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22夜の話

【ヤモリの燻製】へんてこ博士のジブリ考察
『意外だね』、と言われると嬉しい。恥ずかしいことを知られたときだって、その台詞を言われると嬉しいくらいなのだ。
サプライズをしてやった気分は、か・い・か・ん。
 昔のアニメでみたシーン。着物を着た女が胸元からヤモリの燻製を取り出して、男の眼の前でぷらぷら振って。
「ほら、これが欲しいんだろ?」と言ったシーン。どことなくエロく印象に残っている。実はこれはジブリの映画のなかに出てくる。映画のタイトルは『千と千尋の神隠し』。懐にヤモリの燻製を潜ませているなんて、不思議だ。ずばり、意外だね。
 ここからはもしもの話なのだけれど、千尋が千尋という名前を取り戻さなかなった世界線があったとしたら? 姉御肌に成長した千が、懐から取り出すのはヤモリの燻製なのだろうか。なにを取り出すにしろ、そこには意外性があったほうが面白い。宮崎駿はそういう演出をしている。
 僕の期待するのは【おにぎり】だ。ハクに貰ったおにぎり、懐からおにぎりを千が突然胸元から取りだしたら意外だ。
 そういえば、ハクも懐からおにぎりを取り出してはいなかっただろうか? わかったぞ! キャラクターたちもうれしいんだ。意外だねって言われると嬉しくて、か・い・か・ん、なのだ。
 宮崎駿は、意外性を大事にしている作家だ。
 カオナシのような迷惑な客には苦い球を食わせるより、「おにぎり」を提供して、さっさと帰らせればいい。カオナシのような客ははじめからまともに風呂に入ろうとは考えていないのだ。カオナシは、風俗で客のオヤジがそこで働で嬢に対して、こんな仕事をしていてはいかん、というもののメタファーだ。だったら、性的サービスを提供する直前に嬢は、おにぎりを取り出してぼろぼろ泣きながらオヤジの前で食べてやればいい。オヤジはその以外な行動に、嬢にネチネチいうのをやめてチップをはずんでくれる。カオナシのごとく。
 話は脱線したが、意外性はジブリ作品のなかで重要な要素なのだ。 とまあ、めちゃくちゃな文章を書いているが、ぼくも多くの日本人と同じように、ジブリを観て育った。
 一番好きな作品は、「ルパン三世」である。あれ、ルパンはジブリだっけと思った方は少ないだろうが、カリオストロの城はジブリ作品だ。
 ここで意外なオチをつけようと思ったが文字数の関係で難しい。
 意外性はいつも、意図しないタイミングでやってくる。狙ってはいけない…………。
 無意識のサプライズ、それが、ヤモリの燻製。

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