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ディグ・モードvol.105「ヘド メイナー(HED MAYNER)」

ヘド メイナー(HED MAYNER)は、2015年にイスラエル出身のメンズウェア デザイナー、ヘド・メイナー(Hed Mayner)が設立したパリ拠点のブランド。ヘドのデザイン方法を定義するスタイルは、彼がエルサレムで過ごした大学時代に着目した現地の人々の着こなしだ。デザイナーは自身とつながりを感じる作品を製作し、アーカイブとともにブランドを進化させている。


エルサレムの着こなしがデザインを定義

2021年秋冬コレクション(Courtesy of Hed Mayner)

レバノン国境に近いイスラエル北部の小さな村で育ったヘドが服作りを始めた頃、彼を突き動かしていたのは何かを作りたいという欲求だった。エルサレムに移りベツァルエル美術デザイン学院に進んだ際、彼は世界の中心に住んでいると感じた。精神性、伝統、弱さ、権力、高貴さなど興味を持ったさまざまな概念の中で生きていた、とヘドは当時を振り返っている。

彼が自身のデザインを定義するスタイル着目したのは、その頃だった。まるで幼い子どもが父親のジャケットを着ているかのように、人々は自身の体型と全く異なる服を着ており、彼はそこに興味を持った。そして、昔ながらのユダヤ人の仕立てに魅了された。自身の着想源となっているそれは、体を形作るというよりも体を包み込むことに重点を置いているとヘドは説明する。

2022年秋冬コレクション(Courtesy of Hed Mayner)

「エルサレムにはヨーロッパのような贅沢という概念は存在しません。仕立ては決して完璧ではありませんが、それでも洗練され、高貴に見えます。これは私にインスピレーションを与えます。古典的な仕立ての独特の形式であり、服のステータスはあまり明確ではありません。私にとって、それは高級服に対する現代的な見方です」と彼は『METAL Magazine』で語っている。

エルサレムで学んだ後、ヘドはパリに移ってアンスティチュ フランセ ドゥ ラ モード(Institut Français de la Mode)に進学し、そこで自身の美学を磨いた。パリは彼にとって古い工芸品のリサーチや観察をしたり、本屋を訪れたりする場所だった。そして2015年、ヘドは自身の名を冠したブランドを設立した。

服と身体の間に空間

2024年春夏コレクション(Photography by Isidore Montag / Gorunway.com)

ヘド メイナーのコレクションはオーバーサイズのフィット感や、構造的でありながら流動的である点が特徴だ。2019年にLVMHプライズのカール・ラガーフェルド賞を受賞後、「私はメンズのワードローブから非常にクラシックな要素を取り出し、それらに新しい形と新しい命を与えます。パラレル・リアリティのようなものです」とヘドは『VOGUE HOMME』に語っている。

デザイナーはシルエットを微妙な色や天然素材で解釈し、トレンドの外に存在し、着る人を包み込む衣服を作っている。「ある種の沈黙があると思います。何か静かなところがあり、服と身体の間に空間があるという考えがあります」と彼は『THE LAST MAGAZINE』で語っている。

アーカイブとともに進化していく

ヘド・メイナー(Photography via PROMOSTYL

コレクションをデザインするとき、自身と関連性やつながりを感じるものを製作しているだけだとヘドは説明する。それは特定の瞬間に服やファッション、人々について彼が感じたことを反映したものだ。デザイナーにとって主な目標は新しい視点を開くことであり、美しくありたいと願っている。

コレクションによっては予想外の色を使用したり、クラシックなデザインと新しいデザインをまったく交互に使用したりすることもあるが、全体を通して、それらすべてを結び付ける糸がまだあるとデザイナーは説明する。彼にとって常に進化し前進することが重要だが、それはアーカイブとともにあり、ヘドはアーカイブを使ってそれを実行している。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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