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「1Q84」を読んで〜読書感想〜

Book1前編
文が尖ってる。
9/9読了。

Book1後編
描写がエグい。
9/11読了。

Book2前編
牛河にぞんぞが走る。
9/11読了(一気読み)

Book2後編
『空気さなぎ』おもしろい。
9/13読了。

Book3前編
まだ二人は会えないのか。
9/13読了(一気読み)

Book3後編
『小さなもの』は維持されるのか…。
9/15読了。

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読後、あらためて
ヤナーチェックの「シンフォニエッタ」を聴いてみる。
ファンファーレのメロディラインに異質な音が交じっている。
それにも関わらずティンパニとトランペットはメロディを交換し合う。
違和感を抱えたまま何かが始まっていく。
全曲を通して不協和音が散りばめられている。
気持ちよく聴いていられるという音楽ではない。
時折ほっとするようなメロディはあるけれど、
「座り心地のよくないソファ」に座っているような、
ちょっとした我慢を強いられているざらざら感は続く。
終楽章に再びあの主旋律の交換が高らかに誇らしげに演奏され
明るい兆しを残して曲は終わる。
なるほど「1Q84」の音楽だ、これは。


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いろいろな読み方ができる村上作品。
初読の前回は、
「青豆の隠れるマンションと児童公園。
その滑り台の上にいる天吾と二つの月」
の映像が心象風景として残り、
拙い色鉛筆画を描いたことを思い出した。

今回思ったのは…

青豆と天吾のラブストーリーだったのかい!
だとしたら、いただけない。
純愛すぎる。

「損なわれる」「失われる」、
こんなワード、いただけない。
後ろ向きは辛い。


そもそも天吾くん、主体的に行動したか?
色々な人が寄ってきては消えていったけど、
キミは人を寄せる役?
青豆、強い意志で頑張ってたよね。
キミにはそれほどの強い意志を感じられなかったわ、
ごめんけど。
この物語、女性に力点置いてるよね(他の作品もだいたいそうだけど)。
何故?
そこがちょいと引っかかる。


ふかえりはどうなった?
みんなどこへ行ったの?
安達クミや「猫の町」は1Q84と同位相?
青豆と天吾が戻ったのは元の1984年?

仕掛けが大掛かりで、
収拾がつかない印象がある。
私の頭がついていけてないだけだけども。
手に負えない。
だから、
「シン・1Q84」書いてほしいな、と
Book3後編読みながら思ってた。

さて、
今回はダントツ
タマル推し。
動じない、
確かな行動力、
それと、めちゃ包容力あると思うから。

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ところで
「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」
がモチーフとなっているとのことで、こちらも読み返す。
互いに100パーセントの相手であることに理由なんていらないね。
直感的本能で、宿命みたいなものだから。
他者が理解できるわけはない。
二人だけが理解し合っていれば良いのだ。
理解し合う、これは認知つまり記憶の領域で本能より表層にある。
記憶優位になると直感的本能は鈍ってしまい、
「悲しい話」になってしまう。
「1Q84」では二人はまた手を繋ぐことができた。
これは春樹さんの親心かしらね。
二人のラブストーリーという観点では、
私は短編の結末の方が好きだな。

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長編の村上作品を読むときは、
音楽・映画・本・表現と色分けして付箋をつけている。
夢中になって読んでいるとつけ忘れることもあるけど、
「1Q84」は中盤くらいから音楽や映画、本についての記述が少なくなっているようだ。
キャラクターも物語のテイストも出来上がってくるからかな。
「ゲッタウェイ」「華麗なる賭け」、スティーヴ・マックィーン、フェイ・ダナウェイ…
懐かしい。

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村上作品、好きなのだけど、
暴力の描写やエグい描写、特に性描写には率直に言って抵抗感がある。
それらは実は「別の場所への移動」や精神的変化のメタファーであるのだと理解しているのだけど、
そういう描写に触れるたびに「なんか嫌だな」「ほんとは村上作品と合わないのかも」などと思ってしまう。
他の作家さんたちのミステリーのもっとどぎつい場面を読んでも、これほどの抵抗感嫌悪感はないのになあ。
村上作品の文体と筆力ゆえか。
ただ、読了して作品をあれこれ思い返していくと、
その複雑でよくわからない謎が残る世界観がなんとも魅力的で、
「やっぱり村上作品好きだわー」で落ち着くのだ。

そして脳内では青豆や天吾やタマルたちが
いまだにわさわさ動いている。。。

読書中は「あまり好きではないかも」だったのに、
読後時間が経つにつれ「やっぱ好きかも」に変化した作品。

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