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書評:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

 夏、特に8月になるとなぜか無性に本が、特に物語が読みたくなる。

読書の記録。

そんな8月からせっかくなら読んだ本について思ったことや印象に残ったフレーズを書き留めていこうと始めました。

今回は、久しぶりに村上春樹さんの小説です。


あらすじ

主人公、多崎つくるは鉄道会社に勤める会社員。

高校の時に仲の良かった4人とは大学の時に突然仲間外れにされる。

その傷を抱えたまま大人になり、新たに出会った沙羅という恋人に昔の記憶を呼び戻され、改めて4人に会い、その当時の真相を確かめていくという物語。

この主人公以外は皆名前に「色」が含まれているという共通点がこの小説の根底にあるテーマにつながっている。

印象に残ったフレーズ

主人公、多崎つくるが高校の友人エリと再開した時のシーン。

つくるは自分は何の個性もない人間だとエリに告げる。その時のエリの返答。

"「生きている限り個性は誰にでもある。それが表から見えやすい人と、見えにくい人がいるだけよ」"

見えにくいものを見られるようになると人生はさらに彩鮮やかになり、深みが生まれる気がした。見えないものが見えるようになる、これは年の功もあるので歳をとるのって悪くないと思える要員だなとぼんやり思います。


"向かうべき場所、帰るべき場所"

人は向かうべき場所、帰るべき場所の二つの場所が必要だと思う。アドレナリン全開で前へ前へと進むことと、何も取り繕わなくても存在できるんだと思える安心安全な場所。

ちゃんとこの二つを持って自分の精神を安定させたいと。

感想

一言でいうのであれば、全体的にふんわり夢見心地な小説。

推理小説のような一面もあるけれど、伏線は伏線のまま回収しきらず、終わり方もとてもふんわりしている。

途中、先がどうなるのかと急ぎに急ぎ読み進めていたのですが、最後は「つづく」という言葉が相応しく終わった感じのしない小説でした。



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