2020/2/24

青山に行ってみたい喫茶店があって、わざわざ友人を表参道まで呼び出しておいてから定休日であることに気付く。仕方なく周辺を歩いてみつけたカフェに入る。ふだん、私があまりにもデートが好きなせいで「デートプランのご提案」がいつも100通りあるものだから、相手のエスコートで出歩いたりそもそもノープランで遊ぶ機会に恵まれず、却ってデートの醍醐味を味わえていないじゃないか。なんてことをよく思う。ので、予期せぬ定休日はむしろ楽しいものです。お客は女性がほとんど、チェスターコートが流行らしいとわかる。友人はブルーベリーヨーグルトのドリンク、私はお昼がまだだったのでバナナミルクに加えてチキンのサンドイッチを注文した。オーガニックカフェの類らしく、普通のコーヒーや紅茶がメニューになかったのだ。

でてきたサンドイッチは想像の1.5倍ほど大きく、2つあるうちの片方を食べてもらいながら近況をきく。彼は私の数個としうえだが、話をしながら20代という年齢の、人生における位置づけについて考える。私たちはあんまりに自由で、東京や会社に縛られる必要がまったくないものだから、生きていく場所や、見えないけど存在はする階級・身分みたいなものや、結婚相手の知的レベル/容姿や子供の数に至るまで、を選び取っていかなければならない。これらの数字たちにコントロールされる生き方のほうが楽なのかもしれなくて、だけど私たちはコントロールできるものだってもう知ってしまっている。宇多田ヒカルが『This is Love』で「予期せぬ愛に自由奪われたいね」と歌っている意味がよくわかる。せめて予期せぬ本との出会いに期待して、歩いてすぐの青山ブックセンターに行くことにする。サンドイッチもジュースもおいしかった。

本をみて回りながら、丸の内の丸善がいちばん好きな本屋だ、という点で意見が一致する。東京にあるたくさんの書店のなかでいちばんのお気に入りが一致するというのはなかなかうれしい。店内で流れていた曲が妙に気になって調べたらKing Kruleの『Comet Face』とのことだった。本屋で音楽に出会うこともある。友人に円城塔が好きだ、と言ったらじゃあそのひとの本を買おうかな、なんて言うので私もまだ読んでいないタイトルを買うようにすすめた。いつか貸してもらうのだ。そしてやはり前にも書いた通り、読んでほしい、と思って本をすすめるということは難しくて、私には不可能に近いから。ま、予期せぬ愛となりますように。渋谷まで歩いて解散。お元気で、と手を振り合う。

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