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ディグ・モードvol.106「ボーディ(BODE)」

ボーディ(BODE)は、2016年にアトランタ出身デザイナーのエミリー・アダムス・ボーディ・アウジュラ(Emily Adams Bode Aujla)によって設立されたニューヨーク拠点のメンズウェア ブランド。衣服の背後にある物語を織り込んだ、時間や場所にとらわれない服作りをおこなっているデザイナーは、衣服に感情的な側面を持たせることが市場で成功する秘訣だと考えている。


ボーイッシュな感性からメンズウェアに転向

2021年フォール コレクション(Courtesy of BODE)

エミリーが自身のレーベルを立ち上げたアイデアは、彼女が自分ではなく他人を着飾ることに興味をそそられていたことが起点となっている。いつも男性の服装や買い物の仕方に魅了されてきた彼女は、当初子ども服を作るつもりだったが、メンズウェアに転向した。実際、自身の服を見てみるとボーイッシュな感性があるとエミリーは説明している。

ボーディ設立前、彼女はラルフ ローレン(Ralph Lauren)とマーク ジェイコブス(Marc Jacobs)で働いた。ラルフではラフ ウェアと呼ばれる部門で、ヴィンテージにインスピレーションを受けたコレクションに取り組んだ。マークでは特別プロジェクト部門でインターンをし、余った生地をどうするかについて考えた。

エミリーのビジョンは、こうしたアメリカのファッションデザイナーの流れを汲んで構築されている。彼女はラルフ ローレンについて、「私はただ、彼が衣類を着るというカルチャー全体を包括するビジョンを持っていたことを賞賛します。それは私がずっとやりたかったことだったからです」と『GQ』で語っている。

衣服の背後にある物語を織り込む

2022年プレフォール コレクション(Courtesy of BODE)

ブランドの立ち上げ当初ほとんど全てが一点ものだった作品は、現在では少し変わって、エミリーの両親やキルトのディーラーなど、デザイナーと親密な関係にある人々の個人的なストーリーに基づいている。自分の服がどこから来たのか分からないことはよくあるが、そこに焦点を当てることが自身にとって重要だと彼女は説明する。

なぜなら、それがボーディの作品と顧客との関わり方だからだ。 「私たちはそれぞれの衣服の背後にあるストーリーを伝え、ラベルには『このシャツは…から作られています』と記載しています。そしてそれがどこから来たのかを書きます。歴史は文字通り衣服に織り込まれています」とエミリーは『Matches Fashion』のインタビューで語っている。

服に感情的な側面を持たせることが成功の鍵

2024年スプリング コレクション(Courtesy of BODE)

ファッション ブランドが電光石火のトレンド サイクルについていくために急ぐ時代に、ボーディはトレンドに応えるのではなく、再利用されたテキスタイルを使用し、シーズンごとに独自のデザイン アイデアを複合させながら場所や時間にとらわれない服服作りをしている。

ボーディのアイテムはほとんどがボックスシルエットのワークウェアからインスピレーションを得たもので、シーズンごとに変化するが常に時代を超越するとデザイナーは説明する。

エミリー・アダムス・ボーディ・アウジュラ(Photography by Amy Troost)

市場で目立つことに成功した鍵について、服に感情的な側面を持たせることであり、コレクションとボーディの衣服に対して非常に個人的な反応を生み出すことだとエミリーは考えている。つまり、人々はただ買い物をしに来るのではなく、それぞれの服が何を意味するのかを体験し、理解するために来店するのだ。

「このレーベルには感情的な性質があり、それはメンズウェアを作る女性としての私の視点、そして私と『彼』との関係をどのように見ているかに由来していると思います。それは顧客とは異なる関係です」とデザイナーは『Matches Fashion』のインタビューで語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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