海外報道まとめ:アルメニア・アゼルバイジャン両国の最新動向について
はじめに
※5000文字くらい
2020年9月、コーカサス地方のアルメニアとアゼルバイジャンとの間で大規模武力衝突が発生したことを皆さんは覚えていますでしょうか。ナゴルノ・カラバフ紛争(戦争)と呼称されたこの武力衝突は、2020年11月にアゼルバイジャン側の実質的な勝利として一応の終結を迎えました。
それから約2年を経た現在、アルメニアとアゼルバイジャンはどうなっているのか?なんか散発的に小競り合いしてるな~とは不定期で流れてくるニュースを確認しているのですが、和平協議などの最新情報が日本語ニュースでは…。
殆どありません。理由は簡単です。日本人の大半が注目していないからです。近くでもっと大きなドンパチを日々やってる影響もあります。またコーカサス地方に対する関心自体も少ないです。Twitterではジョージアの駐日大使が有名なくらいです。現実だと「コーカサス地方?新作ポケモンの舞台?」って反応が大半でしょう。
じゃあ英語で”Armenia Azerbaijan”で検索するとどうなるのでしょうか?
メチャクチャ出てきます。日本語ソースの最新が2週間前だから「結構平和な感じ?」と思っていたら、全然違いました。
というわけで(?)、最近のアルメニア・アゼルバイジャンに関係するニュースを読んでまとめてみました。ほぼ自分用のメモです。あとこれらの話題を通じた「語り」がしたいだけです。
本記事ではアルメニア・アゼルバイジャンの領土紛争に関しての啓蒙を求めている訳ではありません。そんな良く分からない記事ですが、お時間のある方は最後まで読んで頂ければ幸いです。
↓「そもそも、アルメニアとアゼルバイジャンが揉めてる経緯自体が分かんねーよ」という方へ。
本編
■イラン・インターナショナル:2022年10月17日
イラン革命防衛隊がアルメニア・アゼルバイジャン国境周辺で軍事演習を開始
イラン革命防衛隊とは正式名称は「イスラム革命防衛隊」というものです。イランの正規軍であるイラン・イスラム共和国軍とは別個の組織であり準軍事組織といえます。自衛隊と海上保安庁やアメリカ軍と州防衛軍みたいな感じ、という例えは適切ではないでしょう。
かいつまんで書くと、イランはイラン革命によって帝政から共和制へ移行したのですが体制側が当時の国軍を「こいつら裏切るんじゃねーの?」と疑い、国軍に対抗する軍事組織としてイスラム革命防衛隊を創設しました。この防衛隊、企業も多数保有し独自で経済活動も行っておりかなり特殊です。
また情報ソースの「イラン・インターナショナル」はイギリスのロンドンに本社を置くメディアであり、イランからはテロ組織として認定されています。創立目的がイランの人権侵害や女性の権利などを報道しているからです。テロ組織の定義は国による。
海外メディアは国名を堂々と掲げて実は全く関係ありません!とか普通にあるので、ソース元の確認も重要です。
書き忘れましたが「なんで国境周辺で軍事演習を?」については、ロシアがウクライナで手いっぱいの隙をついてアゼルバイジャンがイキイキしだしたのを、アルメニアを支援するイランが「調子に乗んなよ?」と牽制している形です。
■欧州連合(EU):2022年10月17日
欧州連合理事会はアルメニア・アゼルバイジャン国境に監視専門家を配備することを決定
「未だに小競り合いが続いてるし俺ら(EU)が見に行くわ」という感じでしょうか。「監視専門家」というよりも「平和履行監視員」とでも訳した方が良いかもしれません。
はい。EUはコーカサス地方の情勢安定を意識しています。EUというかフランスでしょうか。フランスにはアルメニア人が非常に多いからです。
この辺についてサクっと知りたい方はこの記事をご覧ください。
ガッツリ知りたい方はこの論文をご覧ください。
ちなみにEUは現在、イランへ経済制裁などを行っています。ロシアへ無人兵器をこっそり供与していたのがバレたからです。この辺の事情も書くとクソ長くなるのでご興味のある方は各自でお調べください。
■ユーラクティブ:2022年11月1日
ソチにてアルメニアとアゼルバイジャンが、武力行使を行わず和平協定を守ることで合意
↓翻訳(若干の意訳含む。ちょっと長いです)
前々から疑問なんですけど、こういう国のトップってどういう風に話し合うんでしょうね?「戦闘やめるって言ったじゃん」「すみません…」「あっちが先に撃ってきたんですよ」「はぁ?」とかやるんでしょうか。
「撃ってごめんね😠」「いいよ😠」「じゃあこれからは約束守ろうね😠」みたいな感じなのでしょうか?想像つきません。
ちなみにユーラクティブは1999年に出版されたフランスのメディアです。欧州議会やその関係組織に関するニュースに強いです。欧州連合からも資金投入されていることも関連するのかは不明です。本当はRIAソースを確認したかったのですが、ロシア語は殆ど出来ないので断念。
■アメリカ国務省:2022年11月8日
ブリンケン長官とアルメニアのミルゾヤン外相、アゼルバイジャンのバイラモフ外相が会談
↓翻訳
ロシアの次はアメリカで協議です。ロシアは国家元首級で協議を行いアメリカでは外相級なのもきっと色々な思惑とかが入り乱れているんでしょうね。さっきも似たようなことを書きましたが、外相級の協議ってなに話すんでしょうね。
「この前うちの大統領・首相がプーチン大統領と三人で話し合って「戦闘はやめよう」ってことで一致しました。」「了解!連絡ありがとう!」とか…?この疑問は俺が外務大臣にならないと解決しなさそうだなと最近は思っています。国政に打って出ます。
ちなみに「ブレアハウス」アメリカ合衆国の賓客が宿泊する施設です。ブレアというのは人名で、19世紀にアメリカで活躍しためっちゃすごい人のことです。気になる方は” Francis Preston Blair”で調べてみてください。
アメリカの政治関係は調べれば調べるほど面白いので暇つぶしに最適です。アメリカ上院議長職とか「は?」ってなりますよ。『課長バカ一代』みたいで笑いました。
なにわともあれ、国家元首と外務大臣がロシアとアメリカで「武力衝突はやめような!」と話し合ったのです。あとは正式な和平条約締結に向けて、一歩一歩、着実に話を進めていくだけです。
平和が一番!!!
■ABSニュース:2022年11月11日
アルメニアとアゼルバイジャの緊張が高まる中、兵士が負傷
おーい。
アルメニアの兵士が銃で撃たれて危篤との報道です。発砲原因はこれまで636592717恒河沙(ごうがしゃ)回くらい目にした「相手が先に撃ってきたから」です。両軍が対峙する状況、極度の緊張状態のなかでは「銃声か?」と勘違いして発砲しない可能性はゼロではありません。こんなん防ぎようあるか?
■イェルサレム・ポスト:2022年11月13日
アルメニア軍とアゼルバイジャン軍の双方が発砲
https://www.jpost.com/international/article-722201
…あの〜?
アルメニア側によると、アゼルバイジャン側が銃器と迫撃砲を利用して攻撃を加えたと主張しています。アゼルバイジャン側によるとアルメニア側が(割愛)。
おわりに
もしかして発砲レベルだと現地の人らの感覚では「武力行使」にあたらないのでしょうか?平和ボケした極東の島国に住むオタクとして、なんかこの辺の根本的な感覚が違っている気がすると最近思っています。
ロシア・ウクライナの件でコーカサス地方の情勢も周辺諸国を巻き込みどう転ぶかわかりません。このパワーゲーム、参加国が多すぎるし利害関係が絡み合いすぎてムチャクチャなんです。
本記事をお読みの皆様におかれましても、最近国内ニュース少ないなと思った海外情勢については英語で検索してみることをご推奨させて頂きます。本当はこれにロシア語とアラビア語も出来ればほぼ完璧です。
なお、本記事の情報はあくまでご参考程度に留めてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
以上
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