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クレヨンしんちゃんについて語る

クレヨンしんちゃんが好きで、実は映画過去27作も全部観てる。私が幼稚園や小学校低学年あたりの頃には、毎週のテレビ放送はビデオ録画され、週末まとめ観するのが習慣だった。

クレヨンしんちゃんといえば、今や日本の代表的なアニメのひとつだが、原作は「漫画アクション」という青年誌でスタートした大人向けの漫画。それゆえに、当初は下品で過激な表現が多かったものの、時代背景も相まって、今ではその影も潜めつつある。

しかしながら、今では面白くなくなったか?と言われると決してそうではなく、その時代の風刺をうまく取り入れながら、絶妙なギャグで視聴者を笑顔にしてくれる。

最近では、AbemaやAmazonPrimeで映画過去作が無料公開されており、いつでもその作品の魅力に触れることができる。せっかくなので、オススメ作品をランキング形式で紹介していこうと思う。

では、2019年までの過去27作品を紹介しよう。あらすじは全てAmazonからの引用・要約とし、その後に所感を述べていく。

27位「映画クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者」

しんのすけがうっかり開けてしまった不思議な扉。
それは、地球と暗黒の世界“ドン・クラーイ”を繋ぐ“闇の扉”――地球を闇で支配しようとする侵略者たちの陰謀だった!
ひょんなことから“選ばれし勇者”となったしんのすけに次々と迫る闇の魔の手。しんのすけを守るために現れた謎の少年マタとともに伝説の神器・金矛を手に、いま勇者しんのすけが立ち上がる!

全27作品中、明らかに駄作(最初から厳しい(笑))。日常シーンが多く、非常にテンポが悪く進んでいく。ダークファンタジー路線なので、作中では不安を募ったり、不思議な場面が多いのだけれど、それも説明不足で理解しにくいかな。ギャグ要素は少なめで、それに対して社会風刺は多めな印象。

クロとマタはかわいいね。

26位「映画クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ」

ある夜、突然野原家に宇宙人がやってきた。
その名もシリリ。シリリの謎のビームでひろしとみさえは25歳も若返り、こどもの姿になってしまった。
大人にもどるため、こども野原一家は、シリリをしんのすけのシリに隠し、ニッポン縦断の旅に出ることに…
しかし、その裏ではシリリの父親が企む《巨大な陰謀》が進行していた!

シリリの成長や友情が多く描かれているが、それに対してシリリの父親の傲慢さが変わらず、なんだかモヤモヤした。

作中では、宇宙人や子供になった野原家を通じて、偏見や差別についても多く描かれていたが、もっとその垣根を超えていく描写があると、より魅力を感じたかもしれない。とても良いテーマなのだけど、せっかくなら押しとおしてもらうか、いっそのこと、盛大なギャグ路線に変えてほしかったかな。

ちなみに、所々過去作のキャラが登場していたのは探しごたえがあった。

25位「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」

ある日、プリンのことで喧嘩したしんのすけとひまわり。そこへ、突然「ひまわり姫をお預かりします」という謎の男2人が現れた。
ほいほい喜んで渡された紙にサインをしてしまうしんのすけ。
「ひまわり様が姫にならなければ、地球もヒマワリ星も消滅~~~~~! ! 」
しんのすけがサインしたのは全て了解するという「宇宙契約書」だったのだ!しかし、ひまわりが姫になると、家族は離ればなれに…。
「自分で決めるがよい。妹を選ぶのか…、地球の未来を選ぶのか…?」

宇宙が舞台なだけにスケールが大きすぎて、その説明に多くの時間が割かれたのが残念。ちょっとした日常の楽しさなども描いてほしかった。サンデー・ゴロネスキーというキャラがイマイチだったのもあるのかな。

また、本作は悪役不在なんだよね。ヒマワリ星の人々にもひまわりが必要な理由があって、その葛藤が非常に難しい。明確な悪役がいた方がスカッとする。

ひまわりがメインの話なのに、あまり活躍しなかったのは寂しかったかな。

24位「映画クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ 3分ポッキリ大進撃」

野原家の前に突如現れた時空調整員「ミライマン」。
「3分後に怪獣が現れる。3分後の未来に行ってその怪獣を倒さないと現実に怪獣が現れることになる!」
世界滅亡を防ぐため、ミライマンはそう告げると野原一家に地球防衛という大役を一任してしまう。どんどんと強い怪獣が後から後から現れ、だんだんと現実世界が危なくなっていく。そこで、遂にしんのすけが立ち上がる。

野原一家がヒーローに変身して悪と戦う。色んなヒーロー像があって面白い作品。しかし、今回の敵はただ現れて暴れるだけの巨大生物で、毎回3分繰り返し戦うのがとても単調。メリハリがないんだよね。これなら映画じゃなくて、テレビアニメのSP版でも良い気がする。

特撮ヒーロー物をオマージュした粋な演出も多くみられる為、見ごたえはある。やはりしんちゃんには、アクション仮面、カンタム、ぶりぶりざえもんの登場はかかせないよね。

23位「映画クレヨンしんちゃん オタケベ!カスカベ野生王国」

地域のゴミ拾いでしんのすけが拾った謎のドリンクを勝手に飲んだひろしとみさえ。すると2人は突然動物の姿に変わってしまった!
そう、それは過激エコ組織“スケッベ”が秘密裏に進める“人類動物化計画”だったのだ…!
一度動物化すると人間であった記憶は失ってしまうという。果たして、しんのすけはひろしとみさえを元の姿に戻すことができるのか

毎回敵の組織名が楽しみだったりする。スケッベって…(笑)。

家族愛とエコロジーがテーマ。いつも映画ではひろしの方にスポットが当たりがちだが、本作ではみさえの活躍が目立っていた。母と子の絆について考えさせられる。

ただ、他の人気作品の下位互換は否めない。同じ記憶喪失設定でも、オトナ帝国なんかには負けちゃうよね。ストーリーも粗めだし。

22位「映画クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!」

ニセモノォ?本物そっくりなんだけど、…カスカベ都市伝説
そんなある日、買い物をしている野原一家。そこにみさえの“そっくり人間”…。しんのすけに危機迫る!が、そこにフィーニー特捜官が現れ、間一髪の所で救う!フィーニーと共にカスカベを脱出しようとするホンモノの野原一家。しかし、追っ手の執拗な追跡にとうとう敵の基地に拉致されてしまう。はたして“そっくり人間“の謎と陰謀とは?
しんのすけは“ホンモノの家族”とカスカベを守るため、おケツに渾身の力を込め、今、情熱のダンス・バトルが始まる!

怖いんよ、この作品(笑)。なんでこの作品だけホラーなの。しかも構成が序盤ホラー、中盤パニック、終盤お笑いというハチャメチャさ。ずっと同じ作品を見てたはずなのに、終わる頃には全然違う印象が残る。最後のバカバカしさは好きだけどね。

決着のつけ方も温い。あれだけ都市伝説で世間を騒がせたのにこれで終わるの!?って感じがする。終盤さえ締まってればな…と悔やまれる。あるいは、ヒロインのフィーニー特捜官を序盤でもう少し掘り下げてくれてたら、もっと肩入れしやすかったかもしれないな。

21位「映画クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王」

オラ、のはらしんのすけ!オラがチョコビで当てたカードを使って入場した「アクション仮面アトラクションハウス」で乗り物に乗ったら、一家そろって異次元世界に来ちゃったゾ!!
そこでは、ハイグレ魔王っていうおかまのおねいさんに、み~んなハイグレにされているんだ!ハイグレ魔王とその手下の悪いヤツらをやっつけるには、なんとかしてアクション仮面をよばなくちゃ!
よ~し、アクション戦士に選ばれたオラもいっしょに戦うゾ!!

正直、ここから10位くらいまでのランキングは好み次第だと思う。それくらいこれより下はイマイチだし、これ以上は良作揃い。

本作は記念すべき映画第1作。原作者の臼井儀人節全開で、これぞクレヨンしんちゃんの原点である。子供の頃は冒頭部分が、非常に不気味で怖い印象があったものの、アクション仮面の格好良さや異世界ものの魅力に強く引き込まれたものだ。

空飛ぶ三輪車が好きだったな。ボタンを押すと変形するんだよね。

明らかに今のクレヨンしんちゃんとは違うから、昔の作風を知らない人には是非とも見てほしい作品。そういった意味でも順位は低めにしてる。

20位「映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~」

春日部にある中華街、≪アイヤ―タウン≫。伝説のカンフー“ぷにぷに拳"の修業に励むしんのすけたちカスカベ防衛隊。
一方アイヤ―タウンでは“ブラックパンダラーメン"が大流行! でもそのラーメンは、食べた人を狂暴化させてしまう危険なラーメンだった! !
そんな中、マサオがカスカベ防衛隊の離脱を宣言! ?
果たして春日部の平和は! ? カスカベ防衛隊の絆は! ?

カスカベ防衛隊メインの話。マサオくんの心境の描き方が素敵だった。後からぷにぷに拳を学び始めたしんちゃん達にどんどん先を越されてしまうんだけど、その葛藤や最後の心の持ちようはとても良かったと思う。

そして、ぷにぷに拳ってとても馬鹿らしい名前、技の数々ではあるものの、案外武術の本質をついているところもみられて真面目に面白い。

ストーリーも分かりやすいし、今風の演出が多くて楽しい作品。突然中国に向かうノリも好きだな。

そして何より、最後のオチがバカバカしくて最高。

19位「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!」

二泊三日の沖縄旅行を楽しんでいる野原一家。ふとしたことからシロのお尻に変なものが。それはケツだけ星人が地球に落として行った爆弾であった!宇宙監視センターUNTIは、爆弾の回収に動き出す。
同じ頃、その情報を傍受している美人テロ集団『ひなげし歌劇団』。沖縄から帰宅した野原一家は、UNTIからシロにくっついた物が地球を丸ごと吹き飛ばす破壊力を持った爆弾である事、取り外す事が出来ない事を知らされる。UNTIは地球の安全のためにシロごと宇宙に飛ばし爆破すると言う。
「シロは誰にも渡さないゾ!」
爆弾を巡って、UNTIやひなげし歌劇団が迫る!!果たして、しんのすけはシロを救うことができるのか!?

クレヨンしんちゃん好きな私としては、突如始まるミュージカル演出は大変好みである(昔からそういう演出が多い)。よって今作のひなげし歌劇団は懐かしさもあり、とても良かった。長いと思う人もいるだろうけどね。

本作は目的が「シロの救出」という一点に絞られており、それに応じてストーリーや各組織のアクションが繰り広げられた為、とても分かりやすかったのではないだろうか。特に、終盤のUNTI基地での戦いは面白かった。

しんのすけとシロの友情シーンやエンディング曲も感動的。

18位「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし」

オーストラリアの秘境“グレートババァブリーフ島"で新婚旅行を満喫中の野原一家。その夜突然ひろしが消えた。
探しに出かけたしんのすけたちが見たものは、仮面族の村で行われていたド派手な結婚式に参列する、花婿姿のひろし! 宝欲しくば、花婿贈れ、天の指輪輝くとき……その島には、50年に一度、金環日食の日にお姫様に花婿を差し出すことで、お宝が得られるという伝説があった。その花婿に選ばれてしまったのが、ひろしだったのだ。仮面族VS世界中のトレジャーハンターVS野原一家の、超熾烈な三つ巴のひろし争奪戦がぼっ発! ! !

夫婦愛に特化した冒険ストーリー。主役はあくまでひろしとみさえ(特にみさえかな)。カスカベ防衛隊は出てこないし、しんちゃんやひまわりにもあまりスポットは当たらない。しかしそんな中、二人が新婚気分で互いを思い描かれる姿はとても新鮮だった。でもそれが起因して、結構好き嫌いが割れそうな作品に感じる。こういう作品が一つあっても良い気はするけどね。

実はしんちゃんの声が変わってからの1作目の映画で、新しいクレヨンしんちゃんのスタートを切る記念作品でもある。

そしてタイトル通り、作中にはインディージョーンズやマッドマックスのオマージュが多くちりばめられており、知ってる人はニヤリとすることだろう。クレヨンしんちゃんとしては久々のアドベンチャー映画だったかな。

17位「映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!」

グルメの祭典“B級グルメカーニバル"へ向かう、しんのすけたちカスカベ防衛隊。途中、謎の女性・紅子に出会い、「このソースを会場に届けてほしい」と壺を託される。
そのソースは“B級グルメ"を滅ぼそうとする秘密結社“A級グルメ機構"の企みを阻止することができる“伝説のソース"だった!
そこへ、ソースを奪おうとするA級グルメ機構の刺客たちが次々と襲い掛かる。 不安と恐怖と空腹で、しんのすけたちカスカベ防衛隊は、ついに仲間割れをしてしまう…!はたして、カスカベ防衛隊の友情の行方は! ?
そして、無事にソースを届け、B級グルメを守ることができるのか! ?

A級グルメ機構って何なんだよ(笑)。テーマそのものに馬鹿馬鹿しさが溢れるクレヨンしんちゃんらしい作品。もはやこのタイトルだけで、ある程度の雑なストーリーは許容されてしまう。冒頭でB級グルメ軍団とA級黒服軍団が殴り合ってる姿から既に面白い。

本作はカスカベ防衛隊が主役。まるでRPGのように旅する一行。様々な苦難がありつつ、時には喧嘩しつつも、友情を深めていく姿はとても良かった。

やきそばの歌の完成度が以上に高いんだよね。エンディング曲セカオワじゃなくて、そのままやきそばの歌でも良くなかったかな?でもRPG感もあるし、うーん、難しい…。

見終わった後、きっとあなたは焼きそばが食べたくなることだろう。

16位「映画クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝」

オラ、野原しんのすけ。こんどはオラが南の島のブリブリ王国で大活躍!!
福引きで当たった海外旅行、オラとかあちゃんととうちゃんでおバカンスーと思ったら、ホワイトスネーク団て悪いやつらの罠だったんだ。
変なオカマにオラが誘拐されて、オラにそっくりのスンノケシ王子なんてのに会わされて、最後はブリブリ魔人が出て…

インディージョーンズやアラジン風な冒険映画。しんちゃんとスンちゃん(スンノケシ王子)のコンビがかわいい。ルルちゃんがカッコ可愛い。突然始まるミュージカルも最高。

敵のホワイトスネーク団も個性強め。結構ハラハラする展開が多かったかな。ラストの巨大魔人バトルは見てて迫力があった。これがこの先に出てくる巨大キャラ対決の原点なんだね。

また、オカマもキャラが立っていて面白い。最近の映画は社会情勢も配慮してか、こういうキャラが出なくなってきて寂しくもあるな。

15位「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦」

突如現れた国籍不明の少女レモン。
彼女がしんのすけに見せたものは、しんのすけのヒーロー、アクション仮面からのメッセージ。「しんのすけくん、君も今日からアクションスパイだ。正義のために一緒に戦おう! 」すっかりその気になったしんのすけは、レモンの指導のもと、スパイ訓練を開始するのだが……。
果たして、しんのすけがスパイに選ばれた理由とは?レモンの真の目的は??

終始レモンちゃん視点で進んでいく、レモンちゃんが主役の作品。映画オリジナルキャラながらも、しんちゃんとの相性が良く、心地よいテンポでストーリーが進行していった。ボケがキレッキレのしんちゃんに対し、冷静に突っ込むレモンちゃんがかわいい。

しんちゃんと両親との間で揺れる、レモンちゃんの葛藤、二人の友情がよく描けていたと思う。

スパイものだけあって要所のアクションは見ものだった。ちなみにレモン=酸っぱい→スパイなのは言うまでもないかな?

あと映画ポスターが最高にカッコいい。

14位「映画クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」

ある日、タイムマシンでしんのすけの未来の花嫁タミコがやって来た。
大人になったしんのすけが、ネオトキオの支配者・金有増蔵に捕まってしまい、助けるためには5才のしんのすけの力が必要だという。
タミコの必死な訴えにも、いつも通りまったくやる気のないしんのすけ。
お互いに本当に未来のケッコン相手なのかと疑いつつも、とりあえず、二人は未来都市“ネオトキオへ"――。大人しんのすけが連れ去られた理由とは! ?
5才のしんのすけのパワーとは! ?

27作もあったら、1作くらいはこういうのもあるよね、といった未来へのタイムスリップ作品。未来の野原家やカスカベ防衛隊の面々が見れて、なんだかワクワクする。最後まで大人しんちゃんの顔は明らかにならなかったけど、変にイメージを壊さない配慮であろう。

現代ではななこお姉さんを始めとした、大人のお姉さん好きなしんちゃんだが、大人になると年が近いであろうタミコと結婚しようとしているところに変にリアリティが感じられて複雑な気分。

未来ネタという一度しか使えないであろうカードをこのような形で切ったのは賛否両論分かれそうだが、未来への希望、可能性といったメッセージ性が強い作品となっていて私は気に入っている。

13位「映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」

悪の科学者“ドクターアカマミレ”率いる「YUZAME」は、地球を温泉で沈めてしまう“地球温泉化計画”を実行に移そうとしていた。
温泉Gメンは、「YUZAME」に対抗するため、不思議な温泉パワーを秘める伝説の“金の魂の湯”(きんたまの湯)を探していた。そして、ようやく探し当てたきんたまの湯は、なんと野原家の地下にあった!
温泉Gメンに家を明け渡してしまったことで、バラバラになってしまった野原家。しかしアカマミレが差し向けた巨大ロボットが、野原家をつぶそうとした時、一家の心は一つになる。そして、4人と一匹は、きんたまの湯が認めた“温泉戦士”として、「YUZAME」の野望に立ち向かうのだった!

最近Abemaでよくやっていて、なぜか毎回観てしまう。飽きにくい作品ということだろうね。敵の名前も目的も実に分かりやすくて良い。闇落ちの理由はくだなすぎるけど。

ロボットの描写は、その被害の生々しさもよく表現されていて大変良かった。また、この被害を報道するメディアへの批判も随所で皮肉られており、昔ながらのクレヨンしんちゃんらしさが際立っているといえるだろう。

エンドロールも含め、やたらと温泉に行きたくさせる作品であった。

また本作は、同時上映「クレしんパラダイス!メイド・イン・埼玉」という短編集との二本立てだったのだが、こちらも面白いので是非。

12位「映画クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望」

「おおっ、シロがしゃべった…!」未来の30世紀からやってきたタイムパトロール隊員のリングが、シロの体を借りてオラに話しかけてきたんだ。悪いヤツが時間をこえて、過去を変えようと企んでるって!人類の大ピンチ!!
そんでもって、オラが人類をオタスケするっていうワケ。敵は雲黒斎(うんこくさい)なんてとーってもにおいそうなヤツだゾ~
”タスケテケスタ”の呪文でオラが3回大変身!? カンタムロボも活躍するゾ!!

とても懐かしい作品。幼い頃何度も、何度も見た。「タスケテケスタ」や「ABBAAB右右左」等、印象に残るキーワードが多かったな。

本作の敵は歴代クレヨンしんちゃんの中でも最も不気味だったかもしれない、雲黒斎こと、ヒエール・ジョコマン。平気で歴史を変え、まるでゲームのように襲い掛かってくる様はとても非情である。悪役っぷりが最高。

バトルシーンは非常に躍動感のある表現で、観ていて心地よい。時代劇パートも面白いが、最後の巨大ロボット戦も大きな見どころだろう。何度も見返してしまう名作。

11位「映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」

ある日をきっかけに、街じゅうの人たちが、眠ると見たい夢が見られる世界“ユメミーワールド"に行けるようになる。
楽しい夢に夢中になるしんのすけたち。しかし、ユメミーワールドは次第に悪夢しか見られない恐怖の世界へと変わっていく。そんな時、しんのすけの幼稚園にサキという女の子がやって来る。誰とも打ち解けようとしないサキ。カスカベ防衛隊はサキに仲間になろうと声をかけるが、サキにはある秘密があるのだった……。

くだらないギャグが満載な中、カスカベ防衛隊の友情、野原家からサキちゃんへ届ける家族愛など、クレヨンしんちゃんの魅力が凝縮されている。

それに加え、テーマも夢であり、パプリカやインセプション、ザ・セルのような作品に近しいものも感じられる。悪夢の描写は怖さもあるが、しんちゃんのお馬鹿さ、キレッキレのギャグがそれを和らげてくれる。

映画だとどうしても大規模な世界観になりがちだが、夢というテーマをうまく活かしながら、日常と空想シーンが繋がれていて見事だった。

みさえがサキへ伝えた母親の愛情も印象深い。うまく彼女を導いてあげていた。かっこいいな。

10位「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル」

野原一家は「アクション仮面」最新作の完成を記念した豪華客船ツアーに参加していた。南の島に近づき、いよいよ待ちに待った船上試写会が始まった。突然、会場に謎のサル軍団が現われ、あっという間に大人達そしてアクション仮面がさらわれてしまう!船に残されたのは子供たちばかり。カスカベ防衛隊”で勇気をふりしぼって大人達を探しに行く。島に上陸するが、進んでも進んでも大人たちは見つからない。とそこへ、アフロヘアーのファンキーな王様率いるサル軍団が再び現れ、今度はみんながさらわれてしまう。ついに残ったのはしんのすけとひまわりだけ・・・。

ハイグレ魔王以来かな?アクション仮面が大活躍する話。特撮ヒーロー物の映画をそのまま観てるような感じ。ハイグレ魔王では理想のヒーロー像だったが、本作では役者のヒーロー像が強く描かれていた。

アクション仮面は言わずもがなのヒーローなんだけど、意外とコミカルなところもあり、子供の達にとってより身近な存在に感じられた。本作で知ったのだがアクション仮面は「柔道三段、空手二段、ムエタイ、少林寺、サンボ、骨法、ブラジリアン柔術、カポエラも少々」という物凄い武術の達人だった。強すぎるでしょ。

「正義は勝つ」というお約束のセリフだが、それを体現するアクション仮面の姿に対し、アベンジャーズ以上の心強さを感じたものだ。

9位「映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~」

父・ひろしは、メキシコの町に生息するサボテンの実を集めるため、転勤を命じられる。一家そろっての引越しを決意したみさえやしんのすけたち。
春日部のみんなと涙なみだのお別れ。そして辿り着いた町の名前は「マダクエルヨバカ」個性いっぱいのお隣さんたちに囲まれて、楽しい毎日がスタートするはずが…待ち受けていたのは人喰いキラーサボテンだった~!しんのすけとメキシコのご近所さんたちは、この絶対絶命の大ピンチを乗り越えられるのか?!

野原一家が冒頭からメキシコへ引っ越す衝撃作。こういう映画の場合、大抵は旅行設定なんだけど、引越しという思い切りの良さに脱帽。春日部の人たちとの感動の別れを描きつつ、メキシコでの新しい出会いを築いていく姿には、家族の力強さを感じた。

敵も人ではなく、キラーサボテンという謎の生命体で、良い感じのパニック映画として仕上がってる。パニック映画お馴染みの逃走シーンや、スーパーでの買い溜めシーンなど、あるあるネタも多くて楽しかった。

ちょっと、ゆずのエンディング曲が良すぎる気もするかな。

8位「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ」

映画館「カスカベ座」で遊んでいたかすかべ防衛隊だが、トイレに行ったしんのすけを残して、みんな忽然と姿を消してしまう。映画館を探しに来たが、気が付けば一家は映画と同じ西部劇の街に立っていた・・・。春日部に戻ろうと街をさまようしんのすけたちの前に、変わり果てたかすかべ防衛隊のみんなが!この世界での生活が長引くにつれ、徐々に春日部の記憶を失い、この世界の生活に馴染んでゆくしんのすけたち。
果たしてしんのすけたちは、本当の自分を取り戻して春日部に帰ることができるのか?

しんちゃん達が西部劇の世界へ。世界観が独特で、序盤はなかなかハードな展開。雰囲気はドラえもん映画に近いかもしれない。

中盤からは、カスカベ防衛の怒涛の活躍やギャグの応酬、派手なアクションの数々で盛り上がりを見せていく。映画の世界に入り込んでるだけあって、見事な構成。なかなかベタな盛り上がり方ではあるけれど。

また、しんちゃんとつばきちゃんの恋物語として観ると、とても切なくも感じられることだろう。つばきちゃんを全力で助けるしんちゃんはカッコいい。

7位「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」

ある日、ギックリ腰を治しにマッサージに行ったとーちゃん。
そしたら…なんと、ロボットになって帰ってきた! ?ロボットになったひろしに戸惑うみさえと大喜びのしんのすけ。しかしそれは、家庭での立場がすっかり弱くなってしまった日本の父親たちの復権をもくろむ、父ゆれ同盟(父よ、勇気で立ち上がれ同盟)による巨大な陰謀だったのだ!正気を失った父親たちによる“父親革命"が勃発し、野原家も春日部も崩壊寸前! !
その時、“ロボとーちゃん"がしんのすけと一緒に立ち上がる! !はたして、野原一家の、そしてロボひろしの運命は! ?

2010年以降の作品ともなると、やはり過去作のような攻めたギャグ、ストーリー展開は難しくなりがちで、無難な形に落ち着きがちなのだけど、本作は現代社会をうまく皮肉りながらしんちゃんテイストに仕上げた名作である。

真面目に考えると、急にひろしがロボットになるという、とんでもなく重たいテーマ。そこに人とロボット、父親の使命などが紐づいてくるのだけど、クレヨンしんちゃんというパッケージに包むことで、内容をポップに、より優しく伝えられている。

ラスボス戦はお固い感じになるのかと思いきや、ギャグ全開で面白かった。

6位「映画クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦」

世界征服をもくろむ秘密組織“ブタのヒヅメ"は、電子工学の天才・大袋博士とその助手アンジェラ青梅をだまし、恐ろしいコンピュータウィルスを作り出した。それを知った正義の秘密組織“SML"の一員、コードネーム〈お色気〉は、機械を動かすために必要なパスワードが入っているトランクを盗み、お台場の海に逃げ込んだ。彼女が救いを求めて転がり込んだ屋形船では、なぜかふたば幼稚園の先生としんのすけたち園児が、大宴会中だった! ?
巨大飛行船を舞台に、“SML"の一員'お色気'と春日部防衛隊のみんなも地球の平和を守るために大活躍だゾ!

ギャグ、アクション、感動のバランスが非常によく取れている。特に格闘シーンは格好よく描写されていて見ごたえがあった。アクション映画のお手本のよう。

タイトルが「ブタのヒヅメ」だが、本作では終盤、AIぶりぶりざえもんが大活躍する。しんちゃんの絵本語りで無機質なはずのAIが感情に芽生え始めるのは、とても素敵で感動的。

5位「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」

幼稚園の遠足で出かけた“群馬ヘンダーランド”。実はそのヘンダーランドこそオカマ魔女とその一味が地球征服を企む本拠地だった!
そこで地球のピンチに立ち上がったしんちゃん。お馴染みのアクション仮面、ぶりぶりざえもん、カンタム・ロボと強力な助っ人を引き連れて、オカマ魔女率いる強敵陣と世紀の大勝負!!当時セクシーアイドルとして大活躍した雛形あきこも登場。さあ、地球の運命はいったいどうなる!?

雛形あきこが何度も登場するんだけど、時代を感じるね。初期作なこともあり、序盤ばら組のチーターが登場するのも今では珍しい。導入はやや長めだが、日常パートでうまくヘンダーランドのワクワク感を演出できている。

楽しいテーマパークが実は悪の組織のアジトという話で、中盤からはシリアス感が増し、恐怖や不安への移行が上手く描かれている。ス・ノーマン登場のあたりが個人的には好きだ。

そして、ラスボス戦は歴代トップレベル。踊り対決にババ抜き、そしてクレヨンしんちゃん代名詞の追いかけっこ。エンターテイメントに徹した素晴らしい作品といえるだろう。

4位「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード」

明らかに貧相な朝食を前に、とてもご機嫌斜めなしんのすけたち。しかしそれは最高級焼肉の夕食に備えた倹約と知り、一転大喜び!ところが突然の訪問者に、状況は二転三転。危険を感じたしんのすけたちは貧相な朝食もそのままに、何よりも冷蔵庫に最高級焼肉を残して、その場から逃げ出した!!
気がつけば、なぜか野原一家は指名手配に。周りは報奨金目当ての敵だらけ!…一連の事件は熱海に本部を置く組織「スウィートボーイズ」の陰謀によるものであることを知った一家は、逃走の進路を熱海に向ける!執拗な追っ手の攻撃に家族はバラバラ。それでもしんのすけたちは熱海を目指す。最高級焼肉を囲む我が家の食卓を取り戻すために!!

タイトルだけ読むと、B級グルメサバイバル的なノリで、とても美味しい焼肉を探す旅に出る話なのかと思うけど、実は全然違ってて、ただ野原家の夕食が焼肉というだけ。それなのに、色々あって熱海に行って…。その色々がたまらなく面白いのだ。

本作はとにかくギャグがキレッキレ。登場人物のキャラも濃く、随所で存分に活かされている。ストーリーは、終始ただ焼肉を食べたいだけなので、薄いちゃ薄い。しかし、そのノリと勢いだけで十分最後まで見入ってしまうのだから凄い。

野原一家の人間臭さや、家族を想う気持ちがたっぷり詰まっていた作品。

3位「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」

春日部で平和に暮らしていたしんのすけが何故か突然戦国時代へとタイムスリップしてしまう。そこでひょんなことから、歴史上討たれるはずだった侍を救ってしまう。歴史を変えてしまうわけだが、そんなことはどこ吹く風とばかりに、しんのすけは政略結婚に巻き込まれたり、戦で戦ったり、と戦国時代でも大暴れ。そして、後から何とか車で(?)追っかけてきたひろし達とも再会をするものの、歴史の荒波は一家を大きく変えていく・・・
果たしてしんのすけ達はどうなってしまうのか?

スピンオフ「BALLAD 名もなき恋のうた」で実写化もされた、とても有名で感動的な本作。クレヨンしんちゃんという枠にとらわれずとも面白い。それは良い意味でクレヨンしんちゃんらしくないとも言えるのかな。普通に邦画の傑作だとも思う。

メインは又兵衛と廉姫との身分違いの恋物語。しかしそこに野原一家が加わることで、普通の時代劇とは一線を画すようなアクション、お馬鹿なギャグ要素が加わり、とても良いアクセントとなっている。また、時代考証もしっかりしていて描写もマニアック。

子供向けというよりも、大人の感性に刺さる、観てもらいたい映画。

2位「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」

ある日、春日部で突然「20世紀博」というテーマパークが開催された。
毎日のように夢中になって遊びに行く大人たち…。
そのうちにひろしは会社に行かなくなり、みさえは家事をやめ、しんのすけがひまわりの面倒をみる始末。実はこれは、“ケンちゃんチャコちゃん”をリーダーとするグループの、大人だけの楽しい世界を作って時間を止めてしまう、恐るべき“オトナ”帝国化計画だった!やがて大人たちは、「20世紀博」に行ったきり、帰ってこなくなってしまう。かすかべ防衛隊のメンバーはオトナたちを取り戻すために、「20世紀博」へ乗り込んでいくことにする。しんのすけはオトナたちを今の世界に取り戻し、未来を守ることができるのか!?

しんちゃん映画の金字塔といえばこれ。

幼い頃に観た時はしんちゃん側の視点になることが多く、大人たちの心境を図りかねてたのだけど、大人になってからは見事に観る視点が変わるね。さすがにここまでレトロなものに懐かしさを感じる世代ではないけれど、大人たちが”懐かしさ”に依存する姿には感情移入しやすい。

アクションシーンも文句なし。カスカベ防衛隊がデパートから逃走しバスに乗るはコメディタッチで描かれ笑いが絶えず、しんちゃんが階段を駆け上がるシーンは強く心を打たれる。

何世代に渡っても伝えていきたい名作である。

1位「映画クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」

かつて暗黒魔人ジャークを封じ込めた埴輪と、ジャーク復活のカギとなる2つの“タマ”――。
――今、その“タマ”をめぐって、世界征服を企むホステス軍団と、それを阻止しようとするオカマ3兄弟の対決が始まった! “タマ”の1つをひまわりが飲み込んでしまったため、争いに巻き込まれたしんちゃん一家が東日本をまたにかけ、所狭しと駆けめぐる!!
銀座のクラブのママ玉王が率いるセクシーなホステス軍団に、世界一強~い男ヘクソンが加わって今度の敵もパワフル&パワフル!でも、絶対負けられないゾ!

世界征服を企む銀座のホステス軍団とオカマが戦う話。これぞクレヨンしんちゃんって感じがするよね(笑)。ギャグの秀逸さとテンポも抜群の本作。単純に観ていて面白いし全く飽きない。実際、何度も繰り返し観てる。

作中テーマもしっかりしている。本作はひまわり誕生後の初作品でもあることから、しんちゃんがお兄ちゃんとして成長していく姿、その葛藤がとても良く描かれている。しんちゃんが嫉妬する姿などは新鮮。

へクソンとの最終バトルも見ごたえがあった。ヘクソンは歴代悪役の中で最強に近い。どうやって倒すんだろうと思っていたけど、あーそう来たか!という感じ。

エンディングの「ひまわりの家」も名曲である。

最後に

上位3作品の順番に悩んだ。オトナ帝国や戦国という感動作か、タマタマのようなギャグか。ただ、冒頭で述べたように私はクレヨンしんちゃんをずっと見続けているので、やはり何度繰り返し観ても面白く、ギャグのセンスがピカイチのタマタマを推したかった。

ランキング下位の作品はやや厳しめの評価をしたが、あくまで27作相対評価なので、クレヨンしんちゃんというコンテンツの面白さは絶対的、興味がある作品から観てくれると良いと思う。

現在は劇場28作目「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」が公開中とのこと。面白そうだね。

また、今年クレヨンしんちゃんは原作30周年記念を迎える。様々なコンテンツが配信されているので、是非見てほしい。

個人的に一番気になってるのは、「ボーちゃんを見守る生放送」合計30時間開催!なんだよこれ…(笑)


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