あのトッツィーは、当たり屋だった。
あれは10年位の前のこと、私は幼稚園の息子と近所の公園で遊び、家に帰る途中のことでした。
家路に向かって歩いていると、遠くから女性がこちらへ歩いてきます。
その女性は、赤のワンピースに、ハイヒール、髪は金髪で、クルッと巻き巻きショートヘアーに、キラキラメガネ、小洒落た白い小さなポシェットを手に下げているというド派手な格好で、身長は私(179cm)と同じくらいありました。
「トッツィーだ!」
私は心のなかで叫びました。
そうです。ダスティン・ホフマン主演の映画「トッツィー」に出てくるトッツィーでした。
この辺では、絶対に住んでいない人種でした。今どき、新宿にだっていないような。
息子がジロジロ見ないように、会話をしながら素通りしました。
すれ違う瞬間に、トッツィーがこちらをチラッと見て、「フンッ」と言った気がしました。
「うお!まさしくトッツィー!」と心の中で思いました。
「この先に、この人が行くような場所や店なんてないよな・・・」とか思いながら、そのまま家に帰りました。
数週間後、私は近所のいつも行っている美容院に行きました。
店長さん(女性)と何気ない会話をしていると、
「わたし、この前、車で変な目にあっちゃったのよ!」と店長。
その時の状況はこう↓。
車の運転中、交差点が赤になったので停まった。
青になって発進した瞬間、
「ガコン」
という音が、左後ろあたりから聞こえた。
すると、女の人が「ちょっと、今、ぶつかったわよ!」と運転席までやってきた。
店長はとりあえず、交差点を抜けて、20m位先までゆっくり走り、そこで話しをすることにした。
女性:「ぶつかったの気づかないの?」
店長:「すみません、とりあえず、警察呼びましょう。」
店長は、確かに狭い道幅で信号待ちをしていて、人が助手席側を前から歩いてきたのは認識していた。 しかし、ぶつかるような運転はしていない。
なにか腑に落ちない気持ちから、とりあえず、警察に間に入ってもらったほうが良いだろうと思い、その女性に言いました。
女性:「別にそこまで怪我してないから、警察は呼ばなくていいわよ。」
店長:「いや、でもちゃんとしないと、申し訳ありませんから。」
女性:「いいわよ。・・・・・・・・今いくら持ってるの?」
店長は、何か怪しさを感じました。
店長:「いや、やはり警察呼びますよ。じゃないと、申し訳ありませんから。」と食い下がりました。
女性:「もう、いいわよ! 気をつけてちょうだい!」
その女性は、きびすを返して、去っていきました。
店長は、「ガコン」と音が鳴った瞬間、女性がこっちへ来る最中に、バックに何かをしまう動作を見ていました。
今思うと、何か音が出る装置を使ったんじゃないか・・・。
私は
「店長、それ当たり屋ですよ。 良くねばりましたね。」
それから、それが起こった時間と場所を詳しく聞いていきました。
その時、あれっ?と思いました。
私:「店長、その人、オカマっぽくなかった?」
店長:「完全にオカマよ。背の高い。」
私:「トッツィーだ!」
時間、場所、オカマから、なんと、私と息子が会ったあのトッツィーだったのです。私達とすれ違ったあとで起こった出来事だった。
私:「店長、俺もその当たり屋見ましたよ。トッツィーっぽかってでしょ!」
まあ、それでその当たり屋トッツィーが、警察に捕まるわけでもないのですが、まさか、こんな町にそんなオカマの当たり屋が来るとは思ってもみなかったです。
みなさん、トッツィーっぽい女性を見かけたら気をつけて下さい。
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