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【感想、時々書評】「バズる」ことを狙わないSNSの捉え方

コロナ禍で読書に充てれる時間が増えたので、これを機にマーケティング、特にダイレクトマーケ周り本を読み漁る企画第二弾。今回はこちら「僕らはSNSでモノを買う」。

Twitterを始めとするSNSに関しては、業務でも関わりはあったが、アカウント運用まで携わったことがなかったのでこの機会に頭に入れておこうと思って手にしてみた。
※ソーシャルメディアの方がグローバルに通じる表現とのことで普段使用しているが、今回は本のタイトルと揃えてSNSと表記する。

自分たちの情報を見てもらうだけじゃないSNSの捉え方

自分はビジネスにおけるSNS(特にTwitter)を、人々が日常的に目にする特性を生かして「自社情報をいち早く目にしてもらえるメディア」で、比較的ファン度の高いユーザーに情報を届けるためのメディアと理解していた。

その上で、情報が拡散され潜在層にリーチし、新たなファン(フォロワー)が増えていくことで、より大勢の人に情報を届けられるようになる、そんなイメージ。

この考え方も間違っているとは思わないが、この本を読むとSNSがもっと可能性のあるメディアだと思えるし、攻めていける捉え方なので挑戦してみたいと思わせてくれる。

UGC(User Generated Contents)の数が一つの評価指標になるというのは、これまでSNS関連の評価は「いいね」や「リツート」など自アカウントの投稿にまつわる数値で測るものと思っていた自分にとって新鮮だった。

資料を引用させていただくと、まさに自分は左側のようなイメージだったわけで、ここのイメージを上書きできたのはかなりありがたい。意識しないとつい左側のようなイメージになってしまうので。

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「僕らはSNSでモノを買う」より引用

SNSでの「バズり」を狙うべきなのか

自分のアカウントを運営する視点だけでは気づけない発見がもう一つ、「バズる」ことについて。

SNSを「自分のアカウントからどう発信していかに多くの人に見てもらえるか」と視野を狭めて捉えてしまうと、「バズる」ことは有効に思える。当然目的次第では有効なのであが、この本にもあるように、企業がバズるコンテンツを生み出し続けるのは難しい

ここは去年参加したコンテンツスタジオCHOCOLATEのセミナーでも語られていて、どれだけバズらせようと思っても、猫やアイドルの何気ない動画が簡単に上をいってしまうとのこと。

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CHOCOLATEが手掛けた動画。Twitterで話題になっていた記憶がある。

実績のあるCHOCOLATEですら難しい当たるかわからないことにリソースを裂き、もし当たっても(バズっても)対価として得られる(狙っている)のが瞬間的な認知だけであれば割に合わないと感じる。

で、この本のスタンスに立つと、「バズ」を狙うことよりやるべきことがあるんだなと分かる。瞬間的な認知に力を注ぐよりも、中長期的にUGCを生み続けて認知をとる仕組みづくりに力を注いだ方が効果的だと。(もちろんバズれるなら、それは良いこと)

まぁここらへんはこの本の最後でも主張されてた「全体最適で考えるべき」が重要で、マーケティング戦略やメディア全体の中でSNSをどう使っていくかによるのだろう。

効果検証難しい問題

SNSを使ってマーケティングを行うと、潜在顧客にアプローチしつつ、売上も上げられるとのことだが、効果検証が難しいのではと思ってしまう。

ここはマス・マーケティングと同じ課題だとは思うが、中長期的な期間で効果が出るようなものは往々にして測るのが大変な(または測っていない)印象がある。

本の内容で運用するとして効果を測るのであれば、認知獲得という文脈ではリサーチ会社に依頼して、認知率や「どこで目にしたか」などの記憶の調査するとか、各種ツール(SprinklrとかPythonとかYahoo!トレンドとか?)を使ってUGCの数と売上のデータを集めて相関を見るとかだろうか。

手法はどうあれ、どれもそれなりにコストがかかりそうで、ただここがないと事業会社の担当者や支援会社の人は「SNSを始めること」を提案しにくい。多分、ここらへんがSNS周りの評価を「リツイート数」とか「インプレッション数」とかで語られがちな所以なんだろうけど。

最後に書評を…

上にも書いていることだが、個人的にはSNSに対する新たな視点を得ることができたので読んで良かったと感じている。これを読むだけでSNS運用が劇的に変わることはない印象だが、これから始めようとしている人や何となくで運用を続けている人には役立つと思う。

読みやすい構成になっており、2時間程度で読めてしまう分量なので、気になっている人は読んでみることをオススメする。

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