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ミールスについて少しまじめに考える2

ここでは、南インドのミールスがレストランや家庭でどのように食べられているか調べた結果をまとめていきます。
具体的には、カルナータカ州のバンガロール、ケララ州のコーチン、タミル・ナードゥ州のマドライとカライクディで、ホームステイ先の家族やたまたま居合わせたレストランのお客さんに教えてもらったミールスの食べ方を書いていきます。あわせて、異なる言語(カンナダ語、マラーヤム語、タミル語)でミールスを表す言葉を教えてもらいました。

先に断っておくと、時間と胃袋の制約から各地域で食べることができたミールスの数に限りがあるため、集めた事例は非常に少ないです。そのため、わたしが教わった食べ方は事例の1つくらいの感覚で読んでほしいです。

それでは、旅の日程と同じくカルナータカ・バンガロールからはじめます。都市・レストラン名・教えてくれた人と、ミールスの共通性に注目して概観を書いていきます。

1. カルナータカ バンガロール

(1)nalapaka 教えてもらった人バンガロールに住む夫妻 
(2)Udupi Sri Krishna bhavan 店の人、店の客
(3)Basaveshwar Khanavali 店の人

 バンガロールでは3つのレストランでミールスを食べることができました。詳しい内容はこちらの記事を参照していただきたいです。
レストランによって、料理の構成が異なっていますが、共通する点は、バナナリーフにロティなどとポリヤルなどの副菜が提供され、それに合わせる付け合せがサーブされる点です。
それらを食べたあとに、サンバル、ラッサム、カードが提供され、その都度ライスが提供されます。そのため、サンバルとライスを食べ、ラッサムとライスを食べ、最後にカードとライスを食べる三段構えです。特に地域的な特徴と思えたのがロティを最初に食べる点です。それらはライスなどとともに主食の中心となっていました。
この地域では、ミールスを「ウータ(oota)」と呼んでいました。市内には店名にootaとつくレストランが点在しています。
バンガロール滞在中にタミルナードゥ・マドライ出身の日本語が堪能なインド人と出会いました。私がバンガロール(カンナダ語)でミールスの別名あるの?と聞いたところ、ないかな?ミールス?と言いつつ、隣にいたカルナータカ出身者に聞いたところ「ウータ(oota)」と答えてくれました。
インド人であっても隣の州になるとわからないこともあるのかと不思議な気分になりました。


2. ケララ コーチン 

(1)Brindhavan Vegetarian Restaurant パラクッダ出身ケララに住む夫妻

 詳しいミールスの内容は、こちらの記事を参照してしていただきたいです。
まずバナナリーフにホワイトライス、副菜がサーブされ、ライスの上にダルをかけてくれます。ダルがかかったライスを食べ終えると、追加のライスとサンバルがサーブされます。これらを食べ終えるとライスとラッサムがサーブされ、最後にライスとカードとあわせて食べました。
このレストランでは、ホームステイ先の家族に食べ方を教えてもらいながらミールスを食べました。そこでは上記のような食べ方を教えてもらいましたが、後でビデオを見返すとお父さんは、こうして食べるんだと順序を示したにも関わらず、それにとらわれず食べていました。
教えられた食べ方と違う点を考えると、規範(建前)がありつつも自分の好みと両立していて、それらが混ざり合っているのかなと思いました。
この地域ではミールスを「チョルンドゥ」というとのことです。

3. タミル マドライ/カライクディ 

(1)マドライ Sree Sabarees マドライに住むカップルの女性
(2)マドライ Criston home stay ホームステイ先の家族
(3)カライクディ The Bangala 料理教室の先生

詳しいミールスの内容はこちらの記事を参照していただきたいです。
マドライのレストランとホームステイでは、バナナリーフにホワイトライス、副菜がサーブされ、ライスの上にダルをかけてくれます。ダルがかかったライスを食べ終えると、追加のライスにコロンブ、次にサンバルで、これらを食べ終えるとライスとラッサム、最後にライスとカードの順で食べました。
The Bangalaのミールスは種類が多く豪華という意味で明らかに異質でした。
ホームステイで、ミールスは祭りの食事であって普段の食事ではない。この前ポンガルに来た時食べたの覚えてる?と言われました。
本来、ミールスとは祭りの食という話を聞けたのは、このホームステイだけでした。この視点から他の場所でも話が聞ければよかったのですが。。
この地域ではミールスを「スッパル」と呼んでいました。


まとめ

ミールスは、南インドの各地域の特色をもった食文化を反映しており、地域ごとに異なった料理の組み合わせがある食事でした。
こうした広義のミールスは、各地域の食事を意味する北カルナータカの「ウータ(oota)」、ケララの「チョルンドゥ」、タミルの「スッパル」などの言葉と同じと思われます。
それらは大きく捉えた場合、ミールスという形式の同質的な部分(例えばサンバル、ラッサム、カードライスの順で食べること、これらを混ぜないことなど)と、異なっている部分(主食、副菜の種類や構成、食事に際しての食べ合わせなど)から、つくられているように思えました。
具体的には、わたしたちが南インドのどこかで(レストランや家庭など)ミールスと呼ぶものは、ある地域の食事という意味であり、それらの要素とは前述した同質的な部分に限定され、地域的な差異をもって副菜のバラエティや材料による味の違いが現れていました。

特に今回の学びの中でミールスの核と感じたのは、食べる際の組み合わせが重視されている点と料理が適切なタイミングでサーブされることです。

料理の組み合わせが重視されている点として、ロティやチャパティを合わせる副菜、ライスと合わせて食べるダル、コロンブ、サンバル、ラッサム、カードなど、主食、副菜は各々が対応した関係にあり、それらを合わせることで、店がつくりたいミールスを味わえるのではないかと思えました。

引き続き、ミールスでは何が提供され、どうやって食べるかという視点から、現地の方と共に食べて学ばせていただく機会を重ねていきたいです。

反省点と課題

気付いた方もいると思いますが、今回のリサーチの問題点がいくつかあります。
・ミールス=南インドの食事という観点から、例えばバンガロールではウドゥピ(カルナータカ西部)、フブリ(カルナータカ北部)のミールスやタミル・ナードゥ各地の食事をひとまとめにしていますが、共通性と異なる点があります。具体的に異なる点とは料理の種類と食べ合わせですが、これらを十分に検討することができませんでした。キッチンに招き入れてくれたレストランでなぜこの料理の種類と組み合わせなのか聞くことができたら、もう少し内容を厚くすることができたと思います。
・リサーチ自体が食べ方に力点を置きすぎていて各地のミールスのルーツに関して無頓着でした。
・ミールスと同意義の言葉については、現地の言葉を学んでから教えてもらう必要を感じました。
・ミールスを現地の方と食べた回数は多くなく、断片的な情報であるのは否めません。各地域のミールスに関して、ホストファミリーやレストランの方と話して内容をまとめたつもりですが、言語の違いや意味の解釈から誤解があるかもしません。そのため、本文中に大きな誤りがあったら教えていただきたいです。あわせて他の南インドの他地域、ノンベジミールス、あるいはターリーに関しても情報をお待ちしています。

次の3部では、日本のミールスとインドのミールスを食文化が国境を超えるという視点から考えてみたいと思います。

読んでいただき、ありがとうございました。
続く



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