出産・育児の過酷さは、自然妊娠された方と同じはずなのに、この圧力は自分で勝手に生み出してしまっているものだろうに、何がこんなに息苦しいのか。自然妊娠された方だって、「自分で望んで妊娠したんでしょ?」と言われてしまえば同じなのに。

たぶん私は、この謎の圧力からは一生解放されないのでしょう。このあたりは、私と同じように不妊治療で妊娠・出産された方はどう思われているのか聞いてみたいです。こんな圧力は私しか感じていないのでしょうか。言葉にすると非常にネガティブですが、まぁ「何があろうがしんどいものはしんどいんや!」と言える図太さを持ち続けようと思います。私は、これだけはすでに持っています。

まとめ

私はツイッターでこの本の存在を知り、産前に読み切りました。そして今から夫にも渡し、読んでもらおうと思っていますし、夫もビクビクしながらそれを了承してくれています。

これを読んで良かった!これから出産、育児する人にオススメ!同時に親になれなかったと嘆く先輩夫婦にもオススメ!と言えるかどうかは、産後にしか分かりませんので、産後余裕が出てきたらまた実感を伴った感想を書きたいと考えています。

とにかく今の段階では、できる準備をしておこうにつきます。たくさんの選択肢を考えておく、自分の気持ちに耳を傾ける練習をする、夫としっかり向き合って話ができる環境を整える、など。そして育児は「覚悟してるより過酷」であることを改めて覚悟し、数ヶ月後に迫った出産に挑みたいと思います。

twitterもやっています!妊娠出産に無関係な雑多な話も多いですが、よろしければのぞいてみてください。 https://twitter.com/Shiro62612481