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「2023年12月の珈琲 Burundi:ストロベリー群像」

きっと、誰もが、何かしらの思い出を思い出すストロベリーの群像。

Burundi:ストロベリー群像
サヨナラマタネと手を振った
スポンジの香り漂う通路を抜けて
黄色の自転車に飛び乗る
赤いリボンの箱のなかには
ストロベリーのショートケーキが
わたしを待っていた
甘酸っぱさとやさしさに満たされる

12月になって、街中でいちごを見かけると思い出すことがある。

焼きたてのスポンジの甘い香りが漂う通路に、赤いリボンの描かれた白い箱、そして、その中から出てくるストロベリーショートケーキ。

それは、通っていた塾の年内最後の授業日のことだった。

教室の数は2部屋とそんなに多くはない小規模の塾には、顔馴染みの友達がたくさん通っていた。

塾があるのは、ビルの2階。

1階には、地元で唯一のケーキ屋が入っていた。

「サヨナラ、マタネ!」

年内最後の授業を終え、急いで靴を履き、先生と友達に手を振って、塾の扉を開けた。

階段をくだり、1階の通路に降り立つと、そこには焼きたてのスポンジの甘い香りが充満していた。

ガラス窓の向こうにあるラックにはスポンジが並び、白い帽子を被った店主が泡立てた生クリームをスポンジに塗りつけている。

客がケーキ屋にひっきりなしに入っては出てしているのを横目に、わたしは黄色の自転車に飛び乗った。

きっともう、家で、あのストロベリーショートケーキがわたしを待っている。

うれしさいっぱいで、自転車のペダルを漕ぎ、クリスマスツリーの飾られた家へと急いだ。

12月の珈琲「Burundi:ストロベリー群像」のやさしい甘さと華やかな甘酸っぱさは、あのストロベリーショートケーキそっくりだと思った。

街中にいちごが並ぶ季節。

きっと、誰もが、何かしらの思い出を思い出すストロベリーの群像。

12月の珈琲でそれを表現したいと思って焙煎したのが、「Burundi:ストロベリー群像」だ。

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