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もう出来ないこと

大学3年の11月、病院実習があった。
実習の前に1度打ち合わせがあり、今日はその日。





打ち合わせが終わり、病院から近い母方の実家へ歩いて帰った。

その帰り道の途中、小さい頃によくいとこや兄と遊びに行っていたくじら公園(たぶん)を見つけた。

クジラの滑り台があったからくじら公園と言っていたのだと思う。







その公園のブランコに乗ってみた。






11月だからか、昼なのに冷たい空気とブランコのキコキコ揺れる音、茶色い葉っぱと木の香りがして、懐かしくもちょっと寂しい気持ちになった。

ちょうど聴いていたカネコアヤノのアルバムが、よりエモーショナルな気持ちにさせてくれたのかもしれない。












いとこも兄もみんな大人になって、自立して、そのうち1人は結婚して子供もいる。















もうみんなで無邪気に遊んだり、喧嘩したりすることは出来ない。

いや自分はまだいけるな。全然ガキになれる。





というかガキ。













そんな事を考えながらぽかーんと水色の空に向かって、ブランコで近づいたり遠ざかったりしていた。













実習先は母の実家から5分もかからないほど近くにあり、母の通勤の通り道であったため、通勤は送迎。朝は実家に私を下ろしてもらい、時間になるまで待機し、そこから実習先の病院まで歩くことにした。

母方のおじいちゃん、おばあちゃんがいつも「おはよ〜!」と気持ちよく挨拶して迎えてくれた。

初日は私のことが心配だったのであろうおばあちゃんが、「散歩がてらばーちゃんも一緒に行く!」と言ってくれた。






それまでの道のりは、おばあちゃんと他愛もない会話をした。












病院に到着すると、バイバイとお互いに手を振って私は実習へ向かった。












そして最終日の朝、この前と全く同じ場所のブランコに乗り、10回くらいこいで一息ついたところで最後の実習へ向かった。
相変わらず冷たい空気、茶色の葉っぱと木の香りがして、空は水色だった。

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