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ミールスについて少しまじめに考える3-5

第3部を振り返っていきます。

ミールスの定義として、日本国内の本やサイトでは、多様な料理のレパートリーがある南インドの食事と説明されていました。現地でもミールスは地域ごとの料理が組み合わされた食事でした。一方で、地域ごとに料理の特色があるためミールスを南インドの食事の枠組みとしてくくることの難しさを感じました。これはミールスという名称の問題として理解しています。

ミールスのルーツがどういったものなのか、答えを出すことはできませんでした。しかし、現地では祭りのときに食べるものといった話があったり、本の中でそうした機会に提供される食事と推測されている方もいて、地域ごとの祭りの食事を調べていけば何かわかることがあるのかなと現時点では思っています。

個人的にもっとも興味があることが、ミールスの食べ方や提供方法など食作法です。これは私がミールスのことを考えるきっかけでもあります。
食事の作法は、混乱した状況にあります。簡単にいえばミールスを自由に食べるのか順番に食べるのかいうことで意見が分かれています。
一見単純みえるかもしれませんが、これはより根が深い問題と思っています。それは料理を混ぜることで作り手が意図した料理ではなくなってしまう可能性を孕んでいるからです──しかし全部混ぜて食べる食事としてつくることも可能とも思えますが。
私は過去にインドの方とミールスを食べた体験や『インドを食べる 豊穣の国・啓示の国』、『Indian Food: A Historical Companion. 』など複数の文献を読む限り、ミールスに食事の順序がある立場を支持します。
また、こうした食作法がなぜ失われているのか──または知られていないのかといったことはローカルからグローバルに展開される食の流れの中で重要なことであり、Ashis Nandyが『Ethnic Cuisine: the significant 'other'』の中で指摘したエスニック料理のグローバルな流れを直接受けているように思えます。また、この流れの中にローカルな食文化=在来知としての料理がグローバルな展開としてモノ化してしまう根幹があるのではないかと考えています。こうしたことはこれからよく考えていきたいテーマです。
それに関連させて、世界の食作法の比較から提示された時系列型と空間展開型という分類に対してミールスは中間の食事として定義します。食事の際に料理のサーブは時系列的、空間展開的のいずれの配膳方法にも当てはまるためです。さらっと書いていますが、ミールス然り世界の食作法の多様なありかたが他にもあったら面白いのではないでしょうか。

以上、3部のまとめでした。読んでいただきありがとうございます。

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