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場末のスナック クソ客日誌①

場末のスナックで会ったモンスターを晒すだけ。


メンズエッグに憧れていたんだろう20代後半 通称エッグくん。

人は見た目が9割、この通説は間違っていない。令和にもなるのに平成初期のホスト風筋盛りヘアスタイルで飲み屋に来る男はろくでもない。大抵ラルクを十八番としてV系を一通り歌って帰る。身長が低いと高音出やすいよね、わかる。この手の客は『俺、女の気持ちわかってるから。』と言いつつ閉店まで最低料金で粘るため、面倒くさい。

開口一番「俺、ボクシングとバスケやっててこの辺じゃ有名だよ。地元中学校のボクシング部で俺のこと知らない奴はいないよ。日本代表強化選手にも選ばれたし。」

ご立派でいらっしゃる。俺強いアピールはあるあるなので適当に相槌を打つ。スゴイネーーー。それから数十分聞いていない武勇伝を語られているので放置。ここでは腕力より財力を披露してもらいたいものだ。

ここで新規のお客さんが来店。エッグと同じ中学校出身のボクシング経験者K。Kは高身長でガタイも良く、見るからに体育会系。Kが来てからエッグはそれまで一生懸命喋っていたボクシング自慢を辞めた。それから間もなくして、残っていた酒を飲みほしたエッグはお会計を済ませて帰った。

K曰く、同じ中学に有名なボクサーなどおらず、エッグは確かに同じ中学に通ってはいたが、ボクシング部にすら入っていなかったという。言われてみればエッグのガタイのひ弱さが思い出された。誰がボクシングをやっていようがやっていまいがどうでもいいが、帰った瞬間にバレるような嘘をつくと自分の器の小ささが目立つよ。

私もボクシングやってたことにしちゃおうかな。

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