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Ms.アラサー!

初めに言う。私はシンガーだ。
気づけば20代も半ばに差し掛かり、感情だけが置いて行きぼり。周りの同級生が今なにをしてるかなんて全くわからない。昔からどこか浮いていて一人だなと感じる事が多かった人生。
初恋の16の時はこの人と結婚したら〜なんて夢を見たり、思春期のストレスからアホみたいに寝て起きて、学校の門をくぐる度『私は将来ビジネスウーマンになる!』と決めて生きていて。実際学校ではそれなりにちゃんと過ごしていたと思う。実績も残せたと思う。
18歳の春、社会人になった。
叩かれ叩かれ、されども諦めずに。たまに母に愚痴を聞いてもらったり父親に迷惑をかけた。初めて自分で買った車で鬱憤晴らしで山を走ってそのまま朝、仕事に行ったり。たった六年前のことなのにすごく昔に感じるのは少しは老いたのだろうか。
いつからだろうか。体がだるくなってきたのは。朝まで遊ぶのがこんなに大変だと感じるのは老いたのか。たまに年下の子達と遊んだり、近所の子供と話す。そうすると自分も若くなったプラシーボに襲われてノスタルジーを感じる。夜になると私は街に繰り出し大人の作った夢の国に億劫そうに行く。

祖父母

遠くに祖父母がいた。祖父は私に会う度何故か英語で話しかけてハグをしてくる。祖母は優しい声で声をかけた後に説教をする。そんな二人からは本当に愛されたと思う。祖父は五年ほど前に亡くなった。本当に昭和男だったし、祖母は今も本当に昭和女だ。私はなにがあれど二人を愛している。自慢の祖先だ。祖父母は本当に苦労したと思う。戦後に勤勉しながら働き自分で全てを作り出したからだ。私と同じ歳の頃にはもう既に親になっていたわけだから本当に凄いと思う。祖母は昔から『あなたの父親みたいな人と結婚しなさいね〜顔じゃないのよ。中身をよく見てね。』と。無論父親は本当にいい人だ。祖父は生前『お前は素顔が一番綺麗だから濃い化粧なんてしなくていいのだよ』と。御免なさい。私は仕事柄毎日唇を紅く塗りたがり、目にはまつ毛をつけてけばい女になってしまった。私は親孝行ならぬ祖父母孝行出来ただろうか。二人が愛した私はまだ此処にいる事を忘れないでほしい。化粧はケバく身体にお絵描きが入っているがちゃんとプライド持って生きてる事を。
祖母はもう間も無く80歳になる。変化していく環境と身体に苛立ちながらも強い女の心は残っている。私に祖母は『お前くらいの時は私は母親だったが結婚しなくてもいい』と言った。私は子供は好きだし、いつか愛する人とそばに居たいと思っている。だが、この五年間沢山失敗をし、悲しみ強がる私を見てきた祖母だから''しなくていい''と言ったのだろう。私も向いていないと思っている。家事はできるし仕事もしている。だがそういう問題ではない。

和多志

とはいえ、色んな人と出逢って刺激も安心も欲している。まるでバンパイアが血を欲している時と似ている。愛し愛されたいが、愛ってそもそもなんだ?
どうしたら愛してると思うのか。恋愛をする度傷跡ばかりが残って夢にも現れよくわからない。夢に現れる度殺してやりたいと思うのだが、夢での私たちは凄く仕合わせそうなのである。これが現実なら幾らか良かったかもしれない。嫉妬や邪念など備えた和多志は寧ろ亡くなって。


下心

たまに出逢う異性に対して心から接するようにしている。もしかしたら。と思っているからだ。理解してくれるのではと思っているからだ。だがそうはいかないのが人生とでというのか。年々何故か寄ってくる異性は私の心ではなく躰を欲してくるのだ。どんだけ飢えているんだよ。と勢い良く突っ込みたくなる。そうしていくうちに和多志の心は蝕まれ白かった用紙が黒く滲んでいく。祖父母が言っていた様な女に成らないからそう見られるのか、生存本能なのか。和多志は心などもう冷え切っているので対応してもいいと思っているが、悪女のプライドが許さない時もある。寝てやるもんかって。心の安らぎ求めて寝てしまう時もある。そういう時は必ずと言っていいほど心の安らぎなどは無くて。虚無が背中を押す。


温かい人

そんな私にも信頼できる異性の友人も沢山いて。彼らは私を食べるなんてことは思ってもないし、同じ群れの動物の様な。そんな気がしてくる。困った時助けてくれるのはそう言った群れの奴らだ。私も無論そうする。


将来

知らない男に突然将来について聞かれた。それとなく話すと、何故か説教をされた。『もうお前は25だろ。考えたほうがいい。結婚するとしたら相手の親が今のお前を嫌がると思わないのか』と言われた。刺さった。私だってもがいている。もがいてもがいて生きているのに。刺して海底に沈めてくるのだ。お前はじゃあ胸を張った生き方をしているのか?また突っ込みたくなった。だが面倒は嫌なので私は争わない。皮肉はいくらでも言えるけど。可哀想な30代だ。くたばりやがれ。彼のいうことも確かにそうで、こんな女(夜働いてる女)を1000%いい嫁。と思うかって聞かれたら難しい。家事もできて稼げたとしても旦那が帰ってくる時間にいない嫁は確かにいい嫁ではないかもしれない。だから仕事を辞めろって?だから仕事を変えろって?どれが仕合わせだと言うんだよふざけるな。時代は刻々と変わっていて今は1800年代じゃない。


母親

母親は好きな事を存分にしている。そんな背中を見て育ちたまに、私も普通の生活(昼に仕事をして素直に帰って寝る)をしようと思うが母親は若いうちにやりたい事をやれ。という。確かにそうであり、お金も地位もないがババアになってからやりたいっていうのは不可能とは言わないが難しいと思う。沢山体力も使うし覚える方も多い。今やって損はしないと思っている。母親は昔は私にも就職して会社員になれと言っていたが娘がこうなった以上きっと応援しようと決心してくださったのだろう。菩薩だ。そんな母のためにも私は粋粋と粋っていこうと思う。お金持ちになれるかわからないし、このまま子供も産まないかもしれない。誰かにまだそんなことしてんの?て思われるかもしれない。男には逃げられるかもしれない。生涯孤独かもしれない。でもやる価値はあると思うんだ。両親は私の粋粋している姿が見たいと思っている。それが私に今できる親孝行なのかもしれない。結婚もしたいし子供も欲しいけどそんな人を100%受け入れてくれる人は少ない。なら別の自分の道を作って行くしかない。
これが私が歳を重ねる記録だ。
17歳の時の私よ。歌は諦めないぞ。喉が裂けても歌詞を隠し耳が聞こえなくなってもステージを考える。

それが生まれた理由かもしれない。そう信じて歳を重ねる。


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