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Kabanagu の『泳ぐ真似』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

hyperpopシリーズ!

今回は Kabanagu の『泳ぐ真似』を聴いてみた編をお届けします。

低体温で透き通った歌声、疾走感と音の隙間を巧みに操り生み出す緩急、独特の語彙と言葉のリズム。

予定調和を許さない電子音たちが流れ込む7曲11分間。

ぜひ、読んでみて聴いてみてください!

1. はじまり

ピッチとかいじっているのかもしれないけど、Kabanaguさんの中性的で透き通った、低体温な声めちゃくちゃ好き。Kabanaguさんの声とめちゃくちゃ高音のボカロ?電子音が重なってさらに機械的、無機質感を極める。

2. グラニュー

気持ち良くギターのようなアルペジオの音に繋がって始まる。圧倒的清潔感。水色。0:40〜の「突風が香る」の「る」の発音の柔らかさが好きだし、0:46〜の「葉だけが触れる」の「だ」の声の裏返し方癖(へき)すぎる。癖に滲む感情と人間味が温かい。この曲は約一年ぶりの歌モノスランプを抜け出せた曲らしい。1:26〜展開が変わるの最高。「猿の遺言揺らしてる」ってどうやったらこんなフレーズ思いつくんだろう。

3. 連続体

複雑なリズム。緻密に配置される言葉。言葉の流れや止めのメリハリが独特な疾走感を生んでる。この曲聴いているだけでめちゃくちゃ賢くなりそう。数学が捗りそう。脳みそが活性化する音。

4. 果てにて

淡々と並べられた言葉とエモーショナルなギターのメロディ。美味アルペジオ。このギターも打ち込みなんだ…リアル…!0:32〜ここのメロディの予測不可能さ気持ち悪くて気持ち良い。ギターも歌も不協和音になって来たと思ったら、1:10〜で徐々にスピードを上げて駆け抜けていく。ドラムが倍の数打ち込まれていてすごく焦る。

5. 冥界

全く違う雰囲気の曲が飛び込んで来た!弾力がある。ビートがボヨンボヨン。0:25〜近未来。どの曲も予定調和が無い。歌声の原型がどんどん無くなっていく。1:05〜吐息を曲にはめ込んでいる曲好き。大きく息を吐いてから、大サビに入る展開格好良い。壮大なコーラスも聞こえて壮大。恐ろしくピコピコしている。

6. 考え

時空が歪んでいるような電子音たちと、時々現れるオペラのような美声。組み合わせがツボ。どうしたらこれらを組み合わせようと思うんだ…0:52〜からの疾走が好き。疾走感の使い手。Kabanaguさんによると「数文字を無機質に発音し続けるような曲をやってみたい」という思いで作った曲らしい。1:08〜次第に連呼される「消えない」という言葉の意味がわからなくなってくる。

7. いいだけ

ブリブリビート。音割れ。クラッシュする。ノイズ。破壊的な曲。この曲はすぐに完成したらしい。1:09〜シンバル鳴りまくり、ボーカルもバリバリで途切れ途切れ。1:19〜狂ったように繰り返され絶叫するような「いてくれればいいだけ」格好良い。マイクに向かってゼロ距離で叫び散らかしながら録音したらしい。叫んだ後の息を吸う音が切羽詰まっていてグッとくる。Kabanaguさんの歌う「猿」の意味を考え続けてしまう。自動再生で一曲目が流れ出して、最後の感情溢れた熱い歌唱と、一曲目の無機質ボーカルとのギャップにビックリした。

↓『泳ぐ真似』Album Trailer


Kabanagu(1998年-)日本のシンガーソングライター、トラックメイカー。
本作は2021年にリリースされた1stアルバム。ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文が主催の「APPLE VINEGAR -Music Award-」にノミネートされた。
Twitterにて、Maltine Records主宰者であるtomadの投稿が100RTを越えたことで、アナログリリースが決定した。


今回もフィジカルが入手困難を極め、Kabanaguさんにもご相談に乗っていただき(お忙しい中有難うございました…!)、なんとか写真撮影ができました。ドデカ印刷をしました!

この写真を撮るためだけに、ポスターを担いで地元でチャリを爆走させました。

どんだけ内山CD持ちたいんだ!!でもそこは譲れないんだ!!!!記事の公開お待たせしました…!

そして、Kabanaguさんによる「泳ぐ真似 リリース雑記[+ステムデータ]」のnote記事めちゃくちゃ面白いのでぜひ読んでみてください!読んでから聴くとさらに深まる。

↑その苦悩と入り混じる日々の混沌、文字のテンポがとても素敵だった…

「"おれが聴いて気持ちよければなんでもいい"という開き直りだけでEPを1枚作ってみようと決意」という制作背景がとても良かった。

その開き直り(?)って実は大事なことだよなぁと思ったりしました。

作詞と作曲を同時に進めていく制作方法が故の気持ちよさがあったな…同時に生み出すことができるのがまず凄すぎる…

アルバムを通してほぼ切れ目なく繋がっているような構成の凝縮感も楽しかったし、Kabanaguさんの歌声が深く刺さりました。歌声というか声が好き…普段の話し声とか聴いてみたい…(すみません)。

2ndの『ほぼゆめ』もオススメです。

前回レビューしたhirihiriさんと共に、KabanaguさんもPAS TASTAさんで活動なさっているので大至急ライブを観に行きたいです。

同じくPAS TASTAの一員であるウ山あまねさんとは今月ご一緒させていただくので、今はそれが!めちゃくちゃに!楽しみです!!!!!

長い時間をかけ(フィジカルがどれも入手困難すぎた…泣)hyperpopシリーズは今回で一旦ラスト!

どうでしたか!

私はめちゃくちゃ好きになってしまったよ!!!!!

有難うございました!!!!!!!

次回からは気持ちを切り替え新シリーズに突入!

次回は「いちバンド深掘りシリーズ」として「My Bloody Valentine編」をお届けする予定です。

全曲レビューや普段と違ったレビュー形態を取り入れながら恐らく全作レビューする予定です!なので!公開に時間がかかったらごめんなさい!!
お楽しみに!

最後まで読んでくださり、有難うございました。


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