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大きくなった

大きくなったなぁ!

おじいちゃんが19歳になった

孫を見て、そう言った。

私はおじいちゃんの言葉を

そうは思わなかった。

なぜなら、私はこの家の誰よりも大きく

この家の誰よりも細いからである。

もうかんの良いあなたは

気づいたかもしれない!

私は梅!

この家に植えてある梅なのである。

私がこの家に来て、

どのくらいの年月が経っただろうか?

私はおじいちゃんの子供の頃を

知っている!

おじいちゃんはイタズラが大好きで

よく、近所の子供達とケンカをしていた!

そして、ケンカをした後、必ずこう言っていた!

『俺は悪くない!

俺にケンカを売ったアイツが悪いんだ!』

そう言っていた!

子供も、もう早いもので子供が生まれ、

孫が生まれ、あれよ!あれよ!

という間に孫も来年20歳となろうか!

という年齢である!

私が今後もこの家の梅として、

この家を見届けてやるか( ˇωˇ )

そう思いながら、この光景を見ていると

突然、おじいちゃんの息子が

おじいちゃんに言い出しました!

『父さん!もうこの家を引き取って

新しくみんなで住まないか?』

私は、息子にどうしたんだ⁉️

何を言っているんだ⁉️

この家には、梅である私!

柿の木、チューリップ、竹、

鉢植えに植わっている花達、

私達に会いに来て、

いつも1人で暮らしている

おじいちゃんを心配するスズメや

メジロなんかの鳥達がいるのに、

おじいちゃんが、

そんな申し出受ける訳がない!

私はそう思っていた!

しかし、おじいちゃんは、静かにこう言った!

『そうだな!ワシも婆さんが死んで

1人で、孤独でいるのも寂しいし、

ワシの孤独を癒す環境は

ここにはないからお言葉に甘えようかのう!』

・・・・・・・孤独・・・・・・

・・・・・・1人・・・・・・

・・・・・・・・寂しい・・・・・・・・

私からすると、

何を言っているのか分からない言葉が

並べられた!

私は、ずっと一緒に歩んできた感覚があった!

しかし、そう思っていたのは私だけ⁉️

私は、梅の木として、長い時間、この家で

この家族と一緒に過ごしていた!

しかし、私はこの家の一員として

見られていなかったのか⁉️

ねぇ⁉️ねぇ⁉️ねぇ⁉️ねぇ⁉️ねぇ⁉️ねぇ⁉️

ねぇ⁉️ねぇ⁉️ねぇ⁉️ねぇ⁉️ねぇ⁉️ねぇ⁉️

そう私が、この家の人達に話かけても

言葉が返ってこない!

大きくなったこの家の人達と私は違うもの!

そう私が思うと、私の中の樹液が表面から

出ていった!





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