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愛犬

私が高校3年生の頃
知り合いからいただいたのだが
実家にわんこがやってきた

ミニチュアダックスとシーズーのミックス犬
ミニチュアダックスの短足胴長と
シーズーのもふもふの毛と丸顔をもちあわせた
最強に可愛いわんこ
名前はれもん

先日、そんな大好きなれもんが息を引き取った
末期の肺がんだった

幸い私は出産のための短期里帰り中で
しばらく実家で過ごしていた

病名が分かってから亡くなるまで
たったの4日だった
まだ9歳だ
もっともっと一緒に居れると思っていた

正直まだ全然心の準備はできていなかったし
何なら今もまだ受け入れきれていない

前日には大好きなちゅーるもたべられなくなって
息も相当苦しそうで
ずっとぐったり横になるか
座ってじっとしていた
力無く閉じていく目
時々止まりそうになる呼吸
もう長くないなということは誰が見ても分かった

息子が泣いていない間は
なるべくれもんのそばに居たけど
全然足りない

敏感肌になった頃から犬アレルギーも発症して
薬を飲めない妊娠中も産後もアレルギーが怖くて
昔ほど全力で触れ合えていなかったことを
心から後悔した
そうするしかなかったから仕方ないのだけれど
もっともっとそばに居たかった

病名と先が長くないことがわかった日も
亡くなる前日もたくさん泣いた
居なくなってしまうのが怖かった

亡くなった日は強い台風の日で
当日の朝は5:30くらいに雨風の音で目が覚めた
少し嫌な予感がして
でも怖くて見に行けなくて
とりあえず息子の授乳をして心の準備をして
終わったら様子を見にいこうと思った
授乳がちょうど終わったところに
れもんがなくなっていると父が伝えに来た

走ってれもんのもとへ行き
たくさん名前を呼んで、撫でた
まだあたたかかった
5時ごろの朝の散歩の時にはまだ生きていたらしい
目が覚めた時に見に行けなかったことを
激しく後悔した

分かっていたはずなのに
亡くなった姿を見ても
全く信じられなかった
辛くて、苦しくて
たくさん泣いた
お疲れ様、頑張ったねと声をかけて
部屋に帰ってまたたくさん泣いた

本当に大好きだった
大学で県外に出たし
高校卒業後は帰省のタイミングでしか
れもんとは過ごせていない
時間の長さでいえば
長く一緒に過ごせた訳ではないかもしれない
それでも家に帰れば
ちぎれそうなくらいしっぽを振って喜んでくれて
家中どこに行っても私のうしろをついてきてくれて
名前を呼んだら喜んで来てお腹を見せてくれて
たくさんおもちゃで一緒にあそんでくれて

家に来たばかりのまだ赤ちゃんのころは
夜寂しくてなのか怖くてなのか
よくくぅくぅ鳴いていて
2階の私の部屋に連れて来て一緒によく寝たことも
遠くに車で行って一緒にお散歩したことも
もちろん家の近所をたくさんお散歩したことも
何でもない家の中での時間も
全部はっきり覚えているし
ずっと忘れることはないと思う
全部大切な宝物だし
心から大好きだった

火葬の時間はあっという間に来てしまって
みんなでお別れをした
お手紙も入れた

まださよならしたく無くて
何度も何度も撫でて
れもんも泣いてほしくないだろうなと思いながらも
涙が止まらなくてずっと泣いてた
悲しい顔してしまってごめんね

私は次の日も、その次の日も
思い出しては泣いて
まだ新生児の息子に慰めてもらっている

どんだけ泣くねん、れもんも悲しむやろと
良くないなとは思っていたけれど
とても大切なものを失うことはそう多くないし
大好きな愛犬を想って泣くのは
悪いことではないと今は思っている
れもんに手紙を書く時間や
後で出てくるミサンガを編む時間
今こうして日記にれもんへの気持ちを書いている時間も
気持ちのお別れのための
私にとって必要な時間なのだと思う

亡くなった日から数日経つが
毎日リビングに行くと
「あれ?れもんは?」と無意識に探してしまうし
あったはずの場所にゲージが無いのを見たり
部屋の外でれもんの足音に似た音が聞こえたり
チャイムがなっても鳴き声が聞こえなかったり
そういう生活の端々で
れもんが居ないことに気づいては
どうしようもなく胸が苦しくなる

今生きてることは当たり前じゃないし
生きてるものは必ず死ぬ
それは80年後かもしれないし
明日かもしれないけれど
思っているよりも簡単に
命は消えてしまう

まだ先があると思って雑に接してしまうことがあっても
人であれ動物であれ
それがその命との最後かもしれない
取り返そうと思っても失ってからでは遅い
私はこれを一生のうちに
何度気づかされるつもりなのだろう

れもんは私に愛情をくれたり
命の大切さを教えてくれたりしただけでなく
私の家族のあたたかさにも気づかせてくれた

父はこの間れもんと少し遠出していたけれど
残りの時間もっといろんなところに連れて行ってやろうと思ってたのになぁと言っていたし
れもんのご遺体に誰よりも早く毛布をかけてあげたり
たくさん撫でて声をかけてあげたり
父のれもんへの愛情に触れた

まだ高校生の弟の、れもんとおそろいのミサンガつけて試合頑張るという言葉や
犬用ベッドで横になるれもんのご遺体の隣の硬い床で
タオルケットにくるまって添い寝している姿
火葬後の骨壺と生前の写真を飾っているコーナーに
れもんちゃんおやすみ!と寝る前声をかけていたりと
改めて弟は本当にいい子だなと感じた

お盆で帰省していた上の弟も
しんどそうなれもんの側にずーっとついてあげていたし
気づけば手紙は家族全員が書いていた

私は家族のことがもっと好きになった
れもんはたくさんのことを私に教えてくれた

れもんの存在も、思い出も
一生大切にしていきたい

今まで本当にありがとう
ずっとずっと愛してるよ
9年間お疲れ様でした
ゆっくり休んでね
もし生まれ変わったらまたよければうちに来てね
そして息子とも遊んであげてね
それじゃあまたね、おやすみなさい

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