続ける!毎日掌編小説、第9回目!『現実より』
「どうしてそれができないんだ」この言葉を最後に、私は現実から飛び出した。
忘れていたいことなら無限に出てくるのに、幸せだったものはすぐに消えていく。
あなたに今の私を教えてあげないと、うん、手紙が一番いいな。
私は鉛筆と青の折り紙を取り出した。
1枚目の手紙
私の居場所はここだけ。手を汚したわ。ごめんなさい、やっぱり抑えられなかった。
したくもない仕事だった。だからやめて清々したよ。
私に合った仕事はないかと探す努力はしたし、今まで無理もしてきた。もう疲れた。少しぐらい、休んでもいいよね。
手のひらが真っ赤に染まって、やっと私の冷え切った手が温かくなったの。ただ、私のやっていることは世間に認められることはおそらくない。
ただ私は、他の人間と同じ、他の人間とは違う人間。みんな人それぞれよね。私が80億人いればそれが当たり前。きっとみんな私のことなんて目にもとめない。
いじめられっ子を成敗する正義のヒーロには吐き気がするの。誰かに優しくすることは必ず下心があるから。そんな奴らはみんなペテン師だ、仮面をつけた、嘘の道化師だ。
でも私は違う。自分に嘘はつかない。あるがままの自分を曝け出して、大好きなことを大好きって言えるように生きてる。
やっと見つけたんだ。
2枚目の手紙
手紙っていいわね、あなたからの手紙は本当に嬉しかった。
あなたから送られてきた手紙は、私のやり方がまるで良くないことのように書かれていたわね。
確かに、この道に足を踏み入れてみたけど、あまりうまくいかなかった。それは事実だよ。
私は何も間違ってないのに、誰も彼も私の話を聞こうとしない。私はこんな世界を変える必要があると思うんだ。
それと、あなたが私の家を特定するとは予想外だったわ。あなたも共犯なのにね。これで私は終わり、あなたの勝ち。正義はやっぱり勝つのかしらね。
3枚目の手紙
「どうしてまた手紙が送られてきているんだ」って驚いた?あ、それとも、嬉しかったりするのかな?またあなたへヒーローになるチャンスがやってきたのだから。
にしても、この世界はあまりにも、私には住みにくい。今の私の状況は、あなたの想像通りだと思うわ。
私は必ず、この世界を変えてみせる。絶対よ。
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