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#4 チョコレートコスモス

人間が人間をやる、それが役者だ、と。
エゴとかプライドとか人間の嫌らしさと崇高さと矛盾を含むものがないと面白くない、と。
読了後、その言葉が何故か離れなかった。


芸能一家に生まれ、何もかもを与えられたが故に悩んでいる響子と、演劇を始めて間もない大学生の飛鳥。2人の少女は1つのオーディションで出会うことになる。


響子には響子にしか、飛鳥には飛鳥にしか、見ることのできない世界がある。感じることのできない感情がある。違う世界を生きてきたのだから当然だ。
しかし、2人は芝居の中で同じヒナギクに触れるのだ。私には分からない。だから物凄く羨ましくて、2人の世界を知りたいと思う。けど、2人だけが知っていてほしいとも思う。


冒頭の言葉が離れない理由は、まだ正直分からない。当然のことといえば当然だが、何故か心を突くものがある。
その正体を知りたくて、でも気づきたくなくて、もう少し気づかないふりをしておく。

チョコレートコスモス
花言葉は「恋の思い出」というらしい。しかし、英語では「情熱」「欲望」を意味するという。
響子と飛鳥の情熱と欲望は、神谷の手によってどのような小宇宙を目指すのか。
その世界に触れてみたくてうずうずしている。

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